
韓国カルチャーのリアル、実はここかも。
盆栽も販売する古着屋、毎日メニューが変わる居酒屋……高円寺にはジャンル分けが難しい店が多く存在します。
オーナーの菅野奈都代(なつよ)さんが営む「雑貨屋PKP」も、その複雑性と独自性でカテゴライズ不能な店のひとつ。店内には韓国にまつわる雑貨やグッズが所狭しと並びます。色とりどりのDIY用パーツや韓国出身のクリエイターが作成したシール、あるいは、80〜00年代の韓国雑貨や雑誌、当時の韓流アーティストのアイテムなども同じ棚に並びます。熱量でセレクトされたカルチャー雑貨には手に取りたくなるようなエネルギーを感じます。
PKPができるまで。韓国カルチャー今昔
菅野さんは最初、韓国文化には周囲の友人を通じて触れたカムジャタンやエチュードハウスなどのコスメブランドなどを通じて興味を持ったそう。ソウル・東大門で買った帽子を別のお店のリボンと合わせてオリジナルの帽子を作れたことや、安価で味のある可愛いアクセサリーパーツに出会った経験が今のお店の原型になっています。
今のホンデ(弘大)周辺のポップカルチャーを牽引する「The NEONMOON®」 の2人は留学中に出会ったそうで、現地に赴くことで広がるコミュニティもそこで触れられたといいます。
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また、元々バンドでギターを弾いていたことから韓国のインディーロックシーンにも関心があったそう。日本のテクノ・エレクトロバンド・電気グルーヴのライブレポートを読んだ時、前座に出演していた韓国のポンチャック音楽の祖、イ・パクサ(이박사)による伝統音楽をベースにしながら独特な高速ビートを奏でるパフォーマンスに菅野さんは衝撃を受けたそう。
「彼はその後、キンチョー『コックローチ』のCMなどでも認知されることになりますが当時は「変なおじさんだな……」程度にしか思っていませんでした(笑)。その後、ポンチャック音楽の面白さに触れてからはソウル・鐘路のサイケなレストランバー、「感覚の帝国」のメンバーなどとも親交を深めたり、イベントに参加したりもしました。」
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韓国のインディーズ音楽に触れはじめたころ、ソウルに直接探しにいっても当時は外国人に向けた情報などなく、辿り着くのは至難の業だったそう。その後、長期間の韓国滞在なども経て、2015年に渋谷の映画館で韓国の音楽シーンに関する映画『パーティー51』の上映があった際、出演者や関係者もその場にいたことから関係が生まれ、それ以降、韓国のインディーズ音楽アーティストやクリエイターとも繋がっていきました。
《カオス》で片付けずに触れること
菅野さんが高円寺にお店を構えた決め手は、自転車で通える距離ということ。さっぱりした理由ですが、菅野さんの関心のあるインディーやクリエイター文化は必ずしも新大久保の流行を映した韓国カルチャーとは必ずしも同じものでもないといいます。80年代の韓国インディー文化創成期のアイテムや流行には乗らないアーティストの良い作品、トンデムン(東大門)で見るようなDIYアイテムなどを選んでいることから、韓国の流行を取り入れた新大久保とは性質が違うとのこと。そこに優劣はなくあくまで領域の違いにあり、それぞれ別の韓国の文化が表れています。
この物件は元の不動産屋さんが亡くなってから整理され借りに出ていたそうですが、後で聞けばそのオーナーさんは韓国・済州島にルーツを持つ方だったそうです。「運はないけど縁に恵まれています。」と菅野さん。縁とはいえ、インディーカルチャーのバックグラウンドを知ると、高円寺に店を構えたことも必然のようにも思えます。

異文化が共存する街で思う
2019年にお店を始めた頃は周囲から「韓国のりや韓国ドラマの海賊版を売るのか」と言われるなど、ステレオタイプ的な見方をされたこともあったそうです。その後、第3次K-POPブームなどもあり、2021年頃から流れが変化。今ではコンビニでも韓国コスメが買えたり、ヒットチャートにもK-POPが含まれることも珍しくなくなり時代の変化を感じたそう。
「PKPには様々な人が訪れますが、比較的、目的を持ってきてくれる人が多いです。コロナ禍も終わり渡韓しやすくなったいま、わざわざ来てくださる人たちはアイテムを買うこと以外にもこうした複数形の韓国カルチャーを『知りたい』『新しい文化に触れたい』と来店してくださいます。そこからお客さん同士が話して仲良くなることがあるのも嬉しいです。ひとつのアイテムから韓国を知ってもいいし、そのアイテムが作られた背景や、作家さんの思いを話すことで何かしらの偏見とかも変わってくれたら⋯⋯。そういうことができるようなお店でありたいと思います。」

最後に韓国カルチャーの魅力を聞くと、「メジャーとマイナーの融合」にあると答えてくれました。例えば、K-POPアーティスト「SHINee」がライブアートスペースの「シンドシ(신도시)」でブックレットなどのフォトシューティングを撮影していたことや、韓国内ではアートやクリエイティブに携わる人の母数が少ない分、数珠繋ぎのように繋がったり、仕事でもチャンスが巡ってきたりするそう。メジャーカルチャーに携わる人たちもマイナーなアーティストの活動をみているので、成長や成果だけでなく、表現を国内外に知ってもらいやすいという点で興味深いと話します。
好きだからこそ多方面で韓国を知っていく。複数形の韓国の出会いはあなたの価値観やこれまでのカルチャーの概念を変えるきっかけになるかも。雑貨屋PKPでは不定期で音楽イベントなども開催する他、イベント参加なども目白押し。詳しくはInstagramをチェック。
アクセス・詳細
東京都杉並区高円寺南4丁目34−10 グランドコート三上 101
Instagram:https://www.instagram.com/zakka_pkp/
営業日:
平日15:00~20:00
土日 13:00~19:00
定休日は不定期。「X」か「Instagram」のカレンダーを確認
Text・Interview
kai






