Steenz Breaking News

ケニアで訓練する英国軍BATUKをめぐる性暴力問題。数十年続く被害の訴えに進展【Steenz Breaking News】

ケニアで訓練する英国軍BATUKをめぐる性暴力問題。数十年続く被害の訴えに進展【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、ケニアに駐在する英国兵による性暴力について紹介します。

BATUKをめぐるさまざまな問題

英国軍は、日本やヨーロッパ諸国など、世界各地で軍事演習や訓練をおこなっています。こうした海外訓練は、多くの場合、同盟国との関係強化や、安全保障協力の一環として実施されています。

一方で、東アフリカのケニアでは、英国軍の駐在をめぐり、さまざまな問題が指摘されています。現地住民との摩擦や事故に加え、英国軍関係者による性暴力を訴える声が上がり、議論が続いているのです。

BATUK(英国陸軍ケニア訓練部隊)は、ケニア中部に拠点を置く部隊です。毎年数千人の英国兵が訓練演習のためにケニアへ派遣されます。ケニア国民議会の2年にわたる調査により、2025年、BATUKの倫理違反や権利侵害、環境破壊、雇用問題が報告されました。中でも特に大きな問題となっているのが、兵士をはじめとするBATUK関係者による性暴力です。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Heritage Times HT(@thehtafrica)がシェアした投稿

過去60年にわたり、BATUK関係者によるケニア人女性へのレイプや、女性の妊娠後に子どもを認知・養育しない、といった問題が指摘されてきました。国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルによると、これまでに少なくとも約650件の性暴力が報告されています。被害者の多くはBATUKが拠点をもつ地域に住む少数民族のマサイ族やサンブル族の女性です。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Voice of America(@voanews)がシェアした投稿

報告書では、被害の半数以上が複数の兵士による集団での加害だったとされ、被害者の中には未成年も含まれているとのこと。さらに、暴行の際に重傷を負い、手足を骨折したり、性器に深刻な損傷を受け、その後の妊娠・出産が困難になったりした女性もいるとされています。

こうした問題が顕在化するきっかけとなったのは、2012年に起きたアグネス・ワンジルの殺害事件です。当時21歳だったケニア人のアグネス・ワンジルは、英国兵と一晩を過ごしたとされる3カ月後に遺体で見つかりました。

 

この投稿をInstagramで見る

 

K24 TV(@k24tv)がシェアした投稿

殺害したとされる英国兵は、6週間の訓練演習のためにケニアに滞在していましたが、遺体が発見された時点では出国していました。被害者家族はケニアでBATUKを訴えようとしましたが、英国政府はケニアの裁判所には英国軍に対する管轄権がないと主張。しかし、10年以上の時を経て、2025年にケニアの裁判所が容疑者の逮捕と引き渡しを命じました。

 

この投稿をInstagramで見る

 

SWARM(@swarmhive)がシェアした投稿

ケニアと英国の防衛関係とは

ケニアと英国の軍事的な関係は、植民地時代にさかのぼります。ケニアは1963年に英国から独立しましたが、翌1964年に両国は防衛協力協定を締結しました。この協定により、独立後も英国軍がケニア国内で訓練を行う枠組みが維持されてきました。

英国政府はBATUKの訓練拠点である地域に約70億円を拠出しており、550人以上の現地スタッフを雇用していると報告しています。

しかし、先述した問題が多発していたことから、2022年に英国では海外において、買春行為を含む、権力の濫用を伴うあらゆる性行為を禁止する政策が可決されました。それでも、ケニア国民議会の報告書によると政策の可決以降も、ケニアでの買春行為が35件あったと報告されています。

裁かれにくい罪

英国兵によるレイプや性暴力の告発は1950年代からあったのにも関わらず、加害者が帰国してしまう、証拠が不十分と判断されるなどの理由で、十分に裁かれないケースが多いと指摘されています。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Standard Digital(@standardkenya)がシェアした投稿

それだけでなく、被害者はシングルマザーとなっても相手から経済的支援を受け取れない、周囲から差別を受けるといった問題にも直面しています。レイプの被害者である女性が糾弾され、声を上げると離婚させられたり、コミュニティから排除されたりする場合もあると言います。

BATUK関係者による性暴力の被害は長年指摘されてきましたが、十分に罪や責任が問われないまま、被害者やその家族は苦しみ続けてきました。こうした状況の中で、進展も見られます。2021年に締結された防衛協定では、英国兵であってもケニアの裁判所で不正行為を問うことができるようになりました。過去に被害を受けた女性たちの訴えが受理され、適切な補償や支援を受けられるのか、今後の対応が注目されています。

References:
JOINT FORCES「UK TO SPEARHEAD NATO EXERCISE STEADFAST DART 25」
BBC「Kenyan MPs accuse British soldiers of decades of sexual abuse」
Amnesty International「UNITED KINGDOM Decades of Impunity: Serious Allegations of Rape of Kenyan Women by UK Army Personnel」
Al Jazeera「British soldiers accused of more abuses in Kenya: What we know」
Pulse「Beyond the Law: How British Soldiers Escape Justice in Kenya」
Africanews「British soldiers use sex workers in Kenya despite ban」
CNN World「The British Army trains in Kenya. Many women say soldiers raped them and abandoned children they fathered」

Text:Hao Kanayama

SNS Share

Twitterのアイコン

Twitter

Facebookのアイコン

Facebook

LINEのアイコン

LINE

Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

View More