
「気になる10代名鑑」1227人目は、神田ふうさん(16)。雑草からバイオエタノールをつくる研究に取り組んでいます。将来的には世界のエネルギー問題の解決につなげたいと、地道な実験を重ねる神田さんに、研究の中でぶつかった壁や葛藤について聞いてみました。
神田ふうを知る5つの質問

Q1.いま、いちばん力をいれている活動は?
「雑草から燃料をつくる研究です。地球にやさしい燃料としてトウモロコシやサトウキビからつくる燃料がありますが、食べられるものを使ってしまうのはもったいない。そこでわたしは、廃棄される雑草を活用できないかと考えました。
いまは、雑草の細胞壁の主成分を分解して発酵させ、燃料に変える実験をしています。ただ、不純物が多くてまだ燃料になりきっていないのが現状です。もともとトウモロコシなどで確立されている方法を応用していますが、雑草は性質が違うため、同じようにはいきません。細胞壁の分解方法が分からず何度も失敗しましたが、最近は少しずつ短時間で成功できるようになってきました。
もし本当に燃料として完成したら、自分でマッチをつけて火がつく瞬間を見てみたいです。雑草がエネルギーに変われば、CO₂削減につながるだけでなく、日本のエネルギー自給率を上げる可能性もある。身近にあるものから未来を変えられるかもしれないと、すごくわくわくしています」
Q2.活動を始めたきっかけは?
「幼い頃から、広い庭がある祖父母の家で雑草を取るのが大変だという話を聞いていました。また、過去の活動で農家さんの取材をしたときに、金銭的な理由で農業をやめる人がたくさんいる現実も知りました。その出来事から、もし家の庭や農地にある雑草が価値あるものに変わったら、農家さんの新しい収入源になるかもしれないと考えていたんです。また、旅行が好きでよく飛行機に乗っていたことで、エネルギー問題にも関心を持っていました。
だからこそ、高校1年生のとき、先輩が雑草を燃料にする研究をしていると知ったときには、わたしもやりたいと強く思いました。もとから雑草とエネルギー問題に興味があったのですが、まさかそれらがつながるとは全く思っていなかったため、こんな研究があると知ったときにはとても驚きましたね。
その先輩は、ひとりでは抱えきれない規模の研究をしていて、後輩に手伝ってほしいと話していて。だから、先輩にお願いをしてチームの一員として研究をさせてもらうことにしたんです」

Q3.活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「印象に残っているのは、昨年参加した『エコチル調査全国フォーラム』での発表です。発表後の質疑応答の時間に『雑草の種類を統一しないと再現性がない』『CO₂吸収量の計算に根拠が足りない』と、客観的な視点から厳しい指摘を受けました。実験にもやっと成功して、深夜まで発表を作り込んだことで自信があったぶん、厳しい指摘が悔しかったです。
それでも心が折れなかったのは、この研究が本当に好きだったからだと思います。発表を聞いてくれた人から『でも、実現できたらすごいよね』と声をかけてもらって、だったら次は絶対に納得してもらえるかたちにしようと思ったんです。負けず嫌いな性格なので、2週間でデータを集め直し計算もやり直しました。やり直すほど、研究に携われる時間が増えたので、大変だけれども、幸せでしたね。
その結果、次の発表の場である『日薬サイエンスハイスクール』では賞をもらうことができて。この研究には意味があると感じられた瞬間でしたし、もっと成功させたいという気持ちが強くなりました」

Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「いちばん大きな壁は、高校生であることです。やりたい実験があっても、安全性や予算の問題で機材や試薬がそろわない。薬品も自由には使えず、他の班と設備を共有するため、思うように実験時間が取れないこともあります。
また、研究に使える時間は授業と放課後しかなく、しかもその時間に先生がいないとできない工程も多いです。研究対象を放置できる時間も限られているので、生徒・先生・実験対象のタイミングを合わせなければなりません。失敗したときも、時間が原因なのか、工程が原因なのか分からないまま、また一から考え直したこともありました。
それでも、参考文献を何本も読み、高校の設備でできるかたちに落とし込み、先生に提案しては却下されるを繰り返しながら地道に研究を進めてきました。不安になることもありますが『いまできる条件の中で最大限やる』と決めて、一つずつ工夫を重ねてきなした。大学生になったら、もっと自由に研究したいなって思います」
Q5. 将来の展望は?
「将来の夢は、雑草からバイオエタノールをつくり、世界のエネルギー問題を解決することです。研究を始めて1年半ほどはなかなか成果が出ず、正直、苦しい時間のほうが長かったです。でも、はじめて実験が成功したとき本当にうれしくて。そこから調べていくうちに、この研究が持つ可能性を理解していって、『この研究が実現できたらどれだけすごいだろう』と自分に期待できるようになったんです。
もし、エネルギー問題の解決を実現するうえで研究者が最もふさわしい職業なら研究職に就きたいですし、別の立場のほうが適しているなら、その道を選ぶと思います。もちろん研究は大好きですが、『エネルギー問題を絶対に解決したい』という気持ちが強く、その実現を最優先したいからです。
そして、エネルギー問題だけでなく、実験をより安全で安価で簡易におこなえる方法も探していきたいです。そうすれば、高校生の素晴らしいアイデアがもっとかたちになりやすくなると思います。大学でも研究を続けて、エネルギー問題の解決を目指していきたいです」

神田ふうのプロフィール
年齢:16歳
出身地:東京都荒川区
所属:順天高等学校/NSF/Libfram/Everyplace/Tokyo BESTIES
趣味・特技:ダンス・野球観戦
大切にしている言葉:Lose yourself to find yourself/客観的に生きる
Photo:Nanako Araie
Text:Rinna Koike






