
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカの医療過疎地域で人々の命を救う医療サービスについて紹介します。
女性看護師や保健師がバイクに乗って駆けつける
日本を含め、世界各地で起きている医療過疎問題。先進国では、医師の高齢化や、都市部と地方の格差が発生しています。途上国においては、医療不足と、交通やインフラ不足による地理的な障壁などが課題だと言われています。アフリカでも同様に、農村部における医療不足が深刻な問題となっています。
UNICEFによると、ケニアでは毎年5000人の妊婦と、3万人の新生児が出産中に死亡しています。原因としては、医療が十分でないことに加え、病院までのアクセスの悪さが挙げられます。ケニアでは、約70%の人々が病院などから遠い農村部に住んでいるそうです。交通費が高額になるために病院に行けず、適切な検査や治療を受けられていない、道路の整備不足などにより安全に病院に辿り着けない、といったことが母体や胎児の健康に影響していると言います。
そんな中、活躍しているのが「ボダ・ガールズ」と呼ばれる、看護師や保健師の女性たちです。「ボダ」とは、東アフリカで普及しているバイクタクシー「ボダボダ」のこと。彼女らは自らバイクを運転し、遠隔地の妊婦の元へ駆けつけます。クリニックへの送迎を無償でおこない、産前・産後のケアを適切に受けられるようサポートしています。
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ケニア西部の農村部では、多くの女性が病院ではなく自宅で出産をしていました。しかし、彼女たちの活躍により、ケニア西部にあるボダ・ガールの提携病院では、病院での出産が60%以上増加したそうです。
さらに、ボダ・ガールを育成するプログラムは、女性のエンパワーメントにもつながっています。ケニアのボダボダの運転手のうち、女性はわずか1%未満とのこと。バイクの運転手や運輸業は「男性の仕事」と考えられていることが背景にあるようです。しかし、ケニアの多くの女性が従事する農作業に比べると、収入は約10倍にものぼると言われています。
そこで、ボダ・ガールは女性のバイク運転手育成のためのプログラムを設立。育成カリキュラムだけでなく、バイク購入時のサポートなどを受けることができるのです。プログラムの参加者の中には、これまで1日の収入が1ドル程度であったところ、プログラム参加後は1日に8ドル稼ぐようになった女性もいるとのことです。
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マラウイの医療従事者不足をAIが支える
人口10万人あたりの医師数がわずか4人という、深刻な医師不足が課題となっているマラウイ。2023年には、早産や感染症、窒息などにより、1000人中19人の新生児が出産時または生後1カ月以内に死亡しています。
そんな中、マラウイの保健省と企業、病院が協力し、分娩中の赤ちゃんの健康状況をモニタリングするAI搭載のソフトウェアが開発されました。胎児の心拍数低下などの異常を早期に警告してくれるのだそうです。実際にこのソフトウェアを導入した病院では、ソフトウェアの利用前と比較して死産と新生児死亡の数は82%減少しました。
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ウガンダでも同様のサービスが利用されています。Intelligent Ultrasoundが提供するAIソフトウェアは、助産師や看護師が妊婦のお腹をスキャンするだけで正確な妊娠週数を算出。手術や治療の必要性などの判断には正確な妊娠日数の把握が非常に重要なのだそうです。こうした技術が死産や合併症の予防に役立っていると言います。
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医療不足への多様なアプローチ
アフリカに限らず、世界が直面する課題である医療不足。医師・医療機関の不足、医療へのアクセス困難、地域格差など、背景は複雑です。「ボダ・ガールズ」のように、全ての人が適切な医療を受けられるようサポートする取り組みや、AIを活用して医師不足を補う技術など、課題の解決には多様な視点からのアプローチが求められています。
References:
Unicef「Double Blessings: Kilifi Improves Maternal Health Services」
Global Economy「Kenya: Rural population, percent」
YNA KENYA「Our Blog」
BODA GIRLS「Program & Impact」
Global Economy「Malawi: Neonatal mortality」
The Guardian「How AI monitoring is cutting stillbirths and neonatal deaths in a clinic in Malawi」
Text:Hao Kanayama






