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西アフリカで広がる「夫のための学校」。女性の地位向上、母子健康にもつながる?【Steenz Breaking News】

西アフリカで広がる「夫のための学校」。女性の地位向上、母子健康にもつながる?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、西アフリカで開催されている「夫のための学校」について紹介します。

西アフリカのジェンダー格差

国際的に重要な課題のひとつである、ジェンダー格差。西アフリカでは特に、児童婚や女性器切除、家庭内暴力、女性の土地所有の難しさなどといった問題が存在します。

UNICEFによると西部および中央アフリカでは、約41%の若い女性が18歳に達する前に結婚しています。また、早期出産率は1,000 人につき約97人であり、これは世界平均の1,000 人につき約39人を大きく上回る高い数値です。早期出産は母体の健康に影響を及ぼすと言われており、妊娠・出産に関連する疾患は、同地域の15〜19歳の女子における死亡原因の上位5位以内に含まれています。

ジェンダー格差の原因のひとつとして考えられるのが、西アフリカ社会の父系制です。女性は婚姻によって家を離れる存在とされ、土地や家畜、権威は男性を通じて継承されてきました。この仕組みにより、家族や地域の意思決定は男性が担うものだという考えが一般的になっています。

既婚男性がポジティブな男らしさを学ぶ

そんな中、セネガル、ニジェール、トーゴ、ブルキナファソでは国連が支援するプログラムの「夫のための学校」が拡大しています。この学校は、月に2回、8〜14人のグループでおこなわれ、参加者は全員、既婚男性です。

授業では、ジェンダーや生殖に関する健康、ジェンダーに基づく暴力、HIVに対する偏見への対策、少女の権利や男女平等、女性器切除(FGM)の有害な影響などについて、話し合いを通して学びます。

西アフリカでは、家事や子育て、介護は「女性の仕事」という認識が強いと言います。例えば、ある調査によると、セネガルでは、女性が家事や子育て、介護に費やす時間は男性の約8倍なのだそう。そのため授業では、夫が妻の気持ちやニーズを理解し、どう支えられるかを考えるロールプレイもおこなわれ、夫が家事や育児に積極的に関わることが促されます。

また、妊娠中の妻を支えるために、夫がすぐに実践できる行動として、産前健診への付き添いや保健センターの利用についても学びます。こうした取り組みは、西アフリカで深刻な課題となっている母体死亡率や乳児死亡率の低下につながる効果的な方法とされています。

さらに参加した男性は、今度は教える側として地元で講演したり、家庭を訪問したりもするそうです。セネガルではこれまで20校以上の「夫のための学校」が開校し、300人以上の男性が参加してきました。

 

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国連女性機関(UN Women)が主導するジェンダー平等実現のためのムーブメント「Global HeForShe Initiative」の責任者は、「夫のための学校は、家庭内の暴力事件を減らすのに役立つ」と述べています。

ジェンダー格差の是正のために

文化的に、男性が家庭内で主導権をもつことが多かった西アフリカ。「夫のための学校」での学びは、夫自身の意識変化にとどまらず、妻も家庭の意思決定に関われるようになることにもつながるでしょう。今後、「夫のための学校」がどうコミュニティに影響し、ジェンダーの格差の是正に貢献するか、期待されます。

References:
Unicef「Child marriage」
Unicef「Adolescent girls in West and Central Africa」
Unicef「Maternal, Newborn and Child Health」
The Borgen Project「WOMEN’S ISSUES IN WEST AFRICA」
CNN World「Senegal’s ‘schools for husbands’ aim to keep mothers from dying」

Text:Hao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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