
「気になる10代名鑑」1200人目は、原深唯さん(19)。岡山を拠点に、選挙をもっと「楽しい」と感じられる選択肢を増やすためのプロジェクト「VOTE+?」を立ち上げました。デザインの力で人の心を動かしたいと語る原さんに、活動を始めたきっかけや最初のアクションについて話を聞いてみました。
原 深唯を知る5つの質問

Q1.いま、いちばん力をいれている活動は?
「岡山県の選挙をもっと楽しくしたいという想いから、大学1年生の仲間3人で『VOTE+?』という団体を立ち上げ、代表として活動しています。具体的には、AIを使った政策マッチングサイトの制作や、『未来議会』を参考にした『つやま議会』の開発などを進めています。
『つやま議会』は、岡山県津山市を舞台に、実際に出されている政策や条例案をもとに、もしそれらが通ったら自分たちの生活がどう変わるのかを想像する会議です。いずれは行政と連携していきたいと考え、試行錯誤を重ねています。
さらに力を入れているのは、津山市長選の立候補者と学生が直接話せるイベントの開催です。ただ話すだけではなく、パフェを食べながらお話しするというちょっと変わった企画にしました。パフェを食べながらなら、けんかする人なんていないので(笑)。楽しく話してもらうことで、選挙を身近に感じてもらいたいです」
Q2.活動を始めたきっかけは?
「18歳のときに、正直、選挙って楽しくないじゃんと思ったことがきっかけです。学校の公共の授業では、各政党の政策や議員さんの想いまでは教えてもらえず、『詳しいことは自分で調べなさい』と言われました。それならばとSNSを見ても、嘘か本当かわからない情報や、ネガティブな言葉ばかりが流れてくる。
このことから、どうせなら選挙のことをもっと楽しく知りたいし、友だちとわいわい話しながらいっしょに選挙に行けたらいいなと思うようになりました。わたし自身、これまで別の活動で『これをやりたい』と声に出してみたら少しずつ人が集まって、想像以上に広がっていった経験があって。選挙も同じで、誰かが始めれば変わっていくものがあるんじゃないかと思ったんです。
わたしは、もやもやを見つけたらそのままにしておけない性格です。だってもやもやして死ぬのはいやじゃないですか! 考えているだけで終わるより、たとえひとりでも動いてみたい。だからまずは、自分が楽しいと思えるかたちで始めてみて、その先に選挙をもっと身近で面白いものにできたらいいなと思い、この活動を始めました」

Q3.活動にあたってのファーストアクションは?
「岡山市の『投票所来場カード』のデザイン変更を提案したことです。
子どもの頃、母と選挙へ行ったときから、もっと集めたくなるデザインにできるんじゃないかなと考えていて。18歳になって選挙権を持っても、その違和感は消えませんでした。だから選挙管理委員会へ企画書を持って行き、デザインをさせてほしいと直談判しました。
もともとものづくりがすごく好きで、ないなら作ってしまうタイプです。幼い頃には、アイカツのカードを自分で作って幼稚園で配っていました。自分の手で作ったもので、誰かが喜んでくれるとすごくうれしいので、投票所来場カードの変更にも挑戦してみたんです。
岡山市には選挙のイメージキャラクターがいて、それがとても可愛いんです。だからこそ、そのキャラクターを活かしたデザインにし、サイズもスマホケースに入る大きさへと見直しました。友だちに自慢できたら、集めたくなるんじゃないかなって思って。
提案当日は、デザイン案だけでなくカードの試作まで持っていきました。結果、デザインを採用してもらえて、いまでは選挙にいくと、わたしのデザインしたカードが配られています」

Q4. 活動を通して実現させたいビジョンがあれば、教えてください。
「選挙を『楽しい』と思える学生や若い世代を増やすことです。
政治がタブー視されがちな背景には、人の考えを否定して傷つけてしまうことへの怖さや、面倒ごとを避けたい気持ちがあると思っています。だからこそ、無理に正解を押しつけるのではなく、考えることそのものを楽しめる入口をつくりたいと考えています。
選挙は、誰かを選んで終わるゴールではありません。例えば、岡山にアリーナをつくるかどうかという議論も、まちの活気やお店の数、自分たちの暮らしにどう影響するのかを想像すると一気に自分ごとになります。自分にとって何がうれしくて、何が違和感なのかを考えること自体が、選挙の面白さだと思うんです。
政治はすぐに答えが出るものではありません。だからこそ、考え続けることに価値がある。選挙をきっかけに人やまちを知り、『もしかしたら楽しいかも』と思える瞬間を増やしていきたい。選挙は未来を考えるための通過点であると捉える人をひとりでも増やすことが今の目標です」

Q5. 将来の展望は?
「将来は、選挙関連の活動だけでなく、デザインの力でひとりでも多くの人を『ふふっ』と笑顔にしたいです。
この選挙の活動の中のプロジェクト一つひとつも、自分の中ではデザインであり、作品だと思っています。相手をびっくりさせたい、楽しませたい、いつも新しいことで心を動かしたい。その気持ちは昔から変わらなくて、これはわたしの生き方そのものなんだと思っています。
『選挙って面白くないな』と思って始めたからこそ、ここには自分が面白くできる余地があると感じていて。選挙に行った人が偉い、という世界にはしたくありません。ただ『ちょっと面白そう』『なんか気になる』と思って足を運ぶ。そのきっかけを、デザインでつくれたらいいなと思います。
これからも、自分なりのやり方で人の心をふふっと軽くする挑戦を続けていきたいです」
原 深唯のプロフィール
年齢:19歳
出身地:岡山県岡山市
所属:岡山大学工学部環境・社会基盤系、VOTE+?代表
趣味・特技:ふかふかおふとんで寝ること
大切にしている言葉:「とりあえずやってみなよ」(中学生の頃の恩師の言葉)
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Photo:Nanako Araie
Text:Rinna Koike






