
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、「子どもにやさしいまちづくり事業」についてご紹介します。
新しいまちづくりの形
近年、全国で少子化や都市間の格差拡大が問題となっています。そんな中で注目が集まっているのが、ユニセフが推進する「子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」です。実践する自治体では、子どもの意見を尊重し、行政と地域が一緒によりよい環境をつくっていこうとしています。
現在、日本国内で6の自治体が取り組んでおり、今後も広がっていく見込みです。いったい、どんな取り組みなのでしょうか。CFCIの歴史と、実践する自治体の取り組みをチェックしてみましょう。
「子どもにやさしいまちづくり」とは
1989年に国連で「子どもの権利条約」が採択されて以降、国連を始めとする国際機関では、子どものための事業がおこなわれてきました。1969年には第2回国連人間居住会議で「子どもにやさしいまち事業」が提唱されましたが、当初、中心だったのは、開発途上国で子どもを取り巻く環境の悪化に対し、衣食住を提供したり、教育の機会が持てるようにしたりといった活動でした。ある程度の活動が進んでいくと、たとえ、住環境まで整ったとしても、子どもの成長に不十分であると考えられるようになりました。そこで、いまでは途上国に加えて、先進国でも「子どもにやさしいまちづくり」がおこなわれるようになったのです。

「子どもにやさしい」とは、子どもを“守ってあげる対象”として、困っているから助ける、弱いから守ってあげる、ということではありません。子どもを権利の主体と捉え、子どもの「ために」社会をつくるのではなく、子どもと「共に」社会を作っていくことです。子ども自身が意見を表明でき、それを聞いてもらえることにより、自信や、社会への参加意識を持てるようになる。それを実現するのが「子どもにやさしいまちづくり」だと言われています。

こうした取り組みを前進すべく、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関であるユニセフでは、「子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」を推進しています。
もっとも小さい足元の行政である市町村において、子どもと共に社会を作っていこうとする活動に、2025年12月時点で、開発途上国と先進国を合わせて約40カ国の3,000以上もの自治体が手を挙げています。
日本では6自治体が実践中
日本では、北海道ニセコ町、北海道安平町、宮城県富谷市、東京都町田市、奈良県奈良市、愛知県豊田市の6自治体が「実践自治体」に認定され、活動に取り組んでいます。そして、「候補自治体」として、静岡県磐田市と埼玉県三芳町が承認されており、今後、実践自治体となれるように準備が進められています。
具体的にはどのようなことがおこなわれているのでしょうか。
たとえば、ニセコ町では、町にゆかりのある作家・有島武郎の遺訓である「相互扶助」を基本に、まちの憲法といわれる「ニセコ町まちづくり基本条例」を2000年に制定しており、その第11条では「子どものまちづくりに参加する権利」を規定しています。
多くのCFCI実践自治体で、このような条例や宣言が採択されており、その方針を取った施策のほか、従来の施策が子ども目線ではどのようになるのかといったチェックがおこなわれています。
奈良市では「奈良市子どもにやさしいまちづくり条例」が策定されました。これにより「奈良市子ども会議」が設置され、子どもたちが意見表明したり市政へ参画できる場が作られています。
実際に子どもからの「教室を涼しくしよう」という意見に対し、市はまず、扇風機の増設や、冷水機の設置をおこなっています。その後、エアコンが市立小中学校、幼稚園に設置される運びとなりました。
他の自治体でも、児童館や公園の運営に子どもが関わるような組織を作り、子どもと共に社会を作ろうとしています。
すべての市民が安心して暮らせる社会に
子どもがいち市民として意見を表明できる、それを取り入れたまちづくりの実践は、少数派であったり、選挙権のない人であったりしても尊重される社会を作っていくことへもつながっていきます。つまり、子どもにやさしいまちは、全ての人にやさしいまちへとなっていくとも言えるでしょう。
自分の自治体では市民の意見がどのように取り入れられているのか、チェックしてみてくださいね。
Text:Itsuki Tanaka






