
「気になる10代名鑑」1196人目は、小林結衣さん(19)。油絵でありながら水彩画のような優しい作風で、最近はおもに抽象画を描いている美大生です。高校3年生で入った予備校での友人たちとの出会いが印象的だと話す小林さんに、創作活動におけるテーマや将来の展望を聞いてみました。
小林結衣を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「美大で油絵を学んでいます。油絵と言っても、オイルをたくさん使う油絵の技法を使い水彩画のような作品を描いています。
最近描いた絵は、実家の部屋で布団の中から部屋を眺める構図で描きました。布団の模様なども描き込んで。大学に入ってからは抽象画を描くことが多いのですが、抽象画でありつつも、どんなかたちか想像したり、考えたりする余白を残すことを意識しています」
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Q2. どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?
「『自分が捉えたままをキャンバスに描く』というのを意識しています。目の前にある光景やその色をただ描くのではなく、自分が見て捉えたかたちやそのときの感情を表現できるように、輪郭を取ったり色を選んだりしています。
大学で抽象表現の課題をしたときに、それまで大学受験のために“選ばれる絵”を描き続けてきたせいか、自分で何を描きたいのか分からなくなったことがあって。わたしがつまづいているそのギャップにうまく対応している周囲のクラスメイトを見て、さらに焦りました。
でも、それから自分のスタイルを探していくうちに、図らずも抽象画のような自分の画風に気がついたんです。自分が本当に描きたいものは、受験対策で学んだ物の質感を忠実に表現するような絵ではないんだと、ハッとしました。
自分では何の形か説明できても、他の人にはわからないというのが抽象画の面白いところです。自分のスタイルは、これからも探して続けようと思っています」

Q3. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「大学の受験対策で入った予備校での友人たちとの出会いです。
わたしは高校3年生のときに少し遅れて入ったので、最初は緊張してクラスに馴染めずにいました。でも、互いの作品を見合う講評の時間で、話したことのない友人たちが絵を褒めに話しかけてくれて。その後、彼女たちとは1年間課題や予備校での学びをともにしました。
中学生のときから、仲間と何かを頑張る経験がありませんでしたが、絵を褒めあったりしんどさを共有したりする中で、次第に打ち解けることができました。彼女たちの、素直に絵を褒められるところや自分の絵に自信を持っているところ、絵に対する熱意や向上心は、出会ったときからずっと尊敬しています」

Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「入学当初は、入試対策のために与えられた課題の中で絵を描いていた受験期と違い、テーマや目的を自分で決定しなければいけない状態に困惑したのを覚えています。
これまでとは違う絵との向き合い方を求められたときに、自分の小ささを感じました。特に、1年生の春から秋は『自分が何のために絵を描いているのか』自問自答する日々でした。
いまも答えは出ていませんが、悩みながら試行錯誤する途中で生まれた作品たちは、そのときのわたしそのものを表しているようで、見返すと感慨深いです。もしかするとその答えは変わっていったり、そもそも答えがなかったりするのかもしれませんが、考えながら描いていくのがいまの目標です」
Q5. 将来の展望は?
「しばらくは、大学の勉強とひとり暮らしの両立を頑張ります。そして、これからも絵を描いていく中で『自分が何のために描いているのか』を考えることを忘れないようにしたいです。
将来は、美術教師になることが夢です。高校だったら絵に興味がなくても美術を学ぶと思うんです。そこで油絵とか絵の面白さに気づいてもらいたいですね。
高校の美術の顧問が、朝早く来て廊下掃除していたり大学受験のときにアドバイスをもらったりしていて。わたしの憧れの先生なんです。彼女のように、自分も楽しみながら生徒も楽める授業をする教師になりたいです。そのために美術と向き合う経験をたくさん積んでいきたいですね」

小林結衣のプロフィール
年齢:19歳
出身地:千葉県鎌ケ谷市
所属:多摩美術大学絵画学科油画専攻
趣味:マーダーミステリー
特技:好きなものに夢中
大切にしている言葉:楽しむ
小林結衣のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa






