
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、2026年1月17日(土)より公開中の映画『イマジナリーライン』をご紹介します。
Z世代の監督が入管問題をテーマとした理由
若者の友情を通し入管問題が描かれる映画『イマジナリーライン』は、東京芸大大学院で映像制作を学んだ監督をはじめとした、Z世代のメンバーがチームを組み、制作されました。

©2024東京藝術大学大学院映像研究科
入管とは法務省が管轄する「出入国在留管理庁」の略称で、外国人の出入国や日本に居住するための管理をおこなっています。
そして入管問題とは、難民申請中や非正規滞在状態などの外国人の在留や入国に関するさまざまな問題の総称です。その中でも、本作は以前より国連の人権条約機関からも見直しの勧告を受けている、不法滞在状態や難民申請中の人を一時的に収容する入管施設の体制に一石を投じています。
2021 年3月、国内外で日本の入管制度の在り方について議論を巻き起こすこととなる事件が起こりました。名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性ウィシュマさんが、適切な医療措置を受けられず亡くなったのです。さらに、2023 年 6 月には厳罰化がさらに進んだ内容である、入管法改正案が採択されました。
「県境を越えた」ことで一変した親友の人生
『イマジナリーライン』の主人公は、映画学校を卒業しアルバイト生活を送る山本文子(中島侑香)。親友のモハメド夢(LEIYA)を演者として自身の作品を撮り、映画製作の夢を追うある日文子の幼馴染である船橋(丹野武蔵)を夢に紹介し、音楽好きのふたりは意気投合します。
文子の母は1年前に亡くなっており、なかなか気持ちに区切りをつけられずにいた文子に、夢は遺灰を海にまくことを提案しふたりは鎌倉の海を目指します。
ここまでは希望に満ち溢れた若者たちの日常が映し出されていますが、旅先で突然夢が警察に逮捕されてしまったことで彼らの人生はこの日を境に一変。実は、夢は日本で生まれ育ったものの在留資格を持たない「難民二世」でした。自由な移動が認められていないため、県を越えたという理由で入管施設に収容されてしまいます。

©2024東京藝術大学大学院映像研究科
自身の責任を感じた文子は、難民や入管について学び夢の解放に向けアクションを開始。一方、夢は施設で入管職員の立場の船橋と再会しますが、彼の態度は以前とまったく異なるものでした。
「難民」や「外国人問題」と聞くとどこか遠く思える部分がある人も多いかもしれません。どこにでもいる普通の若者たちの目線から入管問題をとらえた『イマジナリーライン』は、すぐ身近にいる人々の物語であると感じることができる作品です。

©2024東京藝術大学大学院映像研究科
また、本作の監督の坂本憲翔さんは、ウィシュマさんの事件の風化や近年日本社会に見られる外国人差別の風潮に危機感を覚えており、作品を通してこの国の「いま」について一緒に考えてみたいとコメントしています。
映像美や若手俳優の演技にも注目!
ますますグローバル化が進み外国人との共生が当たり前となる昨今。本作は、そうした現状と切っても切り離せない入管問題を知るためのはじめの1本としておすすめです。
加えて、坂本監督が撮影時にとり入れたという即興演出による、俳優たちの生き生きとした演技や映像美も楽しめる作品です。
タイトルの『イマジナリーライン』とは、映像制作の専門用語で、向かい合う人物の間をむすぶ“仮想的な線”のことだそう。作中では人と人との間に引かれる「見えない線引き」として分断や連帯が表現されている点にも注目してみてください。
『イマジナリーライン』概要
2026 年1月17日(土)より、ユーロスペース他全国順次ロードショー
監督・脚本:坂本憲翔
出演:中島侑香 LEIYA 丹野武蔵 早織 松山テサ 鈴木晋介 諏訪敦彦 生津徹 Obueza Elizabeth Aruoriwo
2024 年 / 日本 / カラー / スタンダード / 5.1ch / 90min
配給:Lamp. ©2024東京藝術大学大学院映像研究科
公式サイト:https://www.lamp-kk.com/imaginary-line/
Text:kagari






