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食、アニメ、ゲーム…次の海外人気は日本発の書籍? ヒットの兆しに注目!【Steenz Breaking News】

食、アニメ、ゲーム…次の海外人気は日本発の書籍? ヒットの兆しに注目!【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、海外で注目が集まりつつある日本の書籍についてご紹介します。

海外で人気を集める日本の文化やコンテンツ

昨今、日本のさまざまな文化やコンテンツが海外で人気を集めています。

例えば、最近話題なのは抹茶です。世界的な健康志向の高まりにより、アメリカなどで空前の抹茶ブームが起きています。特にシックで落ち着いたライフスタイルを求めるアメリカのZ世代の間では、コーヒーの代わりに抹茶ドリンクを飲むのがトレンドだそう。

もちろん、以前から海外で人気のある日本発のゲームやマンガ、アニメも好調です。直近では、人気マンガ『NARUTO』の世界観を再現した「NARUTO – 木ノ葉ランド」が南フランスのテーマパーク「パルク・スピルー・プロヴァンス」内にオープンすることが話題に。物語の舞台のひとつである「木ノ葉隠れの里」を再現したエリアが今年中にオープンするとのことで、同作ファンの期待が高まっています。

このほかにも『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』や『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』が北米で大ヒットを記録するなど、日本生まれの文化やコンテンツが世界中の人々を魅了しています。

次のブームは、日本発の書籍?

そうしたなかで近年、小説や実用書などの日本の書籍が海外で注目されています。

実用書の領域で有名なのは、「こんまり」こと近藤麻理恵さんの『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版、改訂版は河出書房新社)シリーズでしょう。同シリーズはアメリカで584万部、世界でも2023年1月時点ですでに1400万部が売れているそうです。また、書店でよく見かけるアドラー心理学を解説した自己啓発書『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社)シリーズも、中国で296万部、韓国で174万部、台湾で97万部と、アジア圏で多くの人に読まれているようです。

イギリスでは日本文学ブームが到来中

イギリスではここ数年、日本文学ブームが到来しています。イギリスの大手日刊紙『The Guardian』によれば、2024年に英国内で販売された翻訳フィクションの売上上位40作品のうち、43%が日本の作品だったそう。売上トップは柚木麻子さんの『BUTTER』で、同書は英国内の書店員がキュレーションし、一般投票で決まる「Books Are My Bag読者賞」で2024年にブレイクスルー作家賞も受賞しています。

『The Guardian』は、イギリスで日本の文学作品が支持される理由として、大きくふたつの特徴を挙げています。ひとつ目が、日本の文学作品が後期資本主義の問題やジェンダー、フェミニズムの問題をイギリスの文学とは異なるアプローチで扱っていること。ふたつ目が、善と悪の境界があいまいで、悪役には良いところを、善良な人物には欠点を持たせて描くことで、結末が多彩な展開になりうることです。同紙で識者は、イギリスで日本文学ブームが去ったとしても、市場に日本の書籍は残り、いずれは文学研究などの対象にもなるのではないかと語っており、英国内で日本の作品が深く根を張っていることがうかがえます。

出版関係者の商談会も盛況。海外での印刷支援サービスも

書籍の版権(著作物の複製・販売をおこなえる権利)を扱った商談会も、海外からの来場者が増えているといいます。2025年11月5日と6日に東京・文京区の東京ドームシティでおこなわれた『TOKYO RIGHTS MEETING(東京版権説明会)2025』では、日本や中国、フランス、ウクライナから108社が出展し、2日間で中国、韓国、台湾、タイ、インドネシア、米国、イタリアなど19の国・地域から計182社、約550人の出版関係者が来場したとのこと。2024年は出展が79社、来場が92社だったため、2025年の商談会がいかに国内外の関係者から注目を集めたのかが分かります。

こうした日本の書籍ブームの高まりを受け、大手印刷会社の大日本印刷(DNP)は、日本の書籍を海外で1冊から印刷し、個人向けに配送できる仕組みを2026年に構築すると発表しました。この仕組みでは、国内の出版社から集めた書籍のデータを、世界で使われている書籍データネットワークに登録。海外でECサイトなどを通じて注文が入ると、現地の出版社などが印刷・配送できるようになるそうです。

国内出版不況の起死回生となるか

日本はいま、出版不況のさなかにあります。出版業界の売上のピークは1996年で、それ以降、毎年のように販売額を減らしてきました。公益社団法人 全国出版協会 出版科学研究所が公表した直近のデータでも、2024年における紙の書籍の売上は前年比95.8%と下落。非常に厳しい市場環境が続いています。そうしたなかで沸き起こった海外における日本の書籍ブームは、苦戦を強いられている出版業界の各社にとって希望の光と言えるでしょう。

特に文学作品には、それが書かれた国の価値観や文化、ライフスタイルなどが色濃く表現されるもの。日本の文学が世界で多くの人に読まれるようになれば、国際理解がさらに進み、日本と各国との間でのコミュニケーションがとりやすくなる未来も訪れるかもしれません。

References:
Surrealism, cafes and lots (and lots) of cats: why Japanese fiction is booming | Fiction in translation | The Guardian
公益社団法人全国出版協会 出版科学研究所 出版指標

Text:Teruko Ichioka

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Teruko Ichioka

ライター・編集

フリーライター。好奇心の強さは誰にも負けない平成生まれ。得意領域もスタートアップ、ビジネス、アイドルと振れ幅が広い。

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