
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、ナイジェリアではなぜ誘拐事件が多発しているのか紹介します。
ナイジェリアで8,000人が犠牲となる誘拐とテロ
アフリカで絶えない誘拐事件。最近、とくにナイジェリアでは身代金目当ての誘拐事件が多発し、多くの子どもや一般市民が被害者となっています。
11月21日にはナイジェリア中部のカトリック学校から300人以上の児童と12人の教師が武装集団によって誘拐されました。現地メディアの報道によると、武装勢力は学校で空中に発砲し、「逃げたら撃つ」と脅した上、人質を森に監禁しました。
12月22日時点では、拉致された全員が解放されたと報道されていますが、政府が身代金を払ったかどうかは明らかではありません。
12月14日にはナイジェリア中部のコギ州にある教会でも、武装した集団が礼拝中であった人々を少なくとも13人、誘拐しました。
ナイジェリアでは誘拐とテロ攻撃が頻発しており、今年だけでも8,000人以上が犠牲となっています。
複雑化する武装勢力
なぜ、ナイジェリアではこれほどまでに誘拐が多発しているのでしょうか。
理由のひとつは、武装勢力の存在です。ナイジェリアには、イスラム過激派組織や、先住民による独立を目指すもの、イスラム教シーア派による武装団体など、テロ・反政府武装組織が複数存在しています。

そして、これらの武装勢力による誘拐では場合によっては数千ドルにおよぶ身代金を払うことで解放されるケースが多く、「身代金ビジネス」として成立してしまっているのです。
ドナルド・トランプ氏は「これはクリスチャンの虐殺だ」と述べました。ナイジェリアにおいてイスラム教徒は53%、キリスト教徒は45%です。今回の誘拐事件ではカトリックの学校が標的となっていること、武装勢力の中にはイスラム過激派の組織も含まれていることなどがこうした発言につながったとと考えられます。一方で、専門家やジャーナリストの中にはキリスト教徒だけが犠牲になっているわけではないと指摘する声もあがっています。

ナイジェリア政府は誘拐事件が絶えない現状に対して、軍と警察に働きかけ武装グループの解体に努めていますが、遠隔の農村地域などでは対応が間に合っていません。
失業率の高さや、石油資源のある地域の経済格差などが、若者が武装視力に加入する原因となっていると言います。政府には、誘拐特化の国家対策部隊の設立や、誘拐被害者のトラウマへの対処に加えて、雇用の創出、経済格差の是正など、根本的な課題への対応も求められています。
References:
ALJAZEERA「Nigeria school kidnapping: Who’s behind it, why were children targeted?」
ABC News「’They said they’d shoot us’: Nigerian child recalls how he was taken in mass school abduction」
BBC「’Bandits’ kidnap worshippers during church service in Nigeria」
The New York Times「One Hundred Schoolchildren Released After Kidnapping in Nigeria」
英国内務省「国別背景情報 ナイジェリア」
Text:Hao Kanayama






