2025.12.23 Teen's Snapshots

なんでここで諦めちゃうの？冷めた自分を変えてくれたミュージカル団体に恩返し【猪間柚奈・19歳】

「気になる10代名鑑」の1158人目は、猪間柚奈いのまゆなさん（19）。高校生のためのミュージカル団体で、現在はOGとして後輩たちの活動を支えています。“19歳”という複雑な心境をテーマに、友だち4人で写真集を作成中だという猪間さんに、活動のきっかけや将来の展望を聞いてみました。

猪間柚奈を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は？

「『Aquarise』という高校生のためのミュージカル団体で、高校生が舞台表現を通して成長できる場を提供しています。現役時代は、演者をやりつつ制作や渉外などの事務作業もやっていました。高校卒業後のいまは、OGとして歌唱指導や事務作業で高校生たちを支えています。

あとは『YON』という名義で、友だち4人と『19歳の間にやりたいこと』をテーマに写真集を作成中で。3月の出版を目指していて、これまで2回撮影をおこない、年明けに編集作業に入ります。わたしは編集と販売作業の担当なので、これからが力の見せどころです」

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Q2. 活動を始めたきっかけは？

「Aquariseの前身である『Aqua』の当時の代表が、あるイベントで歌っていたわたしの歌を聞いてくれていたんです。

『この子といっしょにミュージカルをやりたい！』と思ったそうで、声をかけてもらいました。団体説明会で自分と違う価値観で頑張っている子の姿を見て、『わたしの持っている力を駆使したら、もっとこの団体をよくできる！』という謎の使命感に駆られて、その場で参加を即決しましたね（笑）。

わたし自身、10歳から地元の児童劇団でミュージカルをやっていて。でも、Aquaの活動を知ってから、これまで出来上がっている舞台に出させてもらっているだけだったんだなと感じました。いままでこんなに舞台に打ち込んだことがなかったなと。自分たちで死に物狂いで資金を集め、場所を取って……。そうやって作り上げた舞台の感動が忘れられませんでした。

YONの活動は、偶然知り合った4人で遊んだときに、『ただの友だちで終わらせるのはもったいないから、4人で何か成し遂げよう！』という話になり、始まった活動です」

Q3. 自身のクリエイティブに影響を与えたものは？

「“19歳”という複雑な心境です。早く大人になりたい半面、子どものままでもいたい……。

小さいころから、なんとなく、大学に入学してから29歳までの期間を心待ちにしていたんです。楽しみにしていた分、無駄にしたくないという焦りもあって。そんな複雑な気持ちが『YON』のコンセプトにつながっています。

あとは、10代という貴重な時期に出会った人たちとの“いま”を残したい、この瞬間を未来へ残したいという気持ちもあるんです。いまはそうした繊細なテーマを、どう写真集という形に落とし込むのか、仲間たちと話し合っていて。時に楽しく、時に喧嘩をしながらですが、そんな時間も楽しんでいる自分がいます」

Q4. 活動する中で、印象的だった出会いは？

「『Aqua』の仲間との出会ったことで、それまで冷めていたわたしは、人前で感情的になるということの大切さを学びましたね。

毎年その年のテーマ曲を公演で歌うことになっているのですが、3月の公演本番直前になってもテーマ曲がなかなか完成しなかったんです。それで、代表が、本来はダンスも歌も全員がやる予定だったけれど、それを分けようって言いだして。わたしは苦手なダンスをものすごく練習したし、歌唱指導も担当してみんなの頑張りを見てきたから、『なんでここで諦めちゃうの？』と怒ったんです。

後日、代表が『柚奈に言われたのが悔しかったけれど、後から考えたら嬉しいことだった』と言ってきました。それで、『わたし、変わったんだ』と思って。自分が人に感情をさらけ出せるようになってから、他人の感情も大事にできるようになった気がしています。人に優しくなれた気もしていて、『Aqua』のメンバーには感謝しています」