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規格外トマト150万個に新たな価値を。熊本県発のフードロス削減プロジェクト【Steenz Breaking News】

規格外トマト150万個に新たな価値を。熊本県発のフードロス削減プロジェクト【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、熊本県の企業が進める規格外トマトを活用したプロジェクトについてご紹介します。

トマトの生産量日本一を誇る熊本県

身近な野菜のひとつである「トマト」。タキイ種苗株式会社の「2025年 野菜に関する調査」や、カゴメ株式会社の「カゴメ野菜定点調査2025」では、最も好きな野菜1位にトマトが選ばれています。そんな人気野菜トマトの生産量日本一を誇るのが、熊本県です。理由としては、1年を通じて気候が温暖で日射量も多く地形も多彩なこと。これらの条件が揃っていることにより、年間の安定した出荷が可能になっているのだそう。

しかし、理想的な環境下で育てられた美味しいトマトであっても、サイズや色などを理由に「規格外」と判断され、市場に出せない場合もあります。熊本県では、年間数百トンが廃棄されているそうです。また、この問題はその他の県や野菜でもおきており、フードロスにつながるとして各地で改善が急がれています。

規格外トマトを活用!「くまもとトマトロジープロジェクト」

九州産乾燥野菜の製造・販売をおこなう株式会社HOSHIKO Links(以下、HOSHIKO)は、規格外トマトのフードロス削減を目指す「くまもとトマトロジープロジェクト」を展開中です。

2018年に始動した同プロジェクトは今年で6年目に入り、活用した規格外トマトは300トン(約150万個、1個200g換算)に達する見込みだそう。トマトはドライトマトに加工され、石鹸やスープなどの材料として使用されています。最近は、ペットフードやセミドライトマトなど新商品の開発にも力を入れているそうです。こうした規格外トマトの加工商品により、フードロス削減に加えて、熊本県産トマトと生産者の認知拡大や、持続可能な事業モデルの構築も進めています。

規格外トマトの活用事例を紹介

実際に、規格外トマトをどのように活用しているのか見ていきましょう。例えば、熊本県・八代地域の「農業組合法人 八協連」とのケース。全国のトマト出荷量の30〜40%を占めるこの地域では、1日平均して約360,000個採れるトマトのうち、約1,200個が規格外になっていました。そこでHOSHIKOは、収穫時期に出た規格外トマトを提供してもらい乾燥加工を施し、それを原料にレトルトカレーを開発しました。

その他にも、熊本県内の老舗食用油メーカー「肥後精油」とは、ドライトマトの栄養成分を活かした「リコピンオイル」を商品化。抗酸化成分が豊富なエキストラバージンオイルにドライトマトのリコピンが加わり、より酸化しにくくなっているそうです。詳細が気になる方は、HOSHIKOのホームページを覗いてみてください。本記事で紹介した事例以外にも、多様な取り組みが掲載されています。

規格外野菜も選択肢のひとつに

トマト以外にも、全国には規格外を理由に市場に出すのが難しい野菜や果物があります。HOSHIKOのように、規格外野菜の活用を進める企業が増えることを期待したいですね。そして最近は、規格外野菜を道の駅や通販などで購入できる場所や方法も増えていますので、ぜひ活用してみてください。個人が購入する量は少ないかもしれませんが、利用者が増えることによりフードロス削減に大きく貢献できます。

Reference:
『2025年度 野菜に関する調査結果』を発表|タキイ種苗株式会社
「カゴメ野菜定点調査2025」|カゴメ株式会社
トマトまるごと まるわかり!|農林水産省
トマトロジープロジェクト|HOSHIKO
TOMATO CURRY|トマトロジープロジェクト|HOSHIKO
LYCOPEN OIL|トマトロジープロジェクト|HOSHIKO

Text:Yuki Tsuruda

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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