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「フォートナイト」の空間で縄文時代について学ぶと…?メタバース技術で教育の未来をつくる高校生【高松優大・18歳】

「フォートナイト」の空間で縄文時代について学ぶと…?メタバース技術で教育の未来をつくる高校生【高松優大・18歳】

「気になる10代名鑑」の1156人目は、高松優大ゆうたさん(18)。国際バカロレア(IB)とメタバースを融合した教育プロジェクト「メタロレア」を立ち上げ、各地で授業をしながら、新しい教育のあり方を提案しています。教育に対する違和感を自分の好きなゲームで乗り越えようと励む高松さんに、活動の原点や、これからの時代の学びについて聞いてみました。

高松優大を知る5つの質問

Q1.いま、力を入れていることは?

メタバース技術を使った教育プロジェクト『メタロレア』の開発に力を入れています。

ゲームの人気タイトル『フォートナイト』上で、縄文時代や弥生時代の遺跡などを再現したメタバース空間を使って、実際に中高生に授業をするという試みをしています。ちなみに、メタロレアという名前は、国際バカロレア(IB)の問いを大切にする教育理念と、メタバース技術の2つから取っています。

授業では、自分のゲーム機を持ち寄り、お互い知らない生徒どうしで同じメタバースの空間に入ります。オンラインゲームって、初対面の相手とボイスチャットで話す文化が普通にあるじゃないですか。だからゲームを使うことで、格段に打ち解けやすくなるんです。

文字と違って空間を使って学べるので、見える景色を一度自分の言葉で言語化するという作業が入って、理解度もすごく上がるんですよね。いわば、生徒自身の解釈や言葉を大切にしながら知識を身につけられる、教育の仕組みなんです。

いまは学生団体EToEを立ち上げ、仲間を集めながら、メタロレアの普及を目指しているところです」

 

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Q2.活動を始めたきっかけは?

「教育の形に疑問を持ち、国立の小学校から国際バカロレア校に転校したことがきっかけです。

小学生のとき、友人が受験のために教科書の知識をひたすらインプットしようとしている姿を見て。自由に個性を出さずに、ひたすら標準化されていく周りをみていると、『教育ってどうあるべきだろう……。』と考えるようになって。

そんなときに見つけたのが、沖縄の国際バカロレア校で、東京から沖縄に転校するために親を説得しました(笑)。実際通ってみると、知識を詰め込むのではなく、質問や問いを出発点として知識を組み立てていく学びができて。さまざまな特技や個性が認められて、そこから生徒が主体性を持てる空気感があって、居心地がよかったです。

そんな感じで、個性を標準化するのではなく多様性を教育の中に活かすために、ゲームの力が使えるんじゃないかと思ったんです」

Q3.活動で大切にしていることは?

「謙虚さと、無知の知を大切にしています。誰かの話を聞く時には、常に『ぼくが知らない世界を教えてくれる人だ』『どうやってその意見に辿り着いたんだろう?』と想像しながら相手と向き合うようにしていて。

実際、授業で子どもたちから学ぶ瞬間は本当に多いんです。例えば、縄文時代の遺跡について学ぶワークショップで、歴史漫画の知識で高床倉庫の話をしてくれた子がいて、ぼくにも思いもよらない視点の意見をくれることもあって。生徒の主体性があってこそ、予想外の学びや発見が生まれて、それがすごく面白いんですよね。

そうした瞬間に、やっぱりどんな人にも必ず力があって、それが表に出る瞬間が素敵だって改めて感じて。地道な対話を大切に、人と関わっていきたいです」

Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?

個性や可能性を最大限に活かすことができる社会を実現したいです。

この世に生まれる全ての人が、人生の中で唯一無二の個性を見つけられるはずだと思っているのですが、いまの社会の仕組みでは個性を活かすことができる人は限られているんじゃないかって。まずはメタロレアの授業を通して、ひとりでも多くの生徒の個性を見つけ出していきたいです。

そんな社会を実現するために必要なのは、共感力なんじゃないかって。人は居場所があることで他者を尊重できるけれど、居場所を失うと分断が広がってしまう。だからこそ、個性や軸の違いで優劣をつけずに、ただ違うフィールドで生きているだけだという前提を受け入れられる人が増えていけばいいと考えています

Q5.将来の展望は?

メタロレアを、いちメタバース空間を超えて、みんながつくりあげるプラットフォームにしていきたいです。

いまでもたくさんの大企業がメタバース空間を開発することは多いのですが、メタバースの中でしか経済が回っていないのがすごくもったいなく感じていて。だからこそ、もっとどこからでもメタロレアの教育にアクセスできるように、仲間を巻き込みながら活動の影響力を高めていきたいです。メディアや人工知能など新しい技術の開発にも挑戦してみたいなと。

教育の仕組みの変革に貢献するために、これからもぼく自身に問いかけ続けていきます」

高松優大のプロフィール

年齢:18歳
出身地:東京都中央区
所属:東京都立国際高等学校 国際バカロレアコース、学生団体EToE
趣味:鉄道、ジオラマ、折り紙、自作PC、電子機器の修理、写真、動画編集、ゲーム、ピアノ、作曲、国会傍聴、旅行
特技:折り紙、対話と妄想、けん玉、電子機器をいじること
大切にしている言葉:無知の知

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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami

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Taishi Murakami

ライター

ライター。2025年4月にSteenzへジョイン。大学生活の傍ら「気になる10代名鑑」をメインにインタビューから執筆まで記事制作を担当している。スタートアップ、建築、メディアまで多方面への関心を活かして活躍中。

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