
「気になる10代名鑑」の1142人目は、大井湧瑛さん (17)。インターンマッチングサービス「OASIS」を立ち上げ、静岡の高校生と地元企業をつなぐ活動をしている、高校生起業家です。「働くって楽しい」と誰もが感じる社会を目指して活動する大井さんに、活動を始めたきっかけや、これからのビジョンを聞いてみました。
大井湧瑛を知る5つの質問

Q1.いま、いちばん力を入れている活動は?
「高校生インターンマッチングサービス『OASIS』の運営です。
OASISは、静岡の高校生と地元企業をつなぎ、『情報不足』と『体験不足』を解消するためのサービスです。プロによるキャリアカウンセリングと企業でのインターンシップを通して、高校生が地元企業の魅力を知り、納得感のある進路選択をできるよう支援しています。
現在は2人の高校生メンバーとともに、地元限定で運営しています。『働くことが好き』という気持ちから始まったこの挑戦で、地元に新しい風を吹かせたいと思っています」

Q2.活動を始めたきっかけは?
「久しぶりに会った友人から『求人票の見方が分からない』『やりたい仕事がないから働くのが怖い』と聞いたことがきっかけでした。
働くということに対して、前向きになれない人が意外と多かったんです。自分自身は『早く社会に出たい』と感じていたので、同世代が希望を持てない環境に、強い違和感を覚えて……。
課題を変えるには、自分が声を上げて動くしかない。そう思って、この活動を始めました」
Q3.活動を始めるときに、最初におこなったアクションは?
「まず、起業というものを学ぶところから始めました。
静岡の起業家育成プログラム『FUJI』の1期生として参加し、地元のメンターから経営や企画の基礎を教わりました。同時に、企業側へのヒアリングをしながら、高校生が抱える不安と企業が求める人材像のギャップを探っていきました。
起業なんて自分には無理だ……なんて思っていたけれど、FUJIで出会った仲間や大人たちとの時間が自分を変えてくれました。メンターから言われた『君は起業家だよ』の一言は、いまも忘れられません」

Q4.活動を続けている中で、印象的だった出会いや出来事は?
「活動を始めたばかりのころは、多くの困難がありました。
参加していたプログラムで、『ビジネスとして成立していない』と厳しいフィードバックを受けました。悔しかったけれど、当時は自分の行動量が足りていなかったのも事実でした。
それでも、メンタリングやリサーチを重ねていくうちに、より前向きなフィードバックをもらえるようになったり、共感してくれる仲間が増えたりしていきました。ローカルビジネスにこそ可能性があると気づけたのは、この壁を越えたからこそだと思います」

Q5.今後の展望は?
「すべての人の働きがいが、生きがいになる社会をつくりたいです。
小さい頃、仕事が合わずにつらそうだった母が、新しい部署に異動してから毎日楽しそうに働くようになりました。その姿を見て、『仕事は人生を変えられる』と実感したのを、いまでも覚えていて。
高校生が給与や休日の日数など条件だけで職を選ぶのではなく、『自分にとっての働く意味』を見つけられる社会にしたい。誰もが“働くって楽しい”と心から言える未来を実現します」
大井湧瑛のプロフィール
年齢:17歳
出身地:静岡県静岡市
所属:HR高等学院
趣味:釣り、キャンプ、温泉、アニメ
特技:pressure makes diamonds
Photo:Nanako Araie
Text:Taisei Sawamura






