
「気になる10代名鑑」の1207人目は、喜多龍之祐さん (19)。吃音当事者として、音楽を通じて吃音を持つ人の悩みを解決するべく、音楽団体を立ち上げました。「歌っているときは症状が緩和される」こともあるという点に自ら気づき、活動を始めた喜多さんに、印象的だった世界大会での挑戦や実現したいビジョンについて聞いてみました。
喜多龍之祐を知る5つの質問

Q1.いま、いちばん力を入れている活動は?
「吃音を持つ学生による音楽団を運営しています。
吃音を持つ高校生から大学生といっしょに、これまでライブやトークショー、オリジナルソングの制作をおこなってきました。また、この活動から吃音と音楽の未知なる関係に興味を持って。大学では音楽神経科学という学問を研究しています」

Q2.活動を始めたきっかけは?
「吃音の学生がカフェを運営するイベントに参加したことです。
小学3年生のころから吃音を持っていたのですが、 その悩みを共有できる相手はいませんでした。こうした中、高校1年生のときにカフェイベントに参加して。そこでは、吃音に悩む同世代の人に出会うことができて、一人で悩まなくてもいいと知ることができたんです。
参加者同士の交流のなかで、自分も含めて、吃音を持っている人の中には、歌っている時には吃音が緩和されるという特徴があることを共有したことがあって。そこから、音楽と吃音を掛け合わせて何かできないかと考えたとき、音楽団をやってみようと思いつきました」
Q3.活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「吃音当事者の悩みを解決したいと思って始めた音楽団の活動を続けていく中で、川崎市文化財団が運営する『ぱらあーとねっと』という障害と芸術活動を掛け合わせた事業の一環として、採択を受けました。また、川崎市で面白い活動をしている人を100人紹介するポスターにも掲載され、活動の輪がより広がっていきました。
なかでも印象的だったのが、『stutter fest』という吃音の世界大会にオンラインで登壇したことです。おもにいまの活動に関する発表をおこなったのですが、学会という場で学術的なことではなく、当事者のケアについて発表できたことに大きな意義を感じています」
Q4.最近、新しく始めた挑戦はありますか?
「『どもロック』」という新しいイベントを主催しています。
『どもロック』とは吃音を持つ学生が午前中に練習をおこない、午後に発表するという企画です。これまでは、音楽の発表をメインに活動をおこなってきたのですが、今後より当事者たち同士の大きな輪を作っていこうと考え、この企画を考えました。
練習や発表を通して、より吃音当事者同士の交流を深めたり、活動の入り口を広げたりすることができていると感じていて。参加者から『吃音に悩んでいる自分とは違う自分と出会えた気がして楽しかった』と言ってもらえたときは、とてもやりがいを感じた瞬間でした」
Q5.今後の展望は?
「吃音で悩む人がひとりでも少なくなるような社会を音楽を通してつくりたいです。
吃音の治療について病院で話を聞いた時に、吃音を治すトレーニングをするか、個性として受け入れるかのどちらかだよと言われた経験があります。いま、吃音当事者に必要なのは、そのような二択ではなく一人ひとりに合ったケアであると考えています。
現在は、吃音当事者の悩みを音楽を通して解決しようと活動していますが、今後はより『話す』ということにも焦点を当てていきたいと考えています。
これまでの活動と音楽神経科学の知見を活用して、吃音を持つ人が暮らしやすい社会をつくっていきたいです」

喜多龍之祐のプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県川崎市
所属:慶應義塾大学環境情報学部、コンアニマ〜吃音を持つ学生による音楽団〜
特技:ドラム、スティールパン
Photo:Nanako Araie
Text:Taisei Sawamura







