
タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは、「最近気になった時事問題」について。AIの倫理から世界を揺るがした銃撃事件まで、いま社会で起きていることを、自分ごとに捉えるティーンたちの声を聞いてみました。
1. 嬉々さん「強い相手を妬まず挑み続ける姿勢に心が動かされた」

お芝居を通じて、痛みを抱えるひとに寄り添える役者を目指し、日々稽古に励んでいる18歳。
「先日開催された世界陸上の棒高跳びで、スウェーデンのアルマント・デュプランティス選手とギリシャのエマノイル・カラリスが、競い合いながらも互いを尊敬し、高め合っている姿に心を打たれました。
今回カラリス選手は2位という結果でしたが、常に1位であるデュプランティス選手をライバルとして追いかけ続けていて。自分より強い相手を、妬むことなく挑み続けるその姿勢は、スポーツに限らず、どの分野にも通じる大切なことだと思います。
そうした気持ちがあるからこそ、自分も相手も大切にできる心が生まれるのだと感じ、自分もその心を持ち続けたいと思いました」
2. 重松 飛燕さん「移民問題から感じた現実とのギャップ」

中学時代に出会った仲間とのつながりを原点に推しが時間を管理するアプリ「推しがり!」のエンジニアとして、アプリ開発に携わっている16歳。
「移民問題に関するニュースが気になりました。
昨年の冬に、魚の加工施設でアルバイトをしていたのですが、そこで働いていたひとの半分以上は外国人の実習生でした。いっしょに働いていた実習生たちは、やさしくて自分のことを気遣ってくれる人ばかりでした。
よくニュースで取り上げられるような問題を起こす人たちだとは到底思えなくて……。一方で、実際にひどい事件を起こしてしまう人がいることも事実です。自分のなかでこの問題にどう向き合っていけばいいのか、答えがみつからずに、難しい問題だと感じています」
3. Souさん「AIが人の命に関わる時代。開発の責任と進歩のバランスを考えたい」

逗子開成高校の部活で、能登半島でのボランティアや珠洲焼の販売企画など新しいボランティアのかたちに挑戦している16歳。
「最近気になったのは、AIが16歳の少年の自殺を助長したというニュース。
今年の8月にアメリカに住んでいる16歳の少年が、AIへ自殺願望を打ち明けたところ、相談の末に自殺の方法や遺書の作成を提案され、少年の自殺を助長したとして、少年の両親がAIの会社を訴えたという事例です。
AIの開発が進んでいるなかで、自動運転やロボットといった労働としての力も期待されています。自動運転で人をひいてしまったり、医療上の誤診をしてしまったり、開発者へも責任が課せられる可能性があるのならば、AI技術の進歩も止まってしまうのではないかと感じました」
4. 長谷川航之輔さん「銃撃事件から感じた、人の影響力の大きさと問いかけ」

アメリカ・シアトルでの留学経験をきっかけに、留学の魅力を発信しはじめた17歳。
「9月10日にユタ州オレムのユタバレー大学で、チャーリー・カーク氏が講演中に銃撃され亡くなったというニュースを知って、衝撃を受けました。
政治に詳しいわけではないけれど、『計画的殺害』といわれている事実自体について気になりました。ひとりの人間がどこまで影響力を持ちうるのか。どこまでの価値があれば命を狙われてしまうのか。英雄とも称されていたというチャーリー・カーク氏にどれくらいの実勢と可能性があったのかが気になりました。
また、実際に銃撃の瞬間を捉えた映像や目撃証言が報じられており、それを見てしまったことも印象に残っています」
世界陸上をみて心を震わせたティーン、移民問題やAIの危険性から将来を考えるティーン。海外で起こっていることを身近に感じているようです。これからも「10代リアルVOICE」では、世の中を自分ごととして捉えるティーンの視点を伝えていきます。
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano