Teen's Snapshots

「カメレオン漫画家」としてさまざまな作風に挑戦中。自身の漫画で、誰かの日常にささやかな楽しみを与えたい【最早風鈴・19歳】

「カメレオン漫画家」としてさまざまな作風に挑戦中。自身の漫画で、誰かの日常にささやかな楽しみを与えたい【最早風鈴・19歳】

「気になる10代名鑑」の1091人目は、最早風鈴もはやふうりんさん(19)。高校時代の同人活動やpixivへのイラスト投稿を経て、現在は小説のコミカライズや企業の制作協力に取り組んでいます。さまざまなジャンルに沿って自分の表現を多彩に変化させていく「カメレオン漫画家」を名乗る風鈴さんに、その創作観や実現したい今後のヴィジョンについて聞いてみました。

最早風鈴を知る5つの質問

Q1.いま、力を入れていることは?

「駆け出し漫画家として、創作活動に力を注いでいます。

おもに取り組んでいるのは、ネットで投稿され賞を取った”なろう系”小説を漫画化する、いわゆるコミカライズです。いまは、企業やメディアに直接営業をして案件をもらいながら、作品を通して、いろんな技法や構図を試して表現を磨いているところです。

小説のコミカライズはいわゆる分業制で、制作の一部分だけを担当する仕組みで。なかでも、わたしは、ネームやコマ割りを決めていく制作のディレクションが得意です。文字情報だけの小説を、どう漫画にしていくのか。構図や切り口を試行錯誤しています」

Q2.活動を始めたきっかけは?

高校生のとき軽い気持ちで始めた同人活動で、自分の手でゼロから生み出した作品が、誰かに届く喜びを知ったことがきっかけです。

即売会で漫画を売りながら、pixiv(イラスト投稿サイト)で趣味の同人の漫画やイラストを投稿するようになって。そんなときに、出版企業から勧誘のダイレクトメッセージが届いたんです。あのとき、『趣味が仕事になるんだ……!』と嬉しさでいっぱいになったのをいまでも覚えています」

Q3.活動で大切にしていることは?

変化を恐れないことを大切にしています。

わたしは、まだ決まったテーマや作風を持って、制作をしているわけではなくて、漫画の案件は少年漫画、少女漫画などさまざまです。だから、漫画の世界観にあわせて、コマ割りや演出の方法をカメレオンのように変えていくスタイルで制作にあたっていて。

たとえば、少年漫画だったら、見開きの構図を使うことが多いんですが、ウェブ漫画だとジグザグにコマが進んでいくんです。同じ漫画でも、視線誘導のやり方も大きく違うんですよね。

だからこそ、案件によって流動的に自分の表現を変えていくというスタイルが、どんな案件でも対応できる“カメレオン漫画家”としての強みになっている気がします。

自分の描く漫画は何者の表現にでもなれる。常に新しい挑戦を楽しんでいく姿勢を大切に持ち続けたいです」

Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?

「社会や未来を変えようなどと、そんな壮大な望みは自分にはなくて。

ただ、誰かの人生にほんの少しでも影響を与えたり、日常のささやかな楽しみにしてもらえたらいいなと思っています。自分の漫画が、誰かの日常の些細な娯楽になれば、漫画家としてこれ以上嬉しいことはありません。

わたしにとって漫画は、伝えたいことを存分に伝えられる自己表現の場でもあって。言葉ではうまく伝えられないことも、絵を通せば、自然と表現できるということが、自分のやりがいにもなっています。

とりあえずいまは、自分の表現で、誰かの毎日を支えられるようになるためにも、目の前の仕事で精一杯足掻きながら、一つひとつの作品を丁寧に描き続けていきたいと思います」

Q5.将来の展望は?

漫画家として一人立ちし、漫画だけでご飯を食べられるようになることです。そのために、連載を持ったり、自分の名前で単行本を出したりと、小さな目標を一つひとつ達成して、漫画家としての成長を重ねていけたらなって。

漫画一本で生活することができる漫画家が、一握りであることはもちろん理解しています。かつての自分も、『漫画家は博打』だと考えていました。長期の案件がもらえなかったら、漫画家にならずに、就職する道を取ろうと思っていたんです。けれどいまは、挑戦するからには全力でやり切ろうと決めています。

目の前にあることに精一杯向き合い、必ず有名な漫画家になります」

最早風鈴のプロフィール

年齢:19歳
出身地:愛知県
所属:HAL名古屋
趣味:同人活動、美容
特技:「少年!」と近所のこどもたちにを声を掛けるウルフカットのダウナーお姉さんをやること
大切にしている言葉:思い立ったが吉日

最早風鈴のSNS

★X/Twitter

Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami

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Taishi Murakami

ライター

ライター。2025年4月にSteenzへジョイン。大学生活の傍ら「気になる10代名鑑」をメインにインタビューから執筆まで記事制作を担当している。スタートアップ、建築、メディアまで多方面への関心を活かして活躍中。

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