
「気になる10代名鑑」の1096人目は、豊島 侑苺さん (17)。SNSで世界情勢の面白さについて、実際に現地に足を運んで集めた生の声とともに発信しています。家族で訪れたベトナム戦争の博物館が大きなきっかけとなったと話す侑苺さんに、大切にしていることや今後の展望まで詳しく聞いてみました。
豊島 侑苺を知る5つの質問
Q1.いま、いちばん力を入れている活動は?
「興味深い世界情勢について、SNSで発信しています。
普段から気になったニュースを調べているのですが、高校生になってからは現地に行って生の情報を集めるようになりました。たとえば南北関係の緊張に危機感を抱き、韓国の板門店を訪問したこともあります。
自分の目で見て感じたリアルを伝えることで、世界情勢は難しそう……という固定観念を取り除き、その面白さを多くの人に届けたいと思っています。」
この投稿をInstagramで見る
Q2.活動を始めたきっかけは?
「家族旅行でベトナム戦争博物館に訪れたことです。
旅行中に足を運んだその場所で、世界史の教科書では1ページにも及ばないベトナム戦争の裏に、枯葉剤の被害に苦しむ一般市民の生活やゲリラ兵の苦悩があることを知りました。
展示は当時のわたしにとってトラウマになるほど生々しいものだったのですが、その体験を通じて現地に行かなければ見えない現実があることに気がつきました。その体験を通じて、現地に足を運ばなければ得られない情報があることを学び、それをきっかけに、ニュースを調べるだけでなく現地で直接見聞きしたいと考えるようになりました」
Q3.活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「世界一周コンテストDREAM2025に挑戦したことです。
もっと現地の実情を知りたいという気持ちが強くなったわたしは、高校1年生の夏にインドや韓国など10回以上海外へ渡航して。他にもいろんな国に行ってみたいという思いが強くなる中、このプロジェクトに出会って、挑戦することを決めたんです。
結果的に3次審査まで進むことができ、選考の過程で全国各地にいる、世界に興味のある同世代と出会うことができました。普段は世界情勢と言えば難しそうな顔をする人が多いのですが、プログラムの選考を通じて知り合った人たちは、前のめりに話を聞いてくれて、多くの人が興味を持ってくれて。
また、自分なりの考えや現地で感じたことを話すと、ありがたいことに『本当に高校生なのか?』と言われることも多くて、大きな自信にもなりました」
Q4.活動をする中でつらかったことは?
「『理系なのに、どうして世界情勢をテーマに活動しているの?』と言われたことです。
高校では理系を選択していて、課外活動をしていると知った学校の先生や周りの人から『どうして文系のことをしているの?』や『文転しないの?』といった声をかけられることがありました。
さらに、ある大学生から『理系はやりたいことがないと続かないよ』と言われたこともあって……。その言葉を受けて、大きな目標があるわけではない自分は、文理選択を間違えたのではないかと悩んでしまう時期もありました。
ただ、いろんな声をもらう中で、理系を専攻しながら世界情勢に興味を持つ自分だからこそ、できることがあるのではないかと思うようになってきて。いまは文理融合を体現できるよう人になるため、学校での理系分野の学習にも前向きに取り組んでいます」
Q5.今後の展望は?
「テクノロジーを活用して、世界情勢を身近にすることが目標です。
どれほどわかりやすい報道をしたとしても、体験をしていない情報に興味を持つことは難しいと思います。だからわたしは、テクノロジーを通して、情報を体験として届けられる人になりたいと思っていて。ただ、世界情勢に詳しくなるのではなく、その伝え方についても学びを深めていきたいと考えています。
幼いころにベトナムで感じたようなリアリティを、遠く離れた地でも体感できるようにすることで、世界情勢をより身近に感じる人を増やしていきたいと考えています」
豊島 侑苺のプロフィール
年齢:17歳
出身地:東京都豊島区
所属:駒込高等学校
趣味:ニュースを調べること、立体パズルの組み立て
大切にしている言葉:限界突破
豊島 侑苺のSNS
この投稿をInstagramで見る
Photo:Nanako Araie
Text:Taisei Sawamura