
「気になる10代名鑑」の1036人目は、大坪美佑さん(17)。高齢者向けの見守りアプリの開発に力を入れている高校生です。祖父母と離れて暮らし始めたことがきっかけとなったと話す大坪さんに、大切にしていることや今後の展望についてじっくり話を聞いてみました。
大坪美佑さんを知る5つの質問
Q1.いま力を入れていることを教えてください。
「高齢者向けの見守りアプリの開発に力を入れています。
離れて暮らす家族や大切なひとの『ちょっとした変化』に、自然なコミュニケーションを通じて気づける仕組みを作っています。
写真や簡単な質問を通じて日常を共有し、孤独や体調の異変、生活の困りごとを早期にキャッチできるようなサービスにしたいです」
Q2.活動を始めたきっかけは?
「自分の興味があることで社会をより良くしたいと考えたからです。
私は中学入学と同時に、山形から東京へ引っ越しました。そのとき、母がふと『山形にいるおじいちゃんとおばあちゃんが心配……』とこぼしたんです。その言葉がずっと心に残っていて、離れて暮らす家族や大切なひとを見守ることのできる事業をやりたいと思うようになりました。
また昔から、高齢者や社会的弱者が不安を抱える状況を見て『もっと良くできないか』と考えることが多くて。自然と福祉や法律、そしてそれを支えるテクノロジーに関心を持つようになっていました。
その3つを組み合わせて何かできないかと考えたとき、『見守り』というかたちで寄り添えるアプリの開発に行き着いたんです」
Q3.活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「学生と起業家とのマッチングイベントで、ITや教育系の新規事業に取り組むスタートアップ、株式会社DoragonStarの社長と出会ったことです。
新規事業を立案するイベントの後、交流会で自分のプランを壁打ちする機会があり、そこで今取り組んでいる見守りアプリのビジョンに共感していただけました。
現在は、DoragonStarの中のプロジェクトとして、いっしょにアプリ開発も取り組んでいます」
Q4.活動するうえで、大切にしていることは?
「透明性の高い組織作りをすることを大切にしています。
アプリ開発事業を進めていく中で、一番最初に入ってくれたメンバーと音信不通になってしまうという出来事を経験しました。
当時は、意思決定を社長とわたしだけでしていて、メンバーには定例ミーティングでの事後報告が中心になっていて……。それが原因で、メンバーのモチベーションを下げてしまい、結果的にチームへの信頼を揺るがせてしまったといまでは反省しています。
この経験がきっかけとなって、コミュニケーションは密におこなっていかないといけないと気づきました。特に大事にしているのは、相槌や感謝を伝えること。いまでは前よりもいい雰囲気で、最高の仲間と最強のアプリを作れていると思います」
Q5.今後の展望は?
「興味のある法律や福祉、テクノロジーに関わる活動を深めていく過程で、やりたいことを見つけたいと考えています。
わたしは新しい経験をすることにワクワクを感じるので、興味のあることを軸にしながら、幅広く活動をしていきたいと考えています。ひとと出会うことは新しい気づきや価値観に触れることができると考えているので、交流会の参加も積極的にしていきたいです。
あわせて、高齢者の見守りアプリのサービスを法人化をしていこうと思っています。ユーザーや市場のニーズをより詳しくリサーチしながら資金調達も含めて動いていきます」
大坪美佑のプロフィール
年齢:17歳
出身地:山形県米沢市
所属:西武学園文理高校、株式会社ガクポン、株式会社DoragonStar
趣味:ミステリー小説を読むこと、人とお話しすること
特技:頭の上に本を載せて歩くこと
大切にしている言葉:為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり
Photo:Nanako Araie
Text:Taisei Sawamura