
「気になる10代名鑑」の999人目は、Easさん(17)。海洋環境を守るために立ち上げた学生団体「Blue Campus」代表として、イベントの企画・開催やSNSでの発信活動に取り組んでいます。「高校生ダイバー」という肩書きを持つほど、幼少期から海と接してきたEasさんに、活動を始めたきっかけや海への想いについて聞いてみました。
Easを知る5つの質問
Q1.いま、力を入れていることは?
「学生団体『Blue Campus』を立ち上げ、仲間の全国各地の高校生とともに、海洋環境を守るために小中高生を対象に発信・啓発活動をおこなっています。
Blueは『海』、Campusは『学ぶところ』を意味していて。団体のメンバーも、Blue Campusの活動をみてくれるひとも、同じように海に学ぶ姿勢を持ってもらえることを意識しています。
団体には、日本全国さまざまな場所で暮らす同年代の学生たちが所属しています。それを活かして、SNSのリール動画では津々浦々の海岸のいまを切り取り、楽しみながら発信しています。海洋環境問題について考えるきっかけづくりを担うことができていけたら嬉しいです。
また、長期休みなど、時間を見つけてはダイビングに行きます。自分にとっては、海は住みたいくらい、心地のいい場所です」
この投稿をInstagramで見る
Q2.活動を始めたきっかけは?
「自分の父親が東京都・三宅島の出身だったので、幼少期から自然に慣れ親しんできました。
自分が『海を守らないといけない』と考えるようになったきっかけは、15歳でメキシコに留学したことです。文部科学省の『トビタテ!留学JAPAN』を使って、エコツーリズムと環境保全について調べるために留学しました。
ダイバーとして海に潜るには資格が必要なのですが、実際に現地でダイビングライセンスを取得して。海に潜ってみると、そこにはサンゴが白化してしまったことで生き物がほとんどいない海の姿があって、衝撃を受けました。
留学を終えて帰国すると、今度は日本の岩手の海で、藻場が消失する現象『磯焼け』が起きているのを見て。海が、世界中で悲鳴をあげている。そのことを知らないひとに、いまの海の姿をまっすぐ伝え、海を守りたいと思うようになりました」
Q3.活動で大切にしていることは?
「海の視点、海に暮らす生き物の視点、自分たち人間の視点をどれも同じように尊重することを大切にしています。
人間は、漁業を通じて何千年間も海の恵みを少しずつ受け取りながら生きてきました。無理に乱獲さえしなければ、海と人間は共生できるはずです。だからこそ、自分たちの一つひとつの行動の先の景色に何があるのか、少しでも想像することが大切だと思います。
また、海に潜ると、とくに自分に近い哺乳類の動物を見ると、感極まることもあって。姿かたちは違っても、同じ命として大切にしていきたいです」
Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「海が好きという原体験を持つ仲間を世界中に増やし、人と自然が共生できる豊かな未来を実現したいです。
団体の理念とも通じるのですが、いま、海について考えている私たちが十数年後に大人となり、海の担い手が育っていくと、豊かな海と共生が実現に近づくと思っています。
いまは海の近くに住んでいるひとが中心になって保護活動にあたるというのがメジャーなのですが、海辺に住んでいなくても、海の保全活動や学びを通して関わり続ける、海の『関係人口』を増やしていきたいです」
Q5.将来の展望は?
「 将来は海洋学者になって、命のつながりや海の真理について解明したいです。
これらを解明することで、海の環境変化の原因であったり、その解決策に辿り着くことができるのではと考えています。
ただ、研究者としての立場だけでは、活動の幅に限界がある気もしていて。海と人間の共生できる社会をつくるため、より多くの人々を巻き込む仕組みも必要です。なので、NPOやソーシャルビジネスといった形で、世界中の人々と共に海の守り手になる将来像もあります
研究と実践をどちらもこなし、グローバルに海に向き合う、『Global Sustainability Researcher』 になることが夢です」
Easのプロフィール
年齢:17歳
出身地:東京都
所属:Blue Campus
趣味:サッカー、研究、お菓子作り
特技:ダイビング
大切にしている言葉:There is always light behind the clouds.
EasのSNS
この投稿をInstagramで見る
Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami