
若手俳優の発掘・育成プロジェクト『私の卒業』。誰もが経験する「卒業」をテーマに、仲間との別れ、未来への希望を胸に抱くドラマを、オリジナルの映画として制作してきました。
その第6期となる『80年後のあなたへ』が公開。今回も、1300名以上の応募者の中から選ばれたキャストに、『Steenz』が単独インタビューを実施。第9弾は、中川翼さんをフィーチャーします。
今作『80年後のあなたへ』では、100年続く有松絞りの中濱商店の次男で、進路の迷いやひまりへの密かな恋心を持つ中濱謙太郎役を演じた中川翼さん。幼少期から芸能活動を続けている中川さんに、撮影での印象的なエピソードや、目指す俳優像について詳しく伺いました。
―さっそくですが、完成した脚本を読んだときの感想はいかがでした?
「脚本が完成する前から、オーディションではずっと中濱謙太郎を演じさせていただいていたんです。でも、その時点では、キャラクターの細かい設定が決まっていなくて。だから、謙太郎を演じてみたうえで、ぼくなりに考えた謙太郎の性格や思いをプロデューサーで脚本も手掛けていらっしゃる高石さんとはお話しさせていただいていたんです。
いざ、完成した脚本をみたら、謙太郎のお兄ちゃんに対する尊敬とか、人間としての成長の過程が繊細に描かれていたので『やっぱり高石さんってすごいなあ』というのが最初の感想でした。脚本が出来上がる過程を目の前で見られることはなかなかないので、感動しましたね」
―当初から中濱謙太郎役を志望されていたんですね。選ばれたときの率直な感想は?
「嬉しさよりも、達成感の方が大きかったです。
ぼくは、お芝居の歴だけででいうと、今作の中ではそれなりに経験がある方ではあったんです。でも、お芝居がほぼ未経験だったり、まだ数年目の子達の演技をみたときに、人間らしさというか、言葉では言い表せないような良さを感じて。『これはまずい』と、ずっと焦っていたんです。
仲間のいいところを学んで、盗んで、どうしたらこの物語が面白くなっていくかをぼくなりに考えてもいました。結果として、選んでいただけたので、まずはやりきった感覚が大きかったかなと思います」
―ご自身と役柄を重ねることもありましたか?
「ぼく自身、3つ年下の弟がいて。弟は、ぼくのことを尊敬してくれているし、すごく愛情を向けてくれているんです。そんな弟の眼差しが、どこか謙太郎がお兄ちゃんに向ける眼差しと重なる部分がありました。兄弟の関係値みたいな部分は、演じるうえで想像しやすかったのかなと思います。
それと、物語では、謙太郎は大学に行くのか、有松絞りのお店を継ぐのか、迷った末に、最後の最後まで明確な答えが出てこない。そんな曖昧な部分もぼくと重なりました。
ぼくも高校3年生のとき、大学に進むのか、俳優のお仕事一本で頑張っていくのか悩んでいたんです。将来を選択するうえでの葛藤は、ぼくも味わったことがある感情だったから、役どころは掴みやすかったと思います」
―撮影の中で印象に残ってる出来事やエピソードはありますか?
「撮影の初日に、教室でのシーンをまとめて撮り終えたんです。だから、冒頭の登場シーンの悩みを抱えている謙太郎と、ラストシーンの心境が変化して前に進んだ謙太郎、これらを1時間のあいだで演じわけなくちゃいけなくて。すごくエネルギーを使ったのを覚えています。
それに、撮影初日とはいえ、クラス全員の空気感をどうしても成立させなきゃいけないから。チーム全体が、今まで準備してきた熱い想いをぶつけて演じていたんです。そこで『ここから2週間、撮影を頑張っていかないと』って気合いが入って。
思い出がたくさん詰まったシーンなので、注目していただきたいです」
―今回、出演しているのは、オーディションに勝ち残ったメンバーですが、私の卒業のオーディションで印象に残ったところや、大変だったところは?
「『すごく指摘されました』とか、言いたいところではあるんですけど。高石さんと北川監督はぼくには何も言ってくれないんですよ(笑)。何も言わずに『ふーん、そういう感じね』みたいな視線を向けてきて。今思えば自分自身への挑戦みたいなものをを課されていたのかな、とも思うんですけど。
『もっと違うのを用意してきて』という意味なのか、『もっと精密に作り上げてきて』という意味なのか、どう受け取るかもぼく次第だったので、毎回モヤモヤしたまま日々が過ぎ去っていくのは、ある意味試練でした。
でも配役が決まってからは、一緒に役を作り上げてくれたり、役への理解を深めてくれたりする高石さんと北川監督だったので、撮影に入る前から充実感がすごくありました」
―今回のプロジェクトを経験して、お芝居に対して意識や考え方は変わりましたか?
「俳優としての経験を積んでいくなかで、後輩や新人の子たちと一緒に芝居をする機会が増えてきたんです。そういう現場で改めて、自分に余裕がないことに気づいて。お芝居のことも、自分のことで頭がいっぱいになってしまっていたんです。
でも『私の卒業』という作品に出会って、じっくりと時間をかけてひとつの作品をみんなでつくりあげていくなかで、チームとしての意識を改めて思い出させてもらいました。
それまではどうしても共演者の方とか、ライバルとして見てしまう面もあったけど、仲間なんだと思えるようになりました。お互いに高め合える関係性だったと思います。そんな関係性に改めて向き合えた時間は、自分にとってすごく意味のある経験でした」
―ここからは、中川さんご自身について質問させてください。この世界に入ったきっかけは何ですか?
「4歳の頃、母の勧めでモデルとして活動を始めました。お芝居に触れたのは、7歳くらいのときです。事務所の方に「お芝居のオーディション受けてみる?」と声をかけられたのがきっかけにオーディションを受けるようになりました。でも、落選の連続でした。100本、200本とオーディションに落ち続けて「これがデビュー作です」と言えるようなものはなくて。
そんななか、10歳のときに映画『僕だけがいない街』で、藤原竜也さん演じる主人公の幼少期役をいただいたんです。作品の中の半分くらいが幼少期時代のシーンだったこともあって、大きなチャンスをいただきました」
―そこから、お芝居を本格的にやっていきたいという気持ちが芽生えたんですか?
「もしかしたら当時はまだ、お芝居を楽しいって自覚していたわけではなかったかもしれないけど、今思えばあの現場が、自分の原点だったんだなと思います。誰かを演じるということとか、他の誰かになりきることの面白さに、だんだん惹かれていきました」
―では、今後どのような俳優さんを目指していきたいですか?
「菅田将暉さんみたいな俳優さんを目指していきたいです。実は、今所属している事務所も菅田さんみたいな俳優になりたくて、自分で履歴書を書いて応募したんです。
最近も菅田さんが主演の『サンセット・サンライズ』という映画を観たんですけど。全身がしびれるような感覚があって。『うわ、なんてすごい俳優さんなんだろう』と改めて思いました。演じてる人物のリアルさがすごく伝わってきて。その姿を観て、俳優のお仕事に対して、またすごく熱い気持ちが湧いてきたんです。
自分にとってはずっと理想の人であり、憧れの存在なんだなと、改めて感じました」
―ありがとうございました
私の卒業-第6期-『80年後のあなたへ』概要
■公開日
2025年5月16日(金)全国ロードショー
■あらすじ
平和の日が制定できたが、果たしてこれで終わりで良いのだろうか? と考えを巡らせる生徒会長の女の子。
その彼女に想いを抱き、代々続く有松絞りの実家の跡を継ぐ決意をした男の子。
戦争時は疎開先として、戦争の被害にあっていない街、犬山市。
その犬山市に住み、訳あって心を閉ざしている女の子と、矢場とんが大好きな陽気な元野球部員との恋物語。お婆ちゃんからもらった大切なメガネをかけた女の子が、イメチェンをはかる成長物語。
夢を語れずにラジオ局でアルバイトしている大学生の女の子とディレクターの恋。
そんな7人の人物を軸に、戦後80年という節目に、この先の未来に残したいものは何か、という問いに向き合っていき、それぞれが一歩前に踏み出していく青春群像劇。
■予告編
■作品情報
私の卒業 -第6期- 『80年後のあなたへ 』
【私の卒業プロジェクト第6期 出演者】
渡邉このみ 中川翼 向井怜衣 岩崎碧 滝口芽里衣 皆瀬翔 村上なずな 寺島季咲 沢田京海 平田風果 千葉青八 鈴木夢 國分瑠真 瀧澤僚太 櫻井亜蓮 内山優花 野崎珠愛 Hitomi 山本藍 平川丈 川口飛雄我 斎藤さらら 松岡拳紀介
脚本・プロデュース:髙石明彦 音楽:平野真奈
監督:北川瞳 プロデューサー:宮﨑和明
主題歌:乃紫 「透明の楽譜」 (MR8/MIJ Quality Records)
製作:深川辰巳 浦出高史 飯田義典 服部徹
撮影:小野貴宏 映像:佐藤隆彦 照明:後藤史兆 録音:金子徹 美術:小林大輔 編集:伊豆光沙 選曲:泉清二
スタイリスト:上田摩耶 ヘアメイク:駒水友紀 磯﨑智香 音響効果:荒川翔太郎 制作担当:松橋典生
協賛:矢場とん コロナワールド 菅公学生服
企画・制作・配給:THE ICON ◎私の卒業第6期製作委員会2025
公式ホームページ https://watasotsu.com/
公式X https://x.com/sotsupro
公式Instagram https://www.instagram.com/sotsupro/
公式TikTok https://www.tiktok.com/@watasotsu
中川翼のプロフィール
名前:なかがわつばさ
年齢:19歳
誕生日:2005年12月6日
出身地:神奈川県
特技:ウォーキング