世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、サステナブルなチョコレートをご紹介します。
バレンタインにチョコを贈るのは日本だけ
1月から2月にかけて、いつも以上に街にあふれるチョコレート。バレンタインデーに向けて手作りしたり、お店で買ったりする人も多いはず。しかし、そもそも「バレンタインデーにチョコレートを贈る」というのは日本独自の文化なのです。
バレンタインデーの「バレンタイン」は、カトリックの司教であった聖バレンチノのことを指す説が有力なようです。西暦270年頃、ローマ帝国では兵士の結婚が禁止されていたにもかかわらず、バレンチノは秘密裏に恋人同士を結婚させていたのだとか。当時はキリスト教が異教とされていたことなども関係し、バレンチノは処刑されてしまいます。それが、2月14日だったというのです。人々は愛を伝えることを守ったバレンチノの死を悼み、20世紀になると、愛を告白する日へと変貌していったのだそうです。
日本においてチョコレートを贈るようになったのは、一説には菓子店がバレンチノの逸話から考案した、チョコレートと共に告白するというプロモーションがヒットしたからでは、と言われています。
時代が変化し、いまでは友人や家族、自分用にチョコレートを用意するという人も増えてきました。一方で、カカオの生産地での貧困や児童労働、森林伐採、気候変動によるカカオの生産量減少など、さまざまな問題が明らかになったのも、直近のチョコレートをめぐるトピックスです。そして、そういった問題を解決しながらチョコレートを楽しめないかと、サステナブルなカカオ生産をおこなった商品が多数誕生しています。心置きなく楽しめるサステナブルなチョコレートをチェックしましょう。
お菓子大国ベルギーの100%フェアトレードチョコレート
1976年にベルギーで誕生したチョコレートブランド「ガレー(Galler)」。1994年に「ベルギー王室御用達ブランド」に認定され、ヨーロッパで多くの人に親しまれています。日本には2000年に上陸し、公式オンラインショップ等で、代表作の「バー」シリーズなどを購入できます。
「ガレー(Galler)」のチョコレートで使用されているカカオは100%フェアトレード。かつ、パーム油、人工保存料、人工着色料、人工香料が不使用となっています。アフリカのカカオ農家をサポートする「ココア・ホライズン財団」プログラムにも参加し、SDGsの目標達成と持続可能な社会の実現に向け課題解決に取り組んでいます。
2025年に新登場したのは「オランジェット」。濃厚なビターチョコレートとフルーティーなオレンジピールのハーモニーが楽しめます。
ダークチョコレート×ハスカップやレモンの組み合わせで夜を思わせるチョコレート
途上国の豊かな食の素材・文化に光をあて、オリジナル商品の開発、販売をおこなう「LITTLE MOTHERHOUSE」は、チョコレートブランド「Dari K(京都府京都市)」とのコラボレーションにより、インドネシア産カカオを使った商品を展開しています。
2025年の新作チョコレートは「Yoru-iro DARK CHOCOLATE(ヨルイロ ダークチョコレート)」。夜を思わせるダークチョコレートをキャンバスに、「YUBAE(夕映)」(ハスカップ×ダークチョコレート)、「GEKKOU(月光)」(酒粕×ダークチョコレート)、「ARIAKE(有明)」(レモン&ソルト×ダークチョコレート)、「YOGIRI(夜霧)」(抹茶&ほうじ茶×ダークチョコレート)の4種に変化する情景が描かれています。
いずれのフレーバーも、ダークチョコレートにフレーバーを混ぜたカカオバターを手作業で塗り重ね、あえて不均一な仕上がりに。刻一刻と変化していく夜の空のように、食べ進めるうちに、味わいが変化していきます。
パッケージも夜の空を思わせる色味になっており、中には脚本家の三國月々子さん書き下ろしの詩が添えられています。夜のひと時、チョコレートと一緒に詩を味わうのは豊かな時間になりますね。
高島屋のサステナブル・アクション「TSUNAGU ACTION」
新宿高島屋で1月23日(木)から2月14日(金)の期間におこなわれるのは、世界中のトップチョコレートブランドが出展する「アムール・デュ・ショコラ」です。今年は高島屋がプロデュースするサステナブルなアクション「TSUNAGU ACTION」の一環で、さつまいもの未利用部分をアップサイクルする「ほしいもピールプロジェクト」とコラボ。賛同した7つのブランドから「おいもアップサイクルショコラ」が販売されます。
「ほしいもピール」は干し芋の生産プロセスで生じていた未利用部分のさつまいもの身の部分を多く含んだ皮を、独自技術で加工した新しい天然甘味料です。さつまいもに含まれる食物繊維やポリフェノールなどの栄養分を多く含むため、さつまいもの味を楽しむだけでなく、ギルトフリーなスイーツとしても味わうことができます。
トシ・ヨロイヅカの「Truffe SDGs」(6個入・2,800円)やヴィタメールの「タブレット(スイートポテト)」(1枚入・1,728円)など、商品の形態もさまざま。各ブランドが同じ素材をどう仕上げるのか、食べ比べてみるのも楽しそうです。
ソーシャルグッドなチョコレートを楽しもう
フェアトレードや未利用資源を利用するなど、さまざまな工夫でサステナブル、ソーシャルグッドをめざすチョコレートブランドの取り組み。誰も取り残さないというSDGsの理念は、聖バレンチノの愛を伝える姿勢と重なる部分があるのかもしれません。ぜひ、各社がどんな取り組み方をしているか、チョコレートをいただきながらチェックしてみてくださいね。
Reference:
カトリック中央協議会 「バレンタインデーと教会の関係について」
Text:Itsuki Tanaka