世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、化石燃料広告廃止の動きについてご紹介します。
「化石燃料」削減が気候変動抑止のカギに
現代の大きな課題である、気候変動。その原因のひとつは二酸化炭素で、特に「化石燃料の使用」が大量の二酸化炭素を排出するとして注目されています。
2024年6月5日の「世界環境デー」では、国連事務総長であるアントニオ・グテーレス氏が特別演説をおこない、各国のメディアやテクノロジー関連の企業に対して化石燃料広告の廃止を求めたそうです。このように、世界的にも化石燃料の使用廃止への動きが強まっています。
オランダ・ハーグ市が化石燃料関連の広告を禁止
オランダの首都機能を司るハーグ市では、2025年1月1日より、化石燃料に関連する製品やサービスの広告を禁止する法律が施行されました。ちなみに、化石燃料関連の広告禁止に対する、拘束力のある法律施行に至ったのはハーグ市が世界的にも初めてです。
これにより、石炭やガスなどを動力源とするエネルギー契約、ディーゼルおよびガソリン車、船、航空機などを宣伝する広告は、市内の看板やデジタルスクリーンなどに載せられなくなりました。ただ、化石燃料製品やサービスの広告は掲載禁止になりますが、化石燃料に関連する企業が政治やブランドを宣伝する広告は対象外だそうです。
クライメートニュートラルを達成するための一歩となるか
今回の法律施行に関してハーグ市は、「クライメートニュートラル(Climate Neutral)」を2030年までに達成するために必要なステップだと考えています。クライメートニュートラルとは、気候システムへの影響を実質ゼロにするために、気候変動対策をおこない、吸収量や削減量を差し引いた温室効果ガスの総排出量を削減していくことです。クライメートニュートラルをめざす以上、化石燃料製品やサービスの広告掲載を許可し続けると矛盾が生じます。そのため、今回の法律施行に至ったのです。
世界初となるこの法律がどのような影響をもたらし、どれほどの効果を発揮するのでしょうか。実施したことにより見えてくる課題もあると思いますので、その点も含め今後も注目していきたいですね。同時に、化石燃料への依存度が2021年度時点で83.2%と高い日本が、今後どのような動きを見せるのかも気になるところです。
Reference:
気候行動に関するアントニオ・グテーレス国連事務総長の特別演説:「真実の時」(ニューヨーク、2024年6月5日)|国際連合広報センター
The Hague Becomes First City in the World to Outlaw Fossil Fuel Advertising, Months After UN-Chief Call to Stop Fueling Disinformation|EARTH・ORG
The Hague becomes world’s first city to pass law banning fossil fuel-related ads|The Guardian News
How The Hague became the first city in the world to ban fossil fuel advertising|Stories of Purpose-The Hague
The Hague is the first world city to ban fossil fuel ads by law|Electrek
A Beginner’s Guide to Climate Neutrality|UNFCCC
日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」|資源エネルギー庁
Text:Yuki Tsuruda