フランス発のリファービッシュ品(整備済製品)マーケットプレイス『Back Market』の協力のもと、わたしたちの生活に欠かせない存在である、スマホやPCについて考えていくシリーズ。第1回から第4回にかけては、中古のスマホを専門業者が整備・点検した上で販売する「リファービッシュ」のメリットや選び方、『Back Market』の品質管理の取り組みについて。第5回では、2024年11月にスタートした『Back Market』での買取サービスについて、ご紹介しました。
今回は、スマホをはじめとするさまざまなデジタルデバイスの「旧機種」が海外でも人気であることに目を向け、その背景や、魅力についてお伝えします。
世界に広がるY2K・レトロブーム
スマホを購入する際の、新しい選択肢として注目されているリファービッシュ。これまでの記事では、新品より安価で、電子ゴミや過剰生産といった環境課題の解決に貢献できる、専門業者による修理・点検がおこなわれていて安心、といった魅力をお伝えしてきました。
そんなリファービッシュ品ですが、Z世代の間でも話題になっている理由のひとつが、古いスマホで撮った写真の「レトロ感」だと言われています。たとえば、最新機種の高性能なカメラと比べると、何年も前に発売された古い機種のカメラは画素数が低く、露出や手ブレなどの補正もないため、仕上がりが不安定。それが逆に味わい深く「エモい」として人気なのだとか。2024年5月ごろから、韓国のZ世代の間でそうした「レトロiPhone」人気が盛り上がったのをきっかけに、日本でも注目されるようになったと言われています。なんと、数ヶ月でレトロiPhoneの売上が数倍になったという店舗もあるほどの盛り上がりなのだそう。
ちなみに、カメラだけでなく、手にすっぽり収まるサイズ感、ホームボタンやイヤホンジャックといったハードの違いも、人気の理由のひとつです。
欧米に目を向けてみても、若い世代が、レトロな画質を求めて中古のデジカメや古いiPhoneを購入しているそう。こうした流れは、日本や韓国だけのものではない様子です。
たとえばアメリカのZ世代は、90年代後半から2000年前半に使われていたものにノスタルジーを感じていると言います。iPodや使い捨てカメラ、カセットテープ、レコードにはじまり、固定電話にまで人気が及ぶのだそう。90年代のドラマに出てくるようなレトロな見た目はもちろん、着信履歴や番号通知の機能がなく、内蔵された電話帳もなく、ただ「電話をかけること」に限定されていて、スマホのように手に持ったままうろうろすることもできない、そんな不便さもウケているようです。
また、日本の『Back Market』では、スマホを中心に、PCやタブレットなどが扱われていますが、海外のサイトでは、ノスタルジーを感じられる商品も販売されています。ポラロイドカメラや、たまごっち、ファービー、iPodなども人気があるそうです。整備されたリファービッシュ品なら、コレクターズアイテムやジャンク品としてではなく、ちゃんと使って楽しめるのが良いですよね。日本では展開されていませんが、「レトロブーム」「Y2K」といった、昨今の日本で馴染み深いブームは、世界的なトレンドとなっていることがわかります。
「MORE」より「LESS」な旧機種に注目
スマホ1台でたいていのことができるようになり、常に誰かとつながっていて、情報があふれている現代。あえてテクノロジーから距離を置く「デジタルデトックス」や、活用するデジタル機器を必要最低限に抑える「デジタルミニマリズム」が注目されています。そうした中で、古くなったと思われていた製品の価値が見直されてもいるようです。たとえば「音楽を聞くだけ」「写真を撮るだけ」といった、シンプルな機能そのものに魅力を感じる人も増えています。
実際に、フィンランドの携帯電話会社「HMDグローバル」をはじめ、メーカーは、いわゆる「ガラケー」と日本で呼ばれるようなシンプルな携帯電話や、通話やアラームなど最小限の機能しかない端末を販売。「dumb phone(ダムフォン)」と呼ばれ、欧米のZ世代の間で人気が上昇していると言います。
その流れで「常に新品を」といった行動にも変化が見られ、昨今では、「旧機種を選択するのは、合理的」ととらえるようなトレンドが見受けられます。スマホに話を戻してみると、毎年のように新機種を発表するiPhoneですが、最新機種の売上が伸び悩んでいる、という報道も見られます。この中で、安価で環境にも配慮でき、整備済の安心感もあるリファービッシュ品の「旧機種のスマホ」もまた、世界的にどんどん需要が高まっているそうです。
確かに、スマホを使って日々何をしているか思い返してみると、メッセージ、SNS、電話、写真撮影……せいぜいその程度。最新機種は、本当に必要なのでしょうか。『Back Market』も、海外向けのプロモーションで、「そんなに多くの機能は必要ないのでは?」というメッセージを語りかけています。
もしかしたら世界中のZ世代から広まっているのかもしれない、「よりシンプルに」というムーブ。リファービッシュ品はそのひとつとして、これからも盛り上がりを見せてくれることでしょう。