「気になる10代名鑑」の861人目は、きくちひよりさん(18)。もともと、デザインを勉強していた高校時代でしたが、美術部での活動や部の先生を通して油絵の楽しさに気づき、いまでは美大で油絵を専攻しています。また、大学に入ってからはギターにも挑戦し、音楽を奏でるバンドマンの一面も。「音楽も絵を描くことと似ているんですよね」と語るきくちさんに、活動のきっかけや今後の目標について聞いてみました。
きくちひよりを知る5つの質問
Q1. いま、力を入れている活動は?
「美大に進学して油絵を専攻して描いています。
小さいころは、ハローキティや漫画が大好きで、キャラクターをとにかく模写していました。そのときは漫画家になりたいなと思っていたんですよね。でも、高校生のときに油絵を始めて、気持ちのおもむくままに自由に描く楽しさを知って、本格的に美大をめざすようになりました。
途中から赴任された先生が、受験対策も含めていろいろ面倒を見てくださったのですが、モチーフを囲んでひたすら模写っていう感じではなく、何気ない会話をしながら絵を描き進めていったんです。自分の気持ちに向き合って、いま何を感じているのか、何がしたいのかちゃんと意思をもつという制作姿勢を教わって以来、意識しながら作品をつくっています」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「昔から絵の道に進みたいなとは思っていたのですが、工業高校での美術部での経験がいちばん大きかったです。高校では『産業デザイン』といって、おもにパッケージデザインを考えて設計する勉強をしていたのですが、それ以外に、ほかの活動でもっと“しっくりくること”をやってみたいなと思っていて。
そんなとき、たまたま高校の先生が、細々と美術部をやっているのを知ったんです。小さい教室に2、3人が集まって、好きに絵を描いているという感じでした。
先生ご自身がアーティスト活動をしている方で、大きなキャンバスに描かれた油絵に感動したことをいまでも覚えています。先生が制作している姿を真近に見て、わたしももっと上手くなりたいという気持ちが増してきて、油絵に打ち込むようになりました」
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Q3. どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?
「繊細な喜怒哀楽を意識してかくことです。みんなで集まっているときは、よく周りの人の表情を観察したり、表情から気持ちを察したりしているタイプなんです。それもあって、日々変わっていく人間の表情が好きで、みていると飽きることがなくて。日記のような感覚で、絵でその表情を記録しておきたいっていうイメージに近いですね。
なかでも、怒りながら、悲しみながら笑っている……そんなたくさんの感情が交じった複雑な表情に惹かれていて。自分でできる練習として、上下左右いろいろな角度から自撮りを撮ってデッサンすることもあって、いつのまにかフォルダがいっぱいになることも(笑)もっと絵のスキルを高めて、うまく表現できたらいいなと思っています」
Q4. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?
「ギターです。大学では軽音部に所属していて『君の星(きみのせい)』というバンドを組んでいます。
不定期で学祭に出たり、ライブハウスを借りたりしてライブをしています。音楽を始めてみて、やっぱり芸術と似ているなって感じるんですよね。簡単には完成しないものだし、自分の気持ちをいっぱいに込めてつくるものなので、自然にストーリーが織り込まれていく気がしています。だからこそ、聴いた人の記憶の中にある感情や景色に重なるところがあるのかなって。“感情を強く呼び起こすような作品をつくること”は、絵と音楽に共通する目標なんです」
Q5. 将来の展望は?
「自分の好きなものをたくさん詰め合わせた作品を生み出したいです。奈良美智さんのアイコンキャラクターや、市川慧さんのフェアリー感があるアニメキャラクターが好きで、“ちょっとふしぎないきもの”に心が惹かれます。尊敬する作家さんから吸収しながら、自分だけの作品を確立して、いつかは作品展もできたらいいなって。
それから、高校で出会った先生方に絵の楽しさを教えてもらったように、わたしも人に何かを与えられる存在になりたいんです。美術教師になることをめざして、教職にも取り組んでいます。勉強も創作活動も、それから大好きな音楽も、続けていきたいです」
きくちひよりのプロフィール
年齢:18歳
出身:栃木県足利市
所属:女子美術大学 芸術学部 美術学科 洋画専攻
趣味:創作すること、漫画を読むこと
特技:会話、コミュニケーションをとること
大切にしている言葉:人生楽ありゃ苦もあるさ〜
きくちひよりのSNS
— ⭐️ (@w_dlnk03) August 11, 2024
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Photo:Nanako Araie
Text:Chihiro Bandome