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廃プラスチックがボートや靴に!?アフリカの最新アップサイクル・リサイクル事情【Steenz Breaking News】

廃プラスチックがボートや靴に!?アフリカの最新アップサイクル・リサイクル事情【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカで、廃棄物をアップサイクルして新たな商品を生み出す人々を紹介します。

ゴミからつくられたボートでアフリカを旅する

その自然の豊かさで知られるケニア。多くの国立公園が存在するほか、インド洋に面するケニアの東海岸には高級リゾートが建ち並び、美しいビーチを目当てに、ハネムーンやバカンスで多くの観光客が訪れています。ところが、華やかな高級リゾート街を一歩離れると、海岸には大量の廃棄物があふれかえっています。現在、世界中からケニアの海に流れ着くプラスチック廃棄物は、年間37,000トンにも上るそうです。

現地の人々は、海岸に打ち上げられたプラスチック廃棄物を収集し、1kgあたり約16円で販売するのだそうです。しかし、これだけでは家計のわずかな足しにしかなりません。

このゴミ問題と貧困を解決しようと立ち上がったのが、NPOのThe Flipflopiです。2015年にケニアのビーチに散らばるプラスチック廃棄物を見たBen Morisonによって設立されました。同NPOは、プラスチック回収とリサイクルによる製品製造、リサイクル施設の運営、環境教育、職業訓練、政策提言をおこなっています。

いままでに、海洋に捨てられた約300トンのプラスチック廃棄物を回収し、84人に職業訓練を提供したのだそうです。

さらに、東アフリカの伝統的な技術をもちいて、プラスチック廃棄物のみを使用した帆船をつくりました。造船に使われたのは、海岸10kmにわたって集められた30,000枚のビーチサンダルを含むプラスチック廃棄物です。

2019年から、世界初の「リサイクルプラスチック帆船」で航海を続けており、汚染防止の教育、循環型経済の推進、使い捨てプラスチック禁止の呼びかけをおこなっています。

リサイクル素材の靴の、画期的な販売方法とは?

人口約2.3億人という、アフリカ第一位の人口を誇るナイジェリアでは、廃棄物処理や、環境汚染が深刻な問題となっています。約1600万人が住む首都のラゴスでは、毎日3,000から15,000トンの廃棄物が排出されていますが、そのうちの約90%はリサイクルされていません。

これらの問題に立ち向かうのが、環境科学者であるナイジェリア人のFela Akinseです。彼は2018年に、プラスチック廃棄物をリサイクルして靴を製造するブランド「Salubata」を設立しました。Salubataは、リサイクル素材でつくられた、スタイリッシュで通気性にも優れた靴を、競合他社が提供するものよりはるかに安く販売しているのだそう。

さらに、Salubataは「ワンソールフィットオール」を掲げており、靴底とアッパー(靴底以外の上部分)を別々に購入することができます。つまり、靴底さえ購入すれば、色やデザインが異なるアッパーを購入し、自分好みにカスタマイズすることができるのです。何足もの靴を保有することなく、効率的におしゃれを楽しめる上に、靴のさらなる廃棄を減らすことにも貢献していると言えるでしょう。

同社はこれまでに6000足以上の靴を販売し、製造にあたっては100万トンのプラスチック廃棄物を処理してきました。さらに、靴の収益の5%は、飢餓に苦しむ子どもたちや、女性のエンパワーメントに対する支援に使われているのだそうです。

ビジネスの力で環境問題の解決へ

世界中の廃棄物がたどり着き、汚染されていくアフリカ大陸。しかし、技術を駆使してこれらの問題に立ち向かおうとする人々がいます。今後もアフリカ発の新たなサービスや人々に注目していきたいですね。

References:
The Flipflopi「THE PROBLEM」
Africanews「Kenya: Islanders upcycle washed up plastic waste into boats」
The Flipflopi「TRAINING & EDUCATION」
The Flipflopi「The Flipflopi Story」
Worldmeters「Nigeria」
Climate-KIC「From plastic to designer, Salubata creates modular shoes as a fashionable way to recycle waste in Nigeria」
Global Center On Adaptation「How One Nigerian Enterprise is Tackling the Global Plastic Plague, One Shoe at a Time」

TextHao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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