世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、先週に引き続き、日本最大級のスタートアップ展示会『Startup JAPAN 2024 - 秋 -』の模様を一部ご紹介します。
U-25起業家によるピッチイベントに注目!
東京ビッグサイト(東京・江東区)で11月20日・21日に開催された、日本最大級のスタートアップ特化型展示会『Startup JAPAN 2024 - 秋 - 』。
今回はその中でも、11月21日に行われたピッチイベント「【Dream Pitch】TORYUMON Special - さらなる挑戦のステージへ - 」の模様をお届けします。
ゲームで企業の魅力を発信。17歳起業家が描く次世代メディアの未来
最初に登壇したのは、株式会社EbuAction代表の野田慶多さんです。
同社は、ゲームを活用したマーケティング支援を行うスタートアップ企業で、人気ゲームプラットフォーム「フォートナイト」や「Roblox」を舞台に、企業とタイアップしたゲームの企画・開発を手がけています。これまでには、大手証券会社と協力して金融を楽しく学べるゲームや、大手石油プラント企業向けに石油プラントを迷路に見立てた鬼ごっこゲームを開発。
野田さんは、ゲームマーケティングの可能性を「YouTube以上」と語り、月間アクティブユーザー数が1,800万人を超えるタイトルもあるこれらのプラットフォームが、次世代のメディアとして企業から注目されていると説明します。自身もゲーム好きである17歳の野田さんは、そうした新たな潮流をいち早く捉え、EbuActionを立ち上げたのだそうです。
ときめきを可視化するアプリ「Heart Date」で恋愛のはじまりが変わる?
続いては、現役の慶應義塾大学大学院生、山本愛優美さんのピッチです。山本さんは、大学院で「生体情報を活用し、人と人とのコミュニケーションをいかに促進できるか」というテーマで研究を進めているといいます。
山本さんが特に関心を持っているのが、人が他者に対して感じる「ときめき」。2022年度のイグノーベル賞で「惹かれ合う初対面のパートナーは、心拍数がシンクロする」という研究成果が受賞したことにヒントを得て、脈拍の情報から会話時の「ときめき度合い」を可視化するデバイス『Polar(ポラール)』とアプリケーション『Heart Date』を開発したそう。
現在、『Heart Date』は結婚相談所や自治体のイベントで活用され、会話量や脈拍データをもとに相手とのマッチング度を可視化。通常のイベントに比べ、マッチング率を最大8倍に向上させた事例があるといいます。
国際特許を出願済みで、論文も発表済みだというこの技術を活かし、山本さんは今後、自社主催のマッチングイベントを開催し、事業のさらなる拡大をめざしています。
「宇宙での生活を現実に」東北大発スタートアップが描く壮大なビジョン
東北大学での研究成果をもとに小林稜平さんが設立した株式会社ElevationSpace。同社は、宇宙空間の利用を支援する革新的なサービスを開発しています。
具体的には、企業などが宇宙空間で実証実験をおこなえる小型無人衛星を開発。これにより、衛星を宇宙に打ち上げて遠隔で実験をおこない、物品を地球に帰還させることで、得られたデータを研究開発に活用する仕組みを構築しています。
特筆すべきは、宇宙から物品を帰還させる独自技術です。通常、大気圏突入時に燃え尽きてしまう物質を、無傷で地球に戻すことを可能にしました。同社は東北大学やJAXAと連携し、2026年には初号機の打ち上げ、2027年からは本格的なサービス展開を予定しています。
小型無人衛星を事業の第一歩とし、やがて人が宇宙で生活する未来を実現しようと挑む小林さん。語るビジョンは壮大であり、その目には未来を切り開く熱意と輝きが宿っていました。
「電動トゥクトゥク」で観光地に移動革命を起こす
慶應義塾大学在学中に株式会社eMoBiを創業した後藤詩門さんは、外国人観光客向けに電動トゥクトゥクのレンタルサービスを提供しています。国内ではオーバーツーリズムが問題視される中、特に地方の観光地では、複雑な交通網が外国人環境客にとっての「移動手段の不足」という課題を生んでいます。後藤さんは、ホテルや港で簡単に借りられる電動トゥクトゥクを導入し、観光地での移動を快適にする仕組みを構築しました。
将来的には、太陽光発電など再生可能エネルギーで稼働する車両や、遠隔サポート機能を活用した自動運転の実現もめざしています。まずは国内で事業基盤を固め、その後、同様の移動課題を抱える海外市場への展開を視野に入れているのだそうです。
持続可能な観光の実現に挑むこの取り組みは、新たな移動手段の可能性として注目を集めています。
ニッチキャラに光を!ミーミルライトが築く新たなIPビジネスとは?
慶應義塾大学経済学部に在学中の林ジョシュワ清哉さんが手がける株式会社ミーミルライトは、ニッチなキャラクターに注目したキャラクタービジネスを展開しています。同社は、「主役級ではないものの、熱心なファンがいるキャラクター」に焦点を当て、IP(知的財産)の版権元と二次創作者をつなぐプラットフォームを構築。これにより、二次創作者が企画した独創的なグッズを、版元の公式商品として市場に届ける仕組みを提供しています。
グッズ製造のコストや工程の制約で公式商品化が困難なキャラクターにも価値を見出すこの取り組みは、世界的に人気を集める日本のアニメや漫画、盛り上がりを見せる二次創作市場に新たな可能性をもたらしているそうです。林さんの挑戦は、IPやコンテンツ市場をさらに豊かにする革新的な試みとして注目されています。
U-25起業家の描く未来が、日本を盛り上げるきっかけに
今回のピッチイベントでは、10~20代の若手起業家たちが、それぞれの視点やアイデアを活かして社会課題の解決や新たなビジネスの創出に挑む姿が印象的でした。U-25の起業家たちが手がける事業がさらに発展すれば、日本のスタートアップシーンや経済全体の活性化にもつながる可能性があります。彼らの挑戦を通じて、明るい未来の一端を垣間見ることができました。
Text:Teruko Ichioka