フランス発のリファービッシュ品(整備済製品)マーケットプレイス『Back Market』の協力のもと、わたしたちの生活に欠かせない存在である、スマホやPCについて考えていくシリーズ。
1回目、2回目では、中古のスマホを専門業者が整備・点検した上で販売する「リファービッシュ」のメリットについて、そして前回は、リファービッシュ品の選び方について、お伝えしました。
今回は、中古のスマホがリファービッシュ品として販売されるまでの整備の裏側と、『Back Market』の品質管理の取り組みについてご紹介します。
リファービッシュ、安心して買えるのはなぜ?
前回の記事でご紹介したように、ネットオークションやフリマサイトでの中古スマホ購入には、バッテリーの劣化や、外からは見えない故障などの可能性が潜んでいます。一方で、リファービッシュは、その道のプロがすみずみまでチェックし、整備をおこなうので、安心して購入することができます。
とはいえ「スマホの整備」と言われても、あまりピンと来ない人も多いかもしれません。そこで今回は『Back Market』に販売業者として登録されている企業にご協力いただき、実際の整備の現場を取材しました。
気になる整備の裏側を大解剖!
今回訪れたのは『Back Market』の登録販売会社、ユウソリューションズ株式会社です。スマホをはじめ、PCや時計、ゲームなど、幅広い機器の修理を手がける同社。『Back Market』でリファービッシュ品を販売するほか、全国に店舗を構え、スマホなどの持ち込み修理もおこなっています。
スマホを整備する際の具体的な手順について、池袋修理拠点の拠点長、前田勇士さんにお話をうかがいました。
整備作業に入る前に重要なのが、まず、端末の状態をチェックすることなのだそう。電源が入るかどうか、ボタンやスイッチの動作チェック、カメラの起動と状態などを実際に端末を触りながら、確認していきます。続いて、2箇所あるスピーカーのどちらからも音が出るか、マイクが正常に動作するかなど、サウンドのチェック。さらに、Wi-FiやBluetoothなどの接続や、SIMロックがかかっていないか、水濡れをしていないか、FaceIDや指紋認証なども見ていきます。
こうしたチェックやテストを一通りおこなったら、整備にうつります。画面の修理やバッテリーの交換、内部の部品の交換など、症状は個体によってさまざま。それぞれの状態に合わせて、必要な修理をおこなっていきます。さらに整備後は、最初にチェックした項目を手順通りに再度確認することで、修理の抜け漏れがないよう対策されているのだそうです。
日本では、総務省による「登録修理業者制度」が2015年からスタートしており、そこでは修理の箇所や方法など、細かな基準が定められています。同社は、その「登録修理業者」のひとつ。整備の手順は、その基準にのっとって、しっかりとマニュアル化されています。そして、ヒューマンエラーが起こらないよう、修理に慣れたベテランの整備士であっても、マニュアルに沿って修理をおこなうことを原則としているのだそうです。
前田さんによると、OSのサポートや、市場に部品が残っているかどうかという問題はありますが、リファービッシュをし続ければ、端末を何十年と使い続けるのも不可能ではないのだそう。「最近でこそ、古いスマホの回収プログラムなどが広まってきましたが、家に古いスマホが眠っている人も多いはず。持ち主が変わりながらも、リファービッシュによって、ひとつひとつの端末が長く使い続けられるのは、良い流れだと思っています」と、語られていました。
ユーザーファーストな視点から新たにスタートした「新品バッテリーオプション」
創業からおよそ11年、常に“ユーザー第一”を重視してきたというユウソリューションズ株式会社。同社代表の氏益和幸さんによると「一般的に中古品の市場では、傷や汚れといった外装の綺麗さが重視されています。ですが、ユーザー目線に立ったとき、スマホやPCの場合、重要なのは見た目だけではありません。むしろ、機能的な面やバッテリーの方が重要」なのだそうです。
そうした背景もあり『Back Market』では、2024年夏から、リファービッシュ品のスマホを対象に「新品バッテリーオプション」のサービスを開始。もともと、バッテリー容量が新品の80%以上という保証が付いていますが、同オプションを選択すれば、バッテリー容量が100%の端末を確実に購入できるようになりました。「問題なく使用できる」ことをスタート地点として、より長く使い続けたい、新品のバッテリーにこだわりたいなど、ユーザーのさまざまな需要に応えられるよう、『Back Market』のサービスは常に進化し続けているようです。
『Back Market』の高品質を支える「ミステリーオーダー」
『Back Market』では、2024年9月時点で、日本国内で約50社、世界的にみると18か国で約1,800社の登録販売業者が、リファービッシュ品の販売をおこなっています。それら登録業者から販売されるリファービッシュ品の品質を高めるために尽力しているのが『Back Market』の品質管理を担う、シニアセラークオリティーマネージャーの鈴木由穂さんです。
鈴木さんが、リファービッシュ品の品質を担保するためおこなっている業務のひとつが、定期的におこなう「ミステリーオーダー」です。登録販売業者から実際に商品を購入し、『Back Market』が作成した28の検査項目をクリアしているかを確認しています。28の検査項目には、精密機器であるがゆえに、外観や機能、配送状況などに至るまで、数多くのチェックポイントが定められており、それらをひとつずつ丁寧に確認するプロセスとなっています。
外観に関しては、SIMカード挿入口などの細かな部分も入念にチェック。カメラの動作や、スピーカー、マイクなども、実際に起動させながら確認します。さらに、専用のソフトウェアを使用して、バッテリー容量など、スマホの内部まで検査していきます。
「わたしたちが販売した商品によって、お客さま自身が中古品とリファービッシュ品の品質の違いを実感していただけるように、常により良いものをお届けしていきたい。わたしの仕事は、お客さまが体験するのと同じ状態の商品をチェックすることで、常に統一した品質の商品がお届けできるようにする、“品質のゲートキーパー”のような役割だと考えています」と、鈴木さんは話されていました。
新品より安く、環境への配慮やレトロな機種の需要などから、注目されているリファービッシュ。その裏側では、より高品質で長く使えるものを、というユーザーファーストな取り組みが、さまざまな場面でおこなわれていました。『Back Market』の今後の展開に、これからも注目していきたいですね。
バックマーケット 公式サイト
https://www.backmarket.co.jp/ja-jp