世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、9月26日から29日の4日間で開催された『東京ゲームショウ2024』で見つけた、ゲーム開発を支える新しい技術についてご紹介します。
今年も東京ゲームショウが開催!
話題のゲームタイトルやゲームにまつわる最新技術、関連ビジネスなど、ゲーム業界のトレンドがギュッと詰め込まれた『東京ゲームショウ(以下、TGS)』。1996年に始まり、毎年多くの人が訪れるこのイベントが、今年も9月26日から29日にかけて、千葉県の幕張メッセで開催されました。
イベント主催者の公式発表によれば、今年は44の国と地域から985社が出展し、TGS史上、最大規模での開催となったといいます。『ファミ通ゲーム白書2024』によると、2023年には29兆5162億円に達したとされている世界のゲームコンテンツ市場。大きな盛り上がりを見せているゲーム市場で、果たしてどんなトレンドが生まれているのかを知るべく、現地の様子を取材してきました。
大勢の人や出展企業でにぎわう会場
今回、筆者が取材に訪れたのは、イベント初日の9月26日。この日は、ゲームビジネス関係者や報道関係者向けの「ビジネスデイ」として、イベント全体が構成されていました。一般の来場者はいなかったものの、ビジネス関係者や報道関係者だけでも、かなり多くの人が会場に訪れていました。
「幕張メッセ 国際展示場」の中央エントランスから、エスカレーターでホールへと降りていくと、そこにはゲームタイトルを開発する企業や関連ビジネスを手がける企業の出展ブースが、色とりどりの展示をつくり、来場者にさまざまな情報を提供していました。
ゲームづくりを支える最新のアニメーション生成技術
筆者が特に注目したのが「ゲームづくりを支えるテクノロジー」。これまでにもさまざまな先進技術を活用しながら、発展を遂げてきたゲームの世界。ゲームづくりを支える最新技術から、ゲームの未来を垣間見ることができるのではないかと思ったのです。
そこで、ビジネスソリューションコーナーや、今年初めて設置されたというAIテクノロジーパビリオンを回って、とても興味深い技術を発見してきました。今回は、その一部をご紹介します。
まずは、スコットランドの首都・エディンバラに本社を置く「Speech Graphics」という会社が提供する『Speech Graphics(スピーチ・グラフィックス)』というサービス。
ぜひ一度、上記の動画を見ていただきたいのですが、実はこのアニメーション、歌っている女性の口の動きは、すべて“声”のデータから自動で生成されたもの。従来、こうした人物のアニメーション制作においては、音声に合わせた口の動きを人の手で設定して作り込む必要がありました。『Speech Graphics』では、創業者がエディンバラ大学でおこなってきた研究をもとに開発した独自技術によって、この作業を自動化。音声を入力するだけで、違和感のない正確な口の動きを生成できるのです。
担当者によれば、英語をはじめ、スペイン語やドイツ語、中国語、日本語など、あらゆる言語に対応できるそう。欧米ではすでに人気ゲームタイトルの約9割で、この技術が使われているといいます。
音声のニュアンスで表情まで自動生成
取材を進める中でさらに驚いたのが、AIと『Speech Graphics』の技術を組み合わせた『Rapport(ラポール)』というプラットフォーム。これを使うと、音声のニュアンスによって人物アニメーションの口の動きだけでなく、表情までをリアルタイムに自動生成できるのだとか。例えば「わっはっはー!」と笑い声をあげると、スクリーンに映し出された人物も笑顔になるのです。
『Rapport』は、2Dや3DCGのアバターを使って動画を配信するVTuber界隈でも話題になっています。アバターの表情や動作をつくるときは、人間の動作や表情をデジタルで記録する「モーションキャプチャー」や「フェイストラッキング」の機能がついた機器などを使う必要があります。しかし『Rapport』のように、音声だけでリアルタイムに表情を自動生成できるサービスは、世界を見渡してみても類似製品がほとんどないのだそうです。
『Speech Graphics』も『Rapport』も、これからのゲームづくりを効率化し、新しい風を吹き込むサービスとなりそうですね。
気になる技術はまだまだたくさん!
『東京ゲームショウ2024』ではこの他にも、さまざまなサービスや技術を手がける企業が出展していました。今回の記事だけでは紹介しきれないため、来週も引き続き、ゲームづくりを支える新技術を紹介したいと思います。次回は特に「AI」に着目してみますので、お楽しみに!
Text:Teruko Ichioka