シャワー派?それともお風呂派?
忙しいと、ついついシャワーで済ましがち。ようやく涼しくなってきたけど、暑いときって、家のお風呂に入るのがめんどくさいよね。実家暮らしのわたしは、2日に一度はお風呂掃除の当番が回ってくるし、兄弟が入った後、やっと最後にお風呂に浸かれる。
昔はお風呂の時間が大好きだったはずなのに、いつの間にか「面倒なこと」になって、後回しにしがち。これって共感してくれる人、多いんじゃないかな?
もしあなたも、お風呂に入ることを「義務」みたいに感じ始めたなら、近くの銭湯に行ってみるのはどう?
わたしにとって思い出の銭湯は、JR生麦駅近くにある「朝日湯」。どこにでもあるような昔からある銭湯で、地元民のオアシスであり、部活終わりの汗を流すために通っていた。
高校生のわたしにとって、銭湯に行くのは、ちょっとしたご褒美だったな。
リーズナブルな娯楽
家でお風呂に入るのって、「めんどくさいけど、しなきゃいけないこと」っていう意識がどうしても強くなっちゃう。それに、湯船を洗ったりするのも、ちょっとめんどくさいしね( ¯ࡇ¯ )
だけど、少し外に出て銭湯へ出かければ、めんどくさがっていた入浴という行為が、あっという間に娯楽へと魔法みたいに変化する。
銭湯の値段もちょっとずつ上がっているけど、それでも530円。カフェラテ1杯分くらいで、ピカピカに掃除された、広~い湯船につかれちゃう。なんてリーズナブルな娯楽! しかもここの朝日湯は天然温泉だから、すごく得した気分になれちゃう。タオルがなくても貸してもらえるし、シャンプー・リンスだってそろってるから、出かけたついでにちょろっと行けちゃうのも良いところ。
癒しの時間
同じ銭湯に何度も通っていると、決まった靴箱に靴を入れるようになったり、常連さんの顔ぶれが少しずつわかるようになってきたり、そのうちに話しかけられることもあったり。
朝日湯が行きつけだったころには、「ここのお湯、熱めでちょうどいいよね」「今年は花火大会あるかな」なんて、常連さんたちとの何気ない会話がよくあった。そんなささやかな言葉のやり取りが、当時のわたしには、心を癒してくれる瞬間だった気がする。
家でお風呂に入るときは、湯船につかりながらスマホで音楽聞いたり、YouTubeを楽しんだりすることが多い。それはそれで楽しいけど、銭湯の場合、そんなふうに情報が頭に流れ込んでくることはない。デジタルデトックスなんて大げさなものじゃないけど、ゆっくり湯船に浸かって、ひとりで物思いにふけるのも良し、常連さんたちとの会話を楽しむのも良し……。
何にも邪魔されずに、ゆったりお風呂を満喫することができるのも、銭湯の魅力のひとつなのかなって思う。
お風呂上がりの楽しみ
湯船から上がったあとは、お決まりのコーヒー牛乳! 必ずと言っていいほど、どの銭湯の脱衣所にも自動販売機が設置してあるよね。
でもお風呂上がりに、シュワッとする炭酸とかじゃなくて、なんで牛乳なのかなぁと思って調べてみた。諸説あるみたいだけど、家庭にいまほど冷蔵庫が普及していなかったため、牛乳の消費が伸び悩んで困ったメーカーが、銭湯という場所に着目して、お風呂上がりに牛乳を飲む習慣を広めた、っていう説が有力らしい。
「あれ、あんまり直接的な関係はないんだなぁ」とわかってびっくり。でも、最初はそんなふうな販売戦略だったかもしれないけど、長い時間をかけて、「銭湯の湯上がりには牛乳!」というのが、人々の習慣になって、文化になっていったのかな。
銭湯も、最初は人々にとって、生活に必要不可欠なものだったけど、時代が進むにつれて、わたしみたいに非日常として楽しむ娯楽にもなるし、これからも大切にしなきゃいけない、歴史あるカルチャーになっていくのかも。
いま、わたしたちが当たり前に感じていることや日常の風景も、いつかは文化として大切にされていくのかもしれない。そう思うと、改めていまをもう一度見直したくなりました。
今回訪ねたのは…
朝日湯
1928年創業。社寺のような立派な外観に、昔ながらの番台。天井は高くて、広々とした空間が気持ちいい銭湯。お風呂は、地下152mから湧出した黒褐色の重曹泉の天然温泉です。
住所:神奈川県横浜市鶴見区生麦3-6-24
営業時間:15:00~22:00
定休日:5日・15日・25日(日曜日の場合は翌日)と不定休
キヨトカナのプロフィール
東京のはずれにある大学に、実家の車で通う大学3年生。
キャンプと銭湯、愛犬のLINEスタンプづくりが趣味。音楽を聴きながら散歩するのが最高の癒しで、髪色は月に2回はチェンジする
Photo:Nanako Araie
Hair&Make-up:Kotomi Goshima
Direction:Yukiho Wakao
Text:Kana Kiyoto