「気になる10代名鑑」の799人目は、suzuさん(17)。悩みを抱える中高生に寄り添う学生団体の代表を務め、居場所づくりのイベントを、企画・運営しています。最近では、デジタル領域でのものづくりへの興味が膨らんできているとと語るsuzuさんに、活動の原点や今後の目標について聞いてみました。
suzuを知る5つの質問
Q1. いま、力を入れている活動は?
「学生団体empathieで、第2期の代表として活動しています。全国の高校生メンバー10人と一緒に、オンライン・オフラインのお話し会などのイベントや、メンタルヘルスの勉強会を開催したりしています。
メンバーの多くは、学校について悩んだ経験があって、そんな自分たちだからこそできるイベントで寄り添えたらと思ってます。他にも、ジュニアリーダードルフィンクラブという団体で、地域のこども会のイベント運営のお手伝いをしています。
学校に通っているだけではなかなか出会えない人たちと出会えるのが楽しくて、校外学習や校外プログラムが昔から好きでした。張り出されていたポスターを逐一チェックして、参加しています。どんな活動でも『なんか面白そう』と思ったら、とりあえず挑戦してみることを心がけています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「小学校のころから、学校生活の中で、モヤモヤを感じることがあって。
たとえば、小学生のころ、クラスで昼休みのドッジボールで揉めごとが起こって、わたしは直接関係なかったけど、学級会で話し合うことになって。『わたしは真面目にしているのに、勉強時間がつぶれて、理不尽だなぁ』と思ってしまったんです。
その話を母に何気なく話してみたら、『学校は理不尽を学ぶところ。世間は狭いけど、世界は広い』という言葉をかけてくれて。そのとき、『学校だけが世界のすべてじゃないんだ』ということに改めて気づけて。いままで感じていたモヤモヤが解消されて、気持ちが楽になったんです。
みんなが抱える悩みを解決できて、新しい学びもあるような、学校以外の空間をつくることは、他のみんなも求めているんじゃないかと思い、“居場所づくり”に興味をもち始めました」
Q3.これまでの活動の中で、影響を受けた人は?
「学生団体empathieの第1期代表の佐藤綾音さんです。佐藤さんとは『Katariba』という、同年代の学生が集まるオンラインコミュニティに参加したとき、たまたまグループが一緒になって、知り合いました。学校生活で悩んだ境遇や価値観が似ていて、意気投合したと同時に、『empathie』のことも知ったんです。それで興味を持って自分も所属しました。
佐藤さんは、1個上とは思えないほどに、自分がやりたいことのビジョンがしっかりしていて、ブレないところがカッコいいし、自分もそうなりたいなと思うんです。
佐藤さんに影響を受けて、学生団体で活動していくうちに、人前で意見が言えなかった内気な自分が、どんどんアクティブになっていって。自分を変えるきっかけになった団体と出会わせてくれたことにも、すごく感謝しています」
Q4. 最近、挑戦していることは?
「最新技術のAIについて興味があって、勉強を始めました。『サイカ塾』という、AIの活用方法や技術について基礎から学べる場所があって、そこに通っています。
最近では、AIを用いたアプリ開発にも取り組んでいます。学生団体JUUSというところで、高校生3人で、本や映画などのエンタメに関する感情を色で示す仕組みづくりに取り組んでいます。
小さいときから、図画工作や折り紙など、ものづくりが好きで、この根本はいまでも変わっていない気がします。『empathie』でも、イベントや居場所をつくりあげることに取り組んでいるように、ものの形があってもなくても、自分がつくったもので人の心を感動させたいと思っています」
Q5. 今後の目標は?
「まずは学生団体empathieの代表として、悩みを抱え込んでいる中高生を減らして、自分もそうだったように、居場所はいくらでもあるんだということを伝えたいです。ひとりで悩んでいる学生をつなげられるイベントをこれからも企画していきたいです。
これからは、デジタルのものづくりに挑戦したいです。以前、東京に来たときに、豊洲のチームラボプラネッツに行ったんです。五感すべてフル活用させる空間づくりと技術に、圧倒されてしまって……。情報・工学の力で面白いものづくりをして、人を感動させることができたらいいなと思っています」
suzuのプロフィール
年齢:17歳
出身:和歌山県
所属:学生団体empathie、学生団体JUUS、ジュニアリーダードルフィンクラブ
趣味:文房具集め
特技:円周率の100桁暗唱
大切にしている言葉:「なんやかんや耐える」(YouTuberのはなおでんがんの言葉)
Photo:Nanako Araie
Text:Chihiro Bandome