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葉っぱをナプキン代わりにする人も。アフリカにおける生理の貧困の実態【Steenz Breaking News】

葉っぱをナプキン代わりにする人も。アフリカにおける生理の貧困の実態【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカにおける生理の貧困の実態について。アフリカ在住のZ世代ライターによるレポートと、問題解決に取り組んでいる団体をご紹介します。

生理の貧困によって夢を諦めなければいけないという現実

UNICEFの報告によると、アフリカに住む少女の10人にひとりは、生理が原因で、学校に通えていません。その大きな原因として、生理用品を入手できないことや、学校に適切なトイレがないことが挙げられます。

農村部や資金のない学校では、トイレが設備されていなかったり、プライバシーが十分に確保されていないという現状があります。

ウガンダで販売されている生理用品は、安いものだと約200円ほどで購入できます。しかし、平均月収が約1万円ほどという国も多いアフリカでは、月収の1割を生理用品に当てなければいけない必要があるのです。

FAO(国連食糧農業機関)によると、アフリカ大陸に住む人口の70%が農業に依存していますが、農家には月収が5000円に満たない家庭もあります。そのうえ、大家族で少女や女性の多い家庭では、生理用品のためのコストが大きな負担になっていることが考えられます。

筆者の住むウガンダ北部の貧困地域で話を聞いてみると、使い捨ての生理用品を購入するお金がないため、木の葉をつかったり、マットレスの切れ端や古布で代用したりして、節約しているという声も多く聞かれました。

使い捨ての生理用品を使わず、再生利用可能な月経カップといった生理用品を使うという選択肢もありますが、多湿な環境では、完全に乾燥させることが難しく、感染症のリスクを高める可能性もあります。

また、シャワーを浴びられなかったり、体を清潔に保つことができなかったりすると、尿路感染症といった感染症を引き起こしてしまうリスクがあり、根本的な解決にはつながりません。

教育と物資的支援の両軸で若者が安心できる場所を

このような生理の貧困によって、教育やあらゆることを諦めざるを得ない子どもたちのために、活動している団体もあります。東アフリカで活動する「Huru International」は、生理用品の配布と教育をおこなっているNPOです。

2008年にケニアのスラムで設立されたこのNPOは、これまでに69万の女性と少女に適切な教育をおこない、230万個の生理用ナプキンと30万個のキットを配布してきました。

このキットには、生理用ナプキンに加えて、下着や石鹸、さらに性教育と健康に関する小冊子が含まれています。

生理用品とキットの製造をおこなうナイロビの本社では、100人以上の地元の人を雇用していて、生理の貧困問題の解決のみならず、地域の雇用創出にも貢献しているのです。

実際、このキットを受け取った少女は、月経中に学校を休む可能性が3倍低くなるという結果も出ているのだそうです。

生理の貧困への支援がアフリカの未来を変えるかも

アフリカの多くの国は、保守的な思想がつよく、性の話をしたり、時代に合わせた性教育おこなったりすること自体が、タブー視されています。本来、生理の貧困の解決に向けて重要な役割を果たすべき家庭や学校が、このような保守的な考え方のもとに弊害となり、月経時の環境整備も遅れています。

だからこそ、外部からの支援は重要になります。この先もっと積極的に、教育やコミュニティの場に介入する必要があるでしょう。さらに、学生も含め、多くの女性が、経済的に男性に依存せざるを得ないという状況においては、男性に対しても、生理のことや生理用品の重要性を理解してもらうことが重要です。

女性が自らの体を大切にしながら、安心して自らの人生を送れる、そんな人権が保証される未来づくりのために、性教育と生理用品などの物資的支援の充実に、さらに期待したいです。

References:
UNICEF「FACT SHEET: Menstrual health and hygiene management still out of reach for many」
The Rockefeller Foundation「70 Percent of Africans Make a Living Through Agriculture, and Technology Could Transform Their World」
Huru International「Home」

TextHao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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