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生成AI×仏教で課題解決!伝統宗教にテクノロジーを掛け合わせる大学発スタートアップがめざす未来像 【Steenz Breaking News】

生成AI×仏教で課題解決!伝統宗教にテクノロジーを掛け合わせる大学発スタートアップがめざす未来像 【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、「テクノロジー×伝統宗教」で、世界でも類を見ないサービスの開発に挑む、大学発のスタートアップをご紹介します。

東京など一部地域で行われている7月の「お盆」

7月15日は「新盆(7月盆)」です。先祖を供養するお盆といえば、一般的には8月中旬におこなうイメージがありますが、実は東京都や神奈川県、石川県、静岡県などの一部地域では、7月中旬がお盆の期間となっています。

お盆は、正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、仏教とゆかりの深い行事です。その起源は中国仏教にあるといわれ、日本には7世紀ごろに伝わり、江戸時代には一般家庭でも行われる仏教行事となりました。

時代の変化で大きな転換点を迎えている日本の仏教

お盆をきっかけに、改めて「仏教」について考えてみると、現代の日本社会に生きる多くの人にとって、仏教というのは、もはや葬儀や観光といった限定的なシーンでしか触れることのない宗教となっていることに気づきます。

そうした状況は、日本の仏教界に暗い影を落としています。国内の各地で、存続が危ぶまれる寺院が増えているのです。それでなくとも人口減少が止まらない日本。仏教に触れる機会が限られてしまっていることで、従来の檀家制度に参加しない人も増えてきました。

また、葬儀に着目しても、昨今は仏教に頼らない樹木葬や自由葬などを選択する人が増えています。時代とともに人々の価値観が大きく変化したことで、葬儀を中心に仏教と関わる、日本ならではの文化がひとつの転換点を迎え、日本の仏教界にも新たなあり方が求められているのです。

生成AI × 仏教で生まれた「ブッダボット」

そうした課題と向き合い、最新テクノロジーの活用で伝統宗教の活路を見出そうと、研究開発をおこなっている企業があります。京都大学で仏教学を研究し、自身も僧侶である熊谷誠慈さんと、同じく京大出身で生成AIの専門家である古屋俊和さんが立ち上げた、株式会社テラバースです。

同社では現在、ChatGPTやAR技術を活用しながら、仏教が長い時間をかけて編み上げてきた教えの数々を、現代人の心の健康に役立るサービスの企画開発を進めています。

具体的には、2023年7月、OpenAIの大規模言語モデル「GPT-4」を利用した『ブッダボットプラス』を発表しました。これは仏教の始祖・ブッダの教えの核心が書かれた経典とされる『スッタニパータ』を生成AIに学習させて構築したチャットボット。人間のさまざまな悩みに対して、経典から最適な箇所を引き出して回答してくれるというツールです。

また同年9月には、大乗仏教の二大哲学のひとつである「唯識」を唱えた、4~5世紀ごろの北インドの僧・世親と、鎌倉時代前半から中期にかけて活躍し、浄土真宗を開いた親鸞の教えを生成AIに学習させた『世親ボット』『親鸞ボット』も開発。

既出の『ブッダボット』も含め、これらとARとを組み合わせることで、テキストだけでなく視覚や聴覚に訴えかける情報提供ができるようになり、マルチモーダルなコミュニケーションが可能になったといいます。

テラバースが「ブッダボット」の先に見据える未来とは

テラバースが生み出した『ブッダボット』などのツールは、まだ一般公開はされていません。同社では今後も引き続き、仏教とテクノロジーを掛け合わせる研究を進めていくことで、人の心を健やかな状態に保つことに貢献し、社会にイノベーションを起こすようなプラットフォームを実現させるという構想を描いています。

また、人事部門の業務変革に資するHRテックの領域でも、『ブッダボット』の技術を応用できると考えているそう。具体的には、仏教経典の代わりに経営者の経営理論などを学習した「経営者ボット」「経済学者ボット」をつくることで、仕事で困ったとき、自社専用の経営者ボットに相談することで、解決に至りやすくなる環境をつくることが可能だといいます。

伝統宗教と最新テクノロジーが出会い、わたしたちの生活の中に組み込まれるようになったとき、これまで何千年という歴史の中で宗教が人々の心を支えてきたように、伝統宗教が再び、日々の営みを支えてくれるのかもしれません。

TextTeruko Ichioka

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Teruko Ichioka

ライター・編集

フリーライター。好奇心の強さは誰にも負けない平成生まれ。得意領域もスタートアップ、ビジネス、アイドルと振れ幅が広い。

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