世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、ユニークなアフリカの葬式事情についてお伝えします。
悲しむばかりじゃない?アフリカの人々の死生観
50以上の国と、数えきれないほどの民族が存在するアフリカ大陸。それぞれの地域や民族がもつ独自の宗教観や文化によって、お葬式の形式もさまざまです。
日本におけるお葬式といえば、一般的に厳粛で静かな雰囲気でおこなわれますが、多くのアフリカの人々にとって、「死」というのは、決して悲しみをもたらすだけではありません。 新たな世界への旅立ちと捉えられ、故人の魂を敬い、祝福する機会として大切にされています。そこで今回は、そんな楽しい雰囲気でおこなわれる、アフリカのお葬式をご紹介します。
DJと祝う法事
アフリカ大陸の最南端に位置する南アフリカ共和国。首都であるヨハネスブルクのソウェト地区は、高層ビルが立ち並ぶ中心部とは打って変わって、庶民的なトタン屋根の家々やテントが並びます。この地区は、アパルトヘイト(人種隔離政策)時代、黒人居住区に指定されていた歴史があり、その面影はいまも感じられます。
白人の人口が全体の7%を占める南アフリカですが、筆者がソウェトを訪れたときは、一度も白人を見かけることはありませんでした。昔から長く住む多くの黒人が、いまでもソウェトに住み続けているのです。
そんなソウェトで筆者が参加した法事は、とても衝撃的なものでした。まず、お葬式といっても、まるで結婚式のような雰囲気で、近所の人や友人の友人までもが参加します。最初から大量のお酒が用意されていて、筆者が訪れたときは、驚くことにDJまでもが招待されていました。
DJが流す音楽に合わせて踊ったり、お酒を飲みながら会話を楽しんだりと、非常に賑やかな葬式です。
この賑やかな法事の背景には、「命は悲しむものではなく、祝福するもの」という考えが根底にあります。参列者のひとりは、「亡くなったことを悲しむのではなく、生きてくれたことに感謝する」という気持ちがあるのだと語ってくれました。
夢を叶えてくれるガーナの棺桶
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大西洋に面した西アフリカに位置するガーナ。カカオの産地として知られていますが、お祭りのような葬式が行われることでも有名です。ガーナには、棺桶アーティストが存在し、故人に縁のあるものの形をした棺桶を作ってくれます。海外からも棺桶の発注を受けるガーナ人のPaa Joe氏は、好きなお菓子やお酒のパッケージ、動物などを取り入れた個性的な棺桶を生み出し、カラフルな装飾を施してくれるのです。
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生前、部族の長だった人にはライオン、仕立て屋にはミシン、カメラマンにはカメラ、漁師には魚、音楽家にはピアノなど、棺桶デザインはバラエティ豊かです。海外旅行に行くことを望んでいた人には、飛行機にちなんだものまで。長年の夢であっても叶えられなかった人の夢を叶えるのも、棺桶アーティストの仕事なのです。
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また、ガーナのお葬式では、担ぎ手となるダンサーがいることでも有名です。棺桶を6人ほどのダンスクルーが、ノリのいい音楽に合わせて踊りながら担ぎ、親族がその後を歩きます。まるでパレードのような華やかな雰囲気には、日本人だと思わず面食らってしまうかもしれません。
これもまた、「亡くなった人に感謝し、悲しい顔ではなく、感謝や優しい気持ちで見送りたい」という想いがあるからです。
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故人の新たな旅立ちを祝うアフリカのお葬式
今回は、日本の慣習とはかけ離れた雰囲気でおこなわれる、賑やかなアフリカのお葬式を紹介しました。「アフリカの人は陽気」とよくいわれますが、それもまた「命は終わりあるもので、死は悲しむのではなく祝うべき」という考えがベースにあるためのではないかと、筆者は思います。これを機に、アフリカに限らず、世界のさまざまな国のユニークな葬式を調べてみてはいかがでしょうか。
References:
Government of South Africa「People of South Africa」
Text:Hao Kanayama