世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、Z世代を対象にした、就職活動における意識調査の結果から、男女差が大きかった項目を中心に、ご紹介します。
同年代なのに男女差がスゴイ…そんな項目を見てみよう
SDGsの企業向けeラーニング「SDGsビジネスラーニング」を手掛けるSoZo株式会社は、法政大学の学生と共同で、SDGsに対する意識や就職活動における企業選びについて調査したレポート「【Z世代】SDGsシューカツ解体白書」を発表しました。
Z世代といえば、他の年代と比べても、回答に男女差が出にくいイメージが強いですよね。しかし今回のレポートでは、項目によっては、男女差が大きく出る結果となりました。実際、どんな結果が見られたのか、チェックしていきましょう。
たくさんあるSDGsの項目で男女差が大きいのは?
まず注目したのは、「興味があるSDGsの目標を教えてください」という、SDGs全17項目のそれぞれのゴールに対する興味関心についての質問です。1位になったのは目標4の「質の高い教育をみんなに」。こちらは男女ともに、4割以上の方がピックアップしています。一方で、目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」について、女性では最多となる52.4%が「興味がある」と回答したのに対し、男性は25.8%と、男女で25%近くも差が生じています。
これに対し、プロジェクトメンバーである法政大学の学生たちは「メディアなどを通じて女性のキャリアにおける不利益を目にしているから」ではないかと仮説を立てています。さまざまなメディアで、女性が性別を理由に不利益を被っている場面が取り上げられています。そのため「社会に出たらそんな不利益を被るのかな」、「そうなったら怖い」という恐怖感があるのではないか、と分析しています。
もうひとつ、男女差が大きかった項目は、目標8の「働きがいも経済成長も」です。「興味がある」と答えた男性が39.4%(2番めに多い)に対し、女性は24.5%にとどまり、その差は15%と、かなりギャップがあります。
こちらについて、法政大学の男子学生から「男性は自身のキャリアアップや収入に関心があり、この目標を自分自身の話としてとらえているのではないか」という声があがっています。一方で、女子学生は「女性はキャリアアップや収入よりも、ライフステージによって仕事量を調整したり、自分らしく働いたりすることに比重がある。だから、この目標にピンときていないのではないか」という捉え方をしています。
男女差としてとらえるのは大げさ?
今回の調査は大学生を対象にした意識調査でしたが、実社会の労働環境においては、まだまだ男女差が大きいことはいくつかの指標からも読み取れます。
例えば厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、男性一般労働者の給与水準を100としたとき、女性一般労働者の給与水準は74.8となっています。また、世界経済フォーラムが2023年6月に発表したジェンダー・ギャップ指数では、日本は146か国中、125位です。教育と健康では男女差はないものの、政治と経済においては著しく男女差が大きいと指摘されています。これは、主に女性の政治家や管理職の少なさが原因となっています。
大学生という、まだ実社会でのジェンダー・ギャップを経験していない世代の間でも、このようなかたちで、意識に顕在化されているジェンダーギャップ。折りしも6月は日本の労働組合のナショナル・センター(中央労働団体)である連合が定めた「男女平等月間」です。これを機会に、ちょっとだけ視野を広げ、社会での男女の扱われ方の違いについて、考えてみませんか。
【Z 世代】SDGs シューカツ解体白書」2024年版 調査概要
調査対象:全国の大学生・大学院生の男女
回答数:1,129人
調査時期:2023年9月4日(月)〜12月3日(日)
調査方法:インターネット調査
調査元:SoZo株式会社(https://www.sozoinc.jp/)
Refences:
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
男女共同参画 GGI ジェンダー・ギャップ指数」
連合「連合男女平等月間(6月)の取り組み」
Text:Itsuki Tanaka