地球や社会に良い影響を与えるインターネット広告が存在するってホント？英国発の広告サービス「Good-Loop」とは【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、広告視聴が寄付になる「Good-Loop」についてご紹介します。

インターネット広告に対する人々の反応と考え方

WEB上の記事や動画を眺めているとき、目に入ってくるインターネット広告。コンテンツや記事の間に挿入されていたり、動画になっていて見終わるまで消せないものなど、さまざまなタイプの広告が存在しますが、そんな広告をじっくり見ているという人は、どれくらいいるのでしょうか。

インターネット調査等をおこなうマイボイスコム株式会社が2023年3月に実施したアンケート調査によると、表示された広告を読むと答えた人は、全体の約36％。反対に、表示された広告を読まずに閉じる人というは、全体の46.8％にものぼります。

また、広告が表示されることに対して「わずらわしい」と感じている人は33.6％、「関係ない広告が表示されるとイライラする」と思っている人が31.6％と、インターネットに表示される広告に対して、マイナスな思いを抱いている人が少なくないこともわかります。

確かに、せっかく記事や動画を見ている最中だったり、見る前に広告が現れると、不快に思う気持ちも理解できますよね。そして、広告を見ても自身にメリットがないと思う点も、不快に思う理由のひとつではないでしょうか。

広告視聴が寄付につながる「Good-Loop」

このように、マイナスイメージをもつ人が一定数いるインターネット広告ですが、近年では、そのイメージを覆すようなサービスも登場しています。

2016年10月に英国で誕生したGood-Loop社は、デジタル広告を活用したマーケティング支援や社会貢献活動をおこなう企業です。その仕組みはとてもシンプルで、広告をインターネット利用者が閉じずに読むと、環境や社会問題の解決に取り組む団体へ寄付できるという「ドネーションAD」といったものです。

こうした取り組みに対しては、消費者側からも、一定の評価があるようです。例えば、シリアルバーブランドとして知られる「ネイチャーバレー」との取り組みでは、ドネーションAD専用の広告を制作したところ、多くのインターネット利用者が広告を閉じずに視聴してくれたそう。そうやって生み出した寄付金は有効に活用され、国立公園への6万6000本の植樹につながったそうです。

その他にもGood-Loop社は、2022年9月にデジタルメディアの品質向上を支援する「Integral Ad Science」と提携し、デジタル広告キャンペーン時に発生する二酸化炭素排出量を、広告主が計測および確認できるようにしました。

インターネット広告は、紙に印刷したり素材を輸送したりすることがないので、環境負荷という観点ではあまりイメージしにくいですが、さまざまな過程でエネルギーが使われており、二酸化炭素も多く排出しています。二酸化炭素は、気候変動の原因のひとつと言われているため、排出量を確認できるツールの需要は今後ますます伸びていくでしょう。

日本でも提供を開始

ここ日本でも、2021年11月から、株式会社博報堂DYメディアパートナーズとデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社がGood-Loop社と業務提携を結んでおり、「Good-Loop」ドネーションADの独占提供を開始しました。また寄付先も、60の団体から選べるそうです。2022年3月8日の国際女性デーには、株式会社大広と沢井製薬株式会社が、アジア初となる「Good-Loop」ドネーションADを実施して、注目を集めました。

「Good-Loop」のドネーションADを導入することにより、企業は動画広告を消費者に最後まで見てもらいやすくなることに加えて、社会貢献活動に取り組んでいることを世間に示すことができます。一方、視聴者は、経済的な負担を背負うことなく寄付できたり、企業と一緒に社会貢献ができたりする点は、メリットといえるでしょう。

インターネット広告の新たな選択肢として注目されている「Good-Loop」のドネーションAD。広告主と視聴者、そして寄付先の「三方よし」を実現できるため、さらに多くの企業の導入が見込まれているそうです。こうした、寄付やソーシャルグッドなアクションを伴った新しいソリューションは、今後さらに増えていくかもしれませんね。

Text：Yuki Tsuruda