Teen's Snapshots

日常の中に溶け込んで着る人に寄りそう服をつくりたい。染色や素材への探求もはじめたクリエイター【村野こだま・19歳】

日常の中に溶け込んで着る人に寄りそう服をつくりたい。染色や素材への探求もはじめたクリエイター【村野こだま・19歳】

「気になる10代名鑑」の655人目は、村野こだまさん(19)。高校時代から本格的に服飾を学びを始め、現在は日常的に着用できる服づくりを追求するほか、アートの制作もおこなっています。「着ているひとのこころを静かに支えたり、共存しているような服が理想」と語る村野さんに、活動を始めたきっかけや今後の展望について聞いてみました。

村野こだまの活動を知る5つの質問

Q1. いま、力を入れて取り組んでいることは何ですか?

日常的に着られるような服をつくっています。 ショーや撮影で扱われるような服じゃなく、日々の生活のなかで、記憶に残っていることや惹かれたものから着想を得て、服に落とし込むのが好きなんです。

服作りを学び始めたのは、15歳のとき。高校進学のときに、服飾を専門的に扱っている専修学校に入学しました。

服をつくる以外には、絵を描くのも好きです。母が使っていた絵の具を譲ってもらって、それを使って描いています。最近では、自分で採ってきた草花を使った作品を製作したりもしました」

 

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Q2. 活動を始めたきっかけは?

母親が持っていた、フェリシモの『はいせんす絵本ファッション編』を見せてもらったことです。発行が1999年の雑誌で、少し古いものなのですが、表紙や誌面を見たときに、すごくテンションが上がって。そのときから、いつかファッションの世界に携わってみたいと思うようになりました。

中学生になってから、自己流で服をつくりはじめました。パターンや裁縫の知識が全然なかったので、思ったような服はやっぱりつくれなくて。もっと服づくりについて勉強したいと思うようになり、服づくりを学べる高校を選びました」

Q3. 大切にしていることはありますか?

着る人が『この服を着ていれば、自分は大丈夫』と思えるような服をつくりたくて。というのも、わたし自身が、集団のなかだと萎縮してしまうタイプなんです。だから、着ているひとのこころを静かに支えたり、共存しているような服があれば、理想的だと考えていて。

たとえば、着物の羽織では、表地よりも裏地に凝るというデザインがあって。“他の人からは見えない、目立たないところを凝る”という部分にすごく惹かれるんです。着るひとと、つくったひとにしかわからないこだわりをどこかに潜ませて、製作するようにしています。」

Q4. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?

染色に興味があって、染め物をしています。いちばん好きな染め方は、草木の葉や茎の形をそのまま布の転写する『バンドルダイ』という手法。染色のための植物は、自分で森や林から採集するようにしていて。季節が来れば、葉は落ちて枯れる。その変化の一瞬だったり、そこに在ったことを記憶に残せているような感覚がするので、楽しくて続けています。

また、染めるときに使用する液体を変えることで、ピンクの花弁から青色が出したりなど、さまざまな色彩を楽しむこともできて。ほかにも、ろうけつ染めや泥染めなど、いろいろな染め物に興味があります」

 

 

 

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Q5. 今後の展望を教えてください。

まだしっかりと考えられてはいないのですが、漠然と服づくりで生きていければいいなと思っています。いまは、素材についての勉強をしてみたいと思っていて。4月から新しい学校に通うために、ポートフォリオの準備をしています。

将来は、自分でデザインした服をつくりたいと思っていて。目まぐるしい流行と、新しいものがひしめく現代で、求めてくれた人と生涯を共にできるような服をつくりたいなと思っています。そのひとが年を重ねても、自分で着れなくなっても、タンスやクローゼットの中で、わたしのつくった服が手前に置かれている……そんな光景を夢見ながら製作しています。

道の駅の一角で、その地域に住んでいる作家さんが、作品を販売している姿にも憧れていて。よそゆき用の服を買いにいく、今季のルックが気になっているから見にいく、とかの目的があっていくんじゃなくて、荷物を片手に、ラックを何気なく見ているひとが集まっている空間が、とても好きで。ひとと衣服の距離が近くて、衣服が生活の中に溶けこんでいる感じがするんです。いつかそういった場所で、服を販売していきたいなと思っています

村野こだまのプロフィール

年齢:19歳
出身地:東京都八王子市
趣味:服づくり、染め、絵を描くこと
特技:長時間歩く
大切にしている言葉:誠実

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Photo:Eri Miura
Text:Mao Kawasaki

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Mao Kawasaki

ライター

2003年生まれ、新潟県出身。文化服装学院 インダストリアルマーチャンダイジング科 在学中。Steenzには2023年11月より参加。学生ライターとして「気になる10代名鑑」のインタビュー記事執筆を担当している。

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