今後の活躍が期待される、若手俳優/女優を発掘・育成する「私の卒業」プロジェクト。全国に先行して新潟で劇場公開された今作『こころのふた~雪ふるまちで~』のメインキャストをつかみ取った7名に「Steenz」では座談会形式のインタビューを実施。後編では、インタビュー時、クランクアップを前日に控えていた吉田愛佳役・小越春花さん、白石学役・下川恭平さん、清水真衣役・草野星華さん、橋本亮介役・渡邉多緒さん、椎名弥生役・今森茉耶さん、峰村由香役・阿部凜さん、藤巻司役・美波さんに撮影メンバーへの想いや物語の舞台となった新潟県のことまで、和気藹々とお話していただきました!劇中、メイキングの写真とともにその様子をお届けします!
未熟さを痛感しながらも、同世代だから支え合えた
―撮影までの準備期間も含めると、皆さんで過ごす時間も多かったですよね。お互いに刺激を受けることも多かった?
今森:お芝居の経験があまりなかったので、みんなのお芝居を見てやっぱり圧倒されちゃいましたね。もちろんいい刺激にもなってたけど、どんどん自分の至らないところばっかり見えてきて……。落ち込んでは「また明日も頑張ろう」って切り替えることの繰り返しだったかなと思います。
小越:わたしは下川さんとご一緒させていただくシーンが多かったんですけど。下川さんが演じた学くんは、わたしが台本を読んでイメージしていた学くんよりも、はるかに優しかったんです。だから、自分で愛佳を演じながらも、心がどんどん開かれていくのを感じて。そういうやり方もあるんだって勉強になりました。
下川:小越ちゃんとは、一緒のシーンが多かったからいろいろ話したよね。でも役づくりの話をしてると、オフの日もずっと役のこと考えてるんじゃないかな、みたいな意見が出てくるんですよ。作品への向き合い方のレベルが段違いだなと思いました。びっくりしたのが、自分のラインの名前も愛佳にしてたよね。
小越:あ、愛佳にしてます(笑)。
下川:小越春花を捨て去る勢いなんじゃないかってくらい。デカすぎる覚悟にびっくりした。
小越:自分を消して「愛佳にならなきゃ」って思い込んでしまってたんですよね……。でもなかなか自分が消えなくて、すごく悩んでたんです。そのときも下川さんが「自分がその役に選んでいただけたからには、自分を消すんじゃなくて生かして、自分に役をのせればいいんじゃない?」「誰でも同じような演じ方をしてたら俳優さんっていう職業はそんなに必要がないんじゃないかな」って言ってくださって。その言葉にすごく支えられたんです。本当に本当に感謝しかないです。
草野:なんか聞いてて恥ずかしくなってきちゃった(笑)。
渡邉:僕も、下川くんの芝居は心に刺さったな。演技を見て「生きてる演技をしてるな、演技しながら生きれるんだ、役で生きれるんだ」って思って。
下川:そんな、やめてください(笑)。ありがとうございます。
阿部:でもさ、お芝居をやっていきたい人ってわりといっぱいいるけど、世間的に大部分を占めてるわけじゃないじゃん。だから今まで孤独を感じることが多かったの。でも、この現場に来たらみんな「良い作品にしたい」っていう同じ気持ちを持っていて。自分の未熟さも悪いことだって思わずに、全部受け入れて取り組めたな。悩んでも誰かが絶対助けてくれるし、できなくても励ましてくれる人がいる。そういう空間が出来上がっていて、素晴らしいなって思ってました。
新潟の文化や人に触れた撮影期間
―撮影期間中の印象的な出来事やエピソードはありますか?
今森:わたしは古町で芸妓さんにお稽古をしてもらったことかな。お師匠さんがいるんですけど、すごく厳しい方だったんです。初めて行ったときに、礼儀作法を知らなかったので、立って挨拶したら「ちゃんと座って、お辞儀してください」って言われてしまって。ドキッとした(笑)。でも厳しいけど、すごく熱心に教えてくれて。撮影が終わったあと「もう会えないんだ」って思って寂しくなっちゃった。
草野:頑張ったね。弥生は芸妓もダンスも両方やってるもんね。
渡邉:ダンスといえば下川くんがめっちゃうまかったな。
草野:学はダンス部じゃないし、生徒会長なのに本当はダンスがうまいんですよ。
下川:渡邉くんがダンス未経験ながらにダンス部のカリスマリーダーに選ばれてしまったので(笑)。個人的にスタジオを借りたりして練習に付き合わせてもらってたんです。冒頭のダンス部のシーンは、ちゃんとしたでかいステージで照明も使ってるので、かっこよく写ってるはずです。あれ、マジ頑張ったよね。
渡邉:あんま言うなって(笑)。でも、だいぶ苦戦しましたよ。途中で基礎とかじゃなくて、いかに振りをかっこよく見せるかっていう考えにシフトしたんです。だから、ダンス動画をずっと観て研究してた。
阿部:あのシーン、多緒くんがゾーンに入ってる感じで見てて泣きそうだった。
渡邉:僕も泣きそうだった。あのとき。
草野:あと、注目して欲しいシーンでいうと繁華街で撮った学と愛佳のシーン。わたし、そのシーンの撮影だけはどうしても見学したくて。終バスを逃してホテルまで30分歩いて帰ったんだけど(笑)。
小越:えー、そうだったの!
草野:ズンズン歩く愛佳の後ろを追ってカメラマンの方が撮ってるんだけど。躍動感もすごいし、演技も本当に良かった。しかも雨が降ってたから、地面にイルミネーションが反射してて綺麗なの。早く大きいスクリーンでみたい……。
阿部:めっちゃ楽しみ。
―ちなみに、今作の舞台となった新潟県はどんな街でした?
渡邉:空気は冷たいけど、人は温かい!
一同:おおー!
草野:人はまじで温かい。商店街で撮影したときに地域の方々に観にきてくれてたんだけど。わたしが映画の宣伝したら「観るね!」とか「新潟であんまりこういう撮影がないから、嬉しい」って言ってくださったり、「あの子可愛いね」とか「お姉さん綺麗だね」って褒めてくれたり。
渡邉:何人かでピザ屋さんに行ったときも、店主さんに「なんの集まりですか」って聞かれたから、映画の宣伝をしたんだけど。そしたら、スマートに「撮影頑張ってください」ってメッセージ付きのデザートプレートを出してくれて。
草野:えー、いいなー!
阿部:優しいね!
草野:正直、撮影で広く街を使わせてもらってるし「邪魔だな」と思われても仕方ないじゃん。でも、街全体が公開を楽しみにしてくれてる感があって嬉しい。エキストラの方々も新潟から想像以上に集まったみたいで、高石さんも驚いてたんです。本当に新潟の方々には感謝だなあ。
より多くの人が楽しめるように。敷居の低い作品になってほしい
―では、最後に作品にどんな想いを込めましたか?
小越:わたし自身、今まさにお芝居の世界に足を踏み入れたばかりで。お芝居に挑戦し続けたい気持ちと、諦めそうになる気持ちの間で葛藤することがあるんです。今回、わたしが演じた愛佳は夢を志す気持ちに一度は蓋をしてしまうけど、最終的には前を向く決断をする役柄。そんな愛佳に自分自身を重ね合わせながら演じたので、みてくださった方々の背中を押せていればいいなと思います。
下川:学のセリフにも「やってみたいっていう気持ちを捨てるのは勿体ない」 「やってみたいって気持ちにふたをしないでいようと思ってる」っていう部分があって。僕たち世代の方々の一歩踏み出すきっかけになってほしいなと思います。
美波:社会課題も大きくテーマとして描かれてるので、作品を通して、今日本で起きてることを知ってもらえるきっかけになったら、すごく嬉しいです。
阿部:登場人物それぞれが、「これ」って一つに限定できないような複雑な感情を抱えていたように、曖昧な気持ちを抱きながら生きている若い方々が多いと思うんです。そんな方々に共感していただけたらもちろん嬉しいし、大人の方にもその曖昧な気持ちを知ってほしいというか、思い出していただけるような作品になっていればいいなと思っています。
渡邉:みんないいこと言おうとしているけど、とにかく全人類に届くといいなと思います!
草野:良い意味で、悩んだときにふらっと立ち寄れるぐらいの敷居の低い作品になってたらいいよね。
今森:幅広い世代の方に響くシナリオだと思うので、たくさんの人に届いたらいいなと思います。新潟の魅力もたくさん詰まっている作品だと思うので、新潟の方には特に見て欲しいです!
私の卒業 第5期 『こころのふた〜雪ふるまちで〜』 概要
高校の卒業は、多くの人たちにとって、人生初めての大きな岐路。進学、就職といった進路の問題や、恋人や友人との関係の変化など、数々のドラマが生まれます。そんな高校生の思いや悩みを題材に、若者たちが前向きになれる物語が展開されるオリジナルストーリーが『私の卒業』。
第5期となる今作は、新潟県新潟市と燕市を舞台に、新潟市ふるまちの芸妓、燕市の金型など、地元に根付く文化に触れながら、人口減少社会における問題に切り込み、高校を卒業していく若者たちがどのような一歩を踏み出すのか、その葛藤や希望を描きます。地元の人々のみならず、都市に暮らす人々へのメッセージも込められた作品です。
■劇場情報
3 月 29 日(金)よりユナイテッドシネマ新潟
6 月 14 日(金)よりユナイテッドシネマ豊洲 にて公開!
■予告編
■作品情報
私の卒業 第5期 『こころのふた〜雪ふるまちで〜』
【出演】
小越春花、下川恭平、渡邉多緒、今森茉耶、阿部 凜、草野星華、美波/八条院蔵人、姫子松柾、伊賀光成、水瀬紗彩耶、増井湖々、藤乃唯愛、田口音羽、柚来しいな、鈴川 紗由、榎本遥菜、大熊杏優、山北れもん、世良大雅、髙岡優、清水海李、高橋璃央(友情出演)
【声の出演】真飛聖、森岡豊、南北斗
【脚本】高石明彦
【音楽】平野真奈
【監督】北川瞳
【企画協力】井上拓生 岩﨑美憲、永川大祐、渡邊景亮(以上小学館)宮本真行(松竹事業開発本部)
【媒体協力】Steenz エルタマ
【後援】新潟市 新潟商工会議所 新潟市教育委員会 新潟観光コンベンション協会
【協賛】新潟綜合警備保障
【プロデューサー】飯田花菜子 成瀬保則 ヤマウチトモカズ
【アソシエイトプロデューサー】 平岡祐子
【プロデュース】高石明彦 英田理志
【企画・制作・配給】The icon
Photo:Kaori Someya
Text:Yui Kato