「気になる10代名鑑」の605人目は、リヨンさん（17）。バレエを13年間学び、さらに高校で舞踊を専攻して、踊りという表現を極めながら、新たなチャレンジとして、モデルとして活動しています。モデルは服に命を吹き込む立派な表現だと話すリヨンさんに、活動のテーマや今後の目標について聞いてみました。
リヨンの活動を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れている活動は？
「高校の舞踊科でダンスを勉強しながら、モデルとして活動をしています。
もともとクラシックバレエを13年間習っていたんですが、このままプロをめざして続けるべきか悩んでいて。そんな中で、舞踊科に入学することになったんです。『型』を再現し、美しく表現するバレエとは違って、いかに自分の殻を破り、イメージを膨らませて自由に表現するかというフリーダンスが新鮮で楽しくて。表現の引き出しを増やすことができました。
モデル活動を始めたのは、たまたま先輩から声をかけてもらったので、昔からモデルになりたいって思っていたわけじゃないんです。でも、バレエや舞踏を続けることで自然と培った、しなやかな体の使い方やひたむきに真面目に表現するというマインドが、モデル業で『個性』として活かせるものだと気づいて、実践しています」
Q2. 新たな活動を始めたきっかけは？
「高校1年生のとき、先輩から『デザイン部でファッションショーをするけど、そのモデルにならない？』と声をかけられたのがきっかけです。
正直言うと、服を着て歩いてポーズするだけならできるかなって、軽い気持ちで引き受けたんです。でも、デザイン部のみなさんが、ゼロからデザインを練って、連日徹夜で作業して、1枚の布からやっと形にした作品を見て、『しっかり務めなきゃ』と責任感を覚えました。
この体験を通して、作り手の思いを汲み取って服の魅力を伝えられる存在になりたいと思うようになりました」
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Q3. 活動のなかで意識していることは？
「『クイーンズギャンビット』というドラマに出てくる女性の『Models are empty creatures. （モデルとは空っぽな生き物よ）』という言葉に、思いをめぐらせています。
それこそ、初めてのファッションショーに出るまでは、この言葉どおりに思っていました。でも、ランウェイの中で自分が抱いたイメージをポーズで伝えたり、スカートをひるがえして内側までこだわられた布地も見せたりなど、真剣に考えたり、より良く服を見せようと悩んだりすることがあると気づいて。自分で考えたさりげない工夫について、デザイナーさんに喜んでいただいたこともあって、やりがいを感じます。
いまでは、モデルは空っぽなんかじゃなくて、服に命を吹き込む立派な表現者だと理解しています」
Q4. これまでの活動のなかで、影響を受けた人は？
「リアルタイムで服を完成させる臨場型ファッションショーで注目を集めた、スーパーモデルのベラ・ハディッドを尊敬しています。
誰も見たことがない新しいショーに挑戦しながら、指先のアクセサリーまで綺麗に見えるように気を配るなど、モデルとしての振る舞いも完璧で。インタビューを聞いたり、実際のショーの映像を見たりして、彼女の細やかで 丁寧な仕事ぶりに気づかされました。
どんなに多忙でも、ひとつひとつのランウェイに誠実に向き合うプロフェッショナルな姿勢に、わたしも努力しつづけなければいけないなと引き締められます」
Q5. 今後の展望は？
「将来は海外に行って活動をしてみたいと思っていて。美術館をめぐってアートに没頭するのが好きなので、パリやニューヨークに留学して、アートヒストリーのような分野を勉強してみたいんです。
そして学業と並行して、海外でもモデル活動をしたいです。オーディションを受けるチャンスは日本よりもたくさんあるので、何度もチャレンジして、いつか世界各国のランウェイを歩きたい。モデルの世界は競争が激しいですが、若さや知名度だけの短命なモデルじゃなく、歳をとっても自然な美しさをもっているような、『リヨンにこそ、この服を着てほしい』って思ってもらえるような、魅力的なモデルになることが理想です」
リヨンのプロフィール
年齢：17歳
出身：神奈川県
所属：神奈川総合高等学校 舞台芸術科、STANFORD
特技：話を聞くこと、人間観察、すごくゆっくり食べること
趣味：料理、美術館めぐり、音楽鑑賞
大切にしている言葉：嫌悪の精神
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Photo：Eri Miura
Text：Chihiro Bandome
