世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日はNY発のコーヒーショップ、think coffeeについてご紹介します。
生活に欠かせないコーヒー
1杯のコーヒーから1日をスタートさせたり、外出先でコーヒーを飲んでひと息ついたり……。毎日の生活に欠かせない存在のコーヒー。しかし、そんな何気ない日常に寄り添うコーヒーには、実は多くの問題や課題をはらんでいます。
途上国の生産者に正当な賃金の分配がされないことによる格差問題、はびこる児童労働などの人権問題、気候変動によってコーヒー豆に適した高地の栽培環境が失われつつある「コーヒーの2050年問題」に代表される環境問題など、さまざまな問題が浮かび上がってきます。
世界では1日で約20億杯ものコーヒーが消費されていて、 先進国をはじめ国際的にコーヒーの需要は高まる一方です。しかしそんなコーヒーをとりまく現実や、安くておいしいコーヒーに隠された裏側を知ってしまうと、何を基準にコーヒーを選べばいいのか、迷ってしまうかもしれません。
日本初上陸、NY生まれのthink coffee
そんな諸問題を受け止め、しっかり考える、ニューヨーク発サステナビリティ追求型カフェ “think coffee”の 日本1号店が、2023年6月30日、東京・神田にオープンしました。
think coffeeがNYで生まれたのは2006年。コーヒー豆を生産する農家の多くは貧困に苦しみ、正当な賃金が渡っていないことを知った元弁護士が一念発起し、グリニッジ・ビレッジで誕生しました。「SDGsにこだわり抜いた」カフェには、どんな特徴があるのでしょうか。
契約農家からコーヒー豆を直接調達
コーヒー豆は通常、生産者、仲介業者、輸出業者、加工・焙煎業者、卸小売業者といったサプライチェーンを経て、消費者の手にわたります。特に加工・焙煎の過程で価格が上乗せされることから、原料の生産を担う農家への支払額が低くなってしまうという構造が生まれてしまうのです。
そんな中、think coffeeでは、エチオピア・コロンビア・ニカラグアの農家から直接コーヒー豆を仕入れる「ダイレクトトレード」を行うことで、農家へ適切な価格の配分を実現しているのです。「どのような背景でつくられたのか」を知ることにより、コーヒーがさらにおいしく飲めそうですね。
農園やそのコミュニティへの継続的な支援も
コーヒー豆の取引価格だけでなく、「生産者ファースト」を掲げるthink coffeeは、農家やそのコミュニティに対して、さまざまなプロジェクトを立ち上げて、実行しています。具体的には、井戸の改修による清潔な水へのアクセスの改善、自然災害により倒壊した住宅の再建、女学生向けの生理用品の配布や教育などなど……。生活に密着した多方面からの支援を継続しています。
わたしたちがコーヒーを飲めば飲むほど、遠く離れた場所にいる生産地に暮らす人々の笑顔につながり、問題解決の一部となることが叶います。
一杯のコーヒーから、世界を変えよう
近年、アジア諸国の需要の高まりを受け、世界的に消費量が増えているコーヒー。サステナビリティが叫ばれるいま、大きすぎる壁の前に途方に暮れてしまうこともあるでしょう。
think coffeeでは、ボランティアや寄付ではなく、ビジネスの力でコーヒーをもっとよりよく、楽しい存在にする取り組みがなされています。コーヒーの持続可能で明るい未来をめざして、ひとりひとりが考えたり、行動を起こしたりしてみてもいいかもしれません。
Text:kagari