世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、きっとあなたはまだ知らない、アフリカの秘境についてご紹介します。
ジェンネの歴史ある旧市街と大モスク
自然豊かなアフリカ大陸。そこにはまだまだ、本物の「秘境」と呼ばれる場所がたくさんあります。今回は、その一部について、アフリカ在住ライターならではの視点と独断で、ご紹介していきます。
マリのジェンネの旧市街は、ユネスコ世界遺産に指定されています。紀元前250年から人が住んでおり、サハラ以南アフリカで、最も古い町です。サハラで金の取引がされていた際には重要な拠点となり、市場は栄えていました。また、15世紀から16世紀にかけては、イスラム教布教の中心地のひとつであったため、最大3000人を収容できる礼拝堂を備えています。日干しレンガと泥で造られ、泥のモスクとしては世界最大級の建築物とされています。
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雨季でも耐えられるよう、モスクは毎年補強が行われています。長老の監督と男性の大工、水を運ぶ女性と子どもが参加し、住民たちの協力によって維持されているのです。モスクを囲むように建てられた2000戸の伝統家屋も同様に泥で造られており、自然環境に溶け込んでいます。しかし、治安上の脅威が保全活動を妨げているとして、「危機遺産」にも登録されています。
ヤシの木とムール貝に囲まれた楽園のようなタートル諸島
タートル諸島は、シエラレオネの人里離れた8つの島からなっています。アクセスが困難な地形であることから、現代文明とは隔絶された、独自の文化が残っています。島にはシェルブロ族が暮らしており、漁業とココナッツ製品から得るわずかな収入で生計を立てているのです。
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近年、気候変動の影響によって、そうした島民の生活に危機が及んでいます。海面上昇は年々深刻化しており、すでにタートル諸島の半分の島が消えかけ、500人が住居を退去せざるを得なくなりました。日々、およそ10円というわずかな金額で、自給自足に近い暮らしをしている島民にとって、島を出ることはほぼ不可能です。政府は防波堤を設置したり、家を建てるために伐採されてきたマングローブを保護したりすることで、住民の生活を守ってきましたが、そもそも気候変動を避けることはできません。民族の存続のためには、くらしに恩恵をもたらしてきたこの島の美しい自然を守り続けなくてはなりません。
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まるでSF映画。世界の果てのようなアッベ湖
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エチオピアとジブチの国境にまたがるアッベ湖は、石灰石の煙突が地平線に点在する、荒涼とした土地にあります。道路やインフラも存在しないアッベ湖は、月の上を歩いているようなSFの世界をつくり出し、地球上で比類なく美しい場所といえるでしょう。
この土地からは最古の人類の化石標本が発見されており、文明の発祥の地であると唱えている古生物学者もいます。アッべ湖は大昔、地下のプレートが徐々に分裂し、現在も地下にはマグマがあるため、1000万年後には新しい海ができるとも言われています。
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この地域に住むアファール族は半遊牧民。彼らは飲料水も電気もない孤立した環境で、食料や現金に交換できる塩を集めながら移動します。しかし、気候変動により干ばつが悪化しており、アッベ湖周辺は年間を通じて地球上で最も暑い場所のひとつとなっています。アファール族はこの過酷な環境下でも自分たちの生活スタイルの存続を望んでおり、生存のために観光業を促進しようとしています。
実は秘境の宝庫
知られざるアフリカの秘境はいかがでしたか。急速な発展を遂げているアフリカ大陸ですが、まだ開拓されていない秘境も存在します。これからも、ここでは紹介しきれなかった、あなたの知らないアフリカの魅力をお伝えしていきます。
Text:Hao Kanayama