「気になる10代名鑑」の462人目は、結(19)さん。武蔵野美術大学の彫刻学科で学びつつ、「つよくて優しいあなたへ」をテーマに、ぬいぐるみ作家として活動しています。誰かを癒すために作品を作り続けたいと語る結さんに、創作を始めたきっかけや作品に込めた想いについてうかがってみました。
結を知る5つの質問
Q1. いま、どんな活動をしていますか?
「武蔵野美術大学の彫刻学科で学びながら、創作として、ぬいぐるみ作家として活動しています。
ぬいぐるみ制作を始めたのは、今年の4月ごろ。高校生のときからずっとつくりたいと思っていたのですが、『つよくて優しいあなたへ』という、いまのわたしの核となっているテーマを見つけたタイミングで、制作を始めました。作品づくりで大切にしているのは、テーマを意識してつくること。ただ何となくつくるのではなく、手にとってくれた人に、少しでも自分の思いが伝わるように制作しています」
Q2. 創作活動をしようと思ったきっかけは?
「小学校のころ、小さな漫画やイラストを添えた学級新聞をつくっていたんです。その更新を楽しみにしてくれていたクラスメイトの反応が、わたしが創作好になった原点だと思います。ありがたいことに、デザインを任せてもらえて、それを褒めてくれる人もたくさんいて。おかげで自分は絵が得意なんだっていう、アイデンティティみたいなものが確立できました。美大をめざし始めたのもこのころなんです。
彫刻科を目指したきっかけは、受験課題のデッサンがかっこよかったから。受験を通して、わたしもあんなかっこいいデッサンが描けるようになりたいと思って、受験することを決めました。大学に入ってからは、新しい素材や技術と触れ合うのがとても楽しいです」
Q3. 創作におけるこだわりは?
「大人になったばっかりで、なんだか疲れちゃうな、疲れちゃったなという人たちの癒しになるような作品を生み出すことにこだわっています。
ぬいぐるみというのは子どものものだっていうイメージがありますが、わたしの作品は大人にこそ触れてほしくて。なので、個人制作のテーマである『つよくて優しいあなたへ』には、大人になったって、自分に優しくしていいんだよ、頑張りすぎなくていいんだよという気持ちを込めています。ぬいぐるみの優しい色使いや、小さいころに包まれていたような素材を通して、頑張りすぎちゃう大人たちの心の拠り所になれたらと願って制作しているんです」
Q4. テーマを決めたきっかけは?
「自分自身が大学生になったことがきっかけです。小さいときは、大学生ってもっと『おとな』だと思っていたのですが、実際その年齢になってみたら、全然そんなことなくて……。大人と子どもに明確な差はないのだって気付いたんです。
だけど、年齢が上がるにつれてどんどんまわりの見る目は厳しくなっていきますよね。どうしても、きっちり、かっちりしなければならないくて。大人ってこんなに頑張っているのだから、そのぶん、自分への優しさの量も増えていいんじゃないのかなと考えるようになったんです。このときの考えが、テーマの発見につながっています」
Q5. 今後・将来の展望は?
「10月の芸祭に、大学の友人と『てのひらふれんず』という雑貨店を出店する予定なので、まずはそこに向けてしっかり準備をしていきたいです。
将来は、いまのように誰かの疲れを癒せるような作品を作り続けたいですし、自分自身もそういう優しい人になりたいです。仕事としては、ぬいぐるみのメーカーに就職することにも、個人アーティストになることにも、どちらにも興味があります。どんな形でも、ぬいぐるみに関わる仕事をできていたら嬉しいです」
結のプロフィール
年齢:19歳
出身地:栃木県宇都宮市
所属:武蔵野美術大学 造形学部 彫刻学科
趣味:1日1ページ日記
特技:お絵描き
大切にしている言葉:ため息吸ったら深呼吸
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Photo:Eri Miura
Text:Mai Sugawara