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スリランカでプラスチックが禁止に。背景にある「神聖な動物への被害」とは?【Steenz Breaking News】

スリランカでプラスチックが禁止に。背景にある「神聖な動物への被害」とは?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、スリランカのプラスチック禁止のアクションについてご紹介します。

スリランカでプラスチックが一部禁止に

世界中で進む、脱プラスチックへの取り組み。日本でも、エコバッグの有料化や木製カトラリーの普及など、身近なところでも、取り組みの活性化を感じるようになりました。

そんな中、脱プラの一歩をさらに大きく踏み出したのが、インド南部のインド洋に浮かぶ島国・スリランカです。スリランカ政府は2023年6月1日より、使い捨てプラスチックの輸入、生産、販売、使用を禁止する閣議決定をしました。

対象となるのは、使い捨てのプラスチック製の飲料用ストローおよびマドラー、プラスチック製の皿、コップ、スプーン、フォーク、ナイフなどです。また、プラスチック製の花輪も対象に含まれます。

脱プラ促進の背景にある「深刻な問題」とは?

使い捨てプラスチックを禁止している国といえば、カナダやインドが有名です。またイギリスでは、2022年4月、プラスチック税が導入されています。

こういった各国の取り組みの背景には、2030年の期限が迫るSDGsの達成が一貫してありますが、スリランカの脱プラの背景には「野生動物のプラスチック誤飲」という差し迫った深刻な問題があります。

同国では、プラスチック誤飲によりシカやゾウが死亡する事例が相次いでいます。動物たちは、食料や水の不足、そして生息環境の悪化により、食料を探すために廃棄場へ侵入します。違法投棄やそれに対する取り締まりが不十分な結果、侵入してきた動物たちが、誤ってプラスチックを飲み込んで死んでしまうという痛ましい事故が続いているのです。

スリランカでは神聖な動物として保護されているゾウも、頭数が急激な減少傾向にあるといわれてますが、このようなプラスチックごみの影響も多分にあると言えるでしょう。

マイクロプラスチックの生態系への影響も…

スリランカのケースのように、続出する不法投棄や、それに対する政府の不十分な対策によって動物たちが被害に遭うこともありますが、きちんと処理されたプラスチックごみが、生き物たちに影響を及ぼすこともあります。

プラスチックごみのなかでも、5ミリ以下となった「マイクロプラスチック」と呼ばれるものは、処理プラントで最大99.9%が捕捉されているといいます。しかし、合成繊維を使用した服やプラスチックの容器が大量消費されている現代においては、処理プラントから海へと流れ出るマイクロプラスチックは、もはや無視できない量となっています。

生き物たちの未来を守るために、プラスチックの使用について、改めて考えてみる必要がありそうです。

Text:Kei Hayashi

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Kei Hayashi

ライター

1997年まれ。2020年〜新卒でフリーライターに。興味関心:Z世代・メンタルヘルス・ジェンダー・消費社会 など。獨協大学外国語学部英語学科卒業。he/they。

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