「気になる10代名鑑」の308人目は、菜歩さん（19）。学業の傍ら、無印良品やアダストリアとのコラボレーションを成功させてきた、古着のアップサイクルブランド・学生団体carutenaの代表として活動しています。特に出張授業に力を入れているという菜歩さんに、活動にかける思いや、その原点について聞いてみました。
菜歩を知る5つの質問
Q1.プロフィールを教えてください。
「服の大量廃棄問題を解決するために立ち上がった、学生団体carutenaの代表をしています。
主な活動は、不要になった服を回収して小物へとリメイクする商品開発と、SNSでのサステナブルな情報発信、それから全国の学校でおこなう出張授業の3つです。団体を設立した前代表から、以前Steenzに出演したHanaといっしょに、代表職を引き継いだばかりなんです！」
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Q2. 活動を始めたきっかけは？
「小さいころから、将来はファッションに関わる仕事に就きたいなって思っていたんです。でも、中学生のときに、NGOの方がしてくれた、開発途上国での児童労働の現状を伝える出張授業を受けて、少しその方向性が変わりました。
お話や映像を通して、小さな子どもが学校にも行けず、家族や友達とも離れて、過酷な環境で労働を強いられているという事実を知りました。その不条理さにすごく衝撃を受けたわたしは、『何かしなきゃ』と強く感じました。
carutenaの活動の中でも、個人的に力を入れているのは、この出張授業。入った当初はその部署にいたので、自治体や学校にアポ入れをしたり、授業の準備をしたりして、プロジェクトを率先して進行してきました。
高校に入ってからは、今度は自分の好きなファッションと途上国の労働問題が関わっていたことを知って……。そんなとき、たまたまSNSで見つけたのがcarutenaでした。子どものころの夢もいまの夢も、両方かなえることができるこの団体に、大学生になったら絶対入ると決めていたんです」
Q3.活動を通して、実現したいことは？
「carutenaに入ろうと思った原点である『出張授業』を通して、環境や製作に携わるひとに配慮されたファッションが当たり前となるように、ひとりひとりの意識を変えることです。
出張授業をおこなう中高生に対しては、バイトができない子がほとんどなので、『もっとサステナブルな服を買って！』なんてことは言えない。ファストファッションが当たり前の世の中では、やっぱり高いと感じちゃうから……。それはそれで仕方ないけれど、だからこそ、出張授業の意味があると思うんです。
いま、少しでも現状を知ってもらって、意識の片隅に置いておいてもらえれば、それで十分。お金を稼いで自分で服を買えるようになったときに、服の生産過程で起きている事実を思い出してくれたらなって思います」
Q4.活動をするなかで、悩みなどはありますか？
「環境問題に対してアクションを起こしていると、『意識高い』とか『えらい』と思われてしまうんです。みんなで取り組むべきことのはずなのに、他人事に捉えているひとが多いのは、すごく悲しい。さまざまな問題が指摘されている『SHEIN』だって、あの値段で買えるなら、問題から目をそらして買い続けちゃう人だっているはず。
一方で、ファッション業界でも、少しずつ環境問題を真剣に考えている企業も増えてきているなって実感するんです。再上陸が決まった『FOREVER 21』だって『大量消費・大量廃棄からの脱却』を掲げています。それまでは消費者が行動を変えるしかなかったけれど、その意識がファストファッションの分野にも届き始めていることは、ちょっと嬉しいですね。
でも、依然として、サステナブルなものがどうしても高価格帯になってしまうことは、わたしたちも悩みどころで……。そこでcarutenaでは、デザイン性や耐久性もすごく大事にしているんです。フィードバックを重ねて、試行錯誤しながら、よりかわいくて使いやすいアイテムになるように努力しています。目指すは『かわいいと思って購入した商品が、実は環境にも優しいものだった』という流れです！」
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Q5.将来の夢を教えてください。
「carutenaとしては、代表を引き継いだばかりということもあって、共同代表のHanaと、悩みながらいろいろと挑戦している最中です。メンバーが楽しいと思える環境をつくって、みんなのモチベーションを高めていけたらなって思います。
ありがたいことにcarutenaは、無印良品でポップアップを開催したり、アダストリアとコラボアイテムを発売したりと、企業の方にもたくさんご協力いただいていて。だから、私が代表になってからも、引き続きいろんなプロジェクトができたらなって。この前も、すごく尊敬する企業に、プレゼンをする機会があったのですが、内容を詰め切れていないのを見透かされてしまって……。やっぱり、ただ学生とコラボしたい企業ばかりではないですし、ビジネスパートナーとして、向こうが前のめりになってくれる企画を持っていかなきゃいけないなって、現実を見せてもらいました（笑）。
将来的には、carutenaの経験を活かして、ファッションに絡めて、途上国での雇用創出ができたらなって思っています」
菜歩のプロフィール
年齢：19歳
出身地：東京都杉並区
所属：東洋大学国際学部、carutena
趣味：ダンス、アクセサリー作り、古着屋めぐり
特技：足を360度回転させられる
大切にしている言葉：「どれだけ正しいことを主張したとしてもそれで人の心が必ずしも動くわけではない」（フリーランス国際協力師・原貫太さんの言葉）
菜歩のSNS
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Photo：Eri Miura
Text：Atsuko Arahata
