「10代のうちにたくさん映画を見て、インプットしておいたほうがいいよ」なんてよく言われるけど、過去作から新作まで、たくさんある作品の中から、どれを選べばいいかわからない……という10代に向けてスタートしたこのシリーズ。
今回も、20.5万人のTwitterフォロワーを持ち、「人生を豊かにする映画」を発信している映画アクティビストのDIZさんに、現在配信中の作品について、ひとかじり語ってもらいます。
今年最後となる12月は、家族や恋人など、大切なひととの絆を描いた作品をセレクトしてもらいました。いろんなかたちで紡がれる愛の物語は、心をポカポカにあっためてくれることでしょう。ホリデーシーズンのおうち時間のお供に、ぜひお楽しみください!
大切なひとを思い浮かべながら観たい、心温まる配信作品
映画アクティビストのDIZです。寒い季節になると、心が満たされる物語に触れたくなりませんか? 今回は、思わず大切な誰かに会いたくなる、心揺さぶるドラマチックでエモーショナルな作品を5つピックアップしてみました。年末年始にイッキ見したいドラマから、人生で立ち止まったときに何度も見返したくなる名作まで。あなたにとって特別な一本が見つかりますように。
First Love 初恋
宇多田ヒカルさんの名曲「First Love」と、その19年後に発表された「初恋」にインスパイアされた、 20年過ぎても忘れられない“初恋”の記憶をたどるラブストーリー。
実らなかった初恋が、長い歳月を経てまた動き出す純愛を描く映画といえば、2004年の「きみに読む物語」を思い出すひとも多いかもしれません。本作は、「きみに読む物語」が好きな人にもオススメ。運命だと信じて疑わなかった初恋が、どうして実らなかったのか。そして、なぜまた運命はふたりを再会させたのか。3つの時代を交差させて描く壮大なラブストーリーが、切なくも心が満たされる美しい愛の世界へと連れていってくれます。
忘れられない大切な誰かがいるひとは、後半につれて切なさが増して、涙腺が崩壊してしまうかもしれません。なかなか会えない大切なひとの存在を強く思い出させる、エモーショナルな運命の恋……。懐かしい時代の映像と共に、余韻も含めて味わいたい珠玉のドラマです。
▶︎Netflix
アマンダと僕
穏やかで幸せな日々を突然奪われた青年と少女の、不器用で愛おしい絆が深く胸を打つ、喪失と再生を描いた作品です。
突然の悲劇により、大切な姉を奪われた主人公と、母親を失ったアマンダ。何もかもが変わってしまった世界で深い悲しみを背負いながらも、お互いに寄り添い癒し合っていくふたりの姿がとても繊細で優しく、愛にあふれているフランス映画。
まだ若く未熟で将来も定まってない青年が、小さな女の子によって成長させられるストーリーを通して、悲しみは誰かと共有することで癒され、人生は何度でも再生可能なのだと思わせてくれます。誰にでも起こり得る悲劇を描く本作は、当たり前だと思って蔑ろにしがちな、家族や大切なひとたちとの心の対話を見直すきっかけを与えてくれるはず。
▶︎Amazonプライムビデオ (レンタル)
▶︎U-NEXT
プーと大人になった僕
仕事を頑張りすぎて忘れかけている“大切なもの”を取り戻していく、ファンタジードラマ。
世界中で大人気「プーさんと100エーカーの」の住人が現実世界に登場する、夢のような映画。そんなかわいらしく癒されるファンタジーな設定とは裏腹に、忙殺される日々を過ごす現代を懸命に生きる大人が共感できる物語なんです。かわいらしいプーが放つセリフは、仕事が忙しいあまり、本当に大切なものを忘れかけている大人に刺さる名言だらけ。社会のなかで、いつのまにか迷子になってしまったひとに、たくさんの気づきを与えてくれるプーの哲学が心に沁みます。
家族のために必死で働くクリストファー・ロビンの姿も痛いほど共感できますが、まずは自分を大切にできなければ、愛するひとや家族を守ることはできません。忙しすぎて自分の心を見失いそうなときや、一度リセットしたいとき、プーの言葉が、きっとあなたに寄り添ってくれることでしょう。観終わったあとは、大切なひとと過ごす時間の素晴らしさを思い出せるはず!
▶︎ディズニープラス
ぼくは明日、昨日のきみとデートする
絶対に2度観たくなる! 時空を超える愛と複雑に絡み合う運命を描く、切なすぎるラブストーリー。
ある日、突然出会ってひと目惚れした相手は、想像を絶する哀しい秘密と運命を背負っていた……。よくある青春ラブストーリーのような心ときめく前半から、ガラッと変わる後半は、絶対に涙が堪えられないはず。彼女が時々見せる謎の涙の理由。そして、作品のタイトルの意味を知り、すべてを悟ったときには、大切なひとを抱きしめるために走り出したくなることでしょう。
大好きなひとと会えることや、「また明日ね」がどんなに尊い言葉なのかということを、この作品を観て知りました。当たり前に来ると思っている明日は、私たちが思うよりもずっと尊い時間であること。一度きりの人生で、出会えるひとたちはかけがえのない奇跡であるということ。一瞬一瞬を大切に生きていきたくなる、きっとあなたの人生観をも変えてしまうかもしれない、哀しくも美しいラブストーリーです。
▶︎Amazonプライムビデオ
▶︎Netflix
▶︎U-NEXT
フェアウェル
気鋭のスタジオ「A24」が贈る、大切なひとのためについた優しい“嘘”とつらい“真実”に直面する家族を繊細に描く、涙なしでは観られない心揺さぶる感動実話。
ニューヨークに住む主人公・ビリーは、大好きなおばあちゃんが末期がんのため余命3か月と宣告されたことを知ります。おばあちゃんが残りの人生を悔いなく過ごせるように、本人に真実を明かしたほうがいいと主張する主人公と、『中国では助からない病気は本人に告げない伝統がある』と、頑なに嘘を突き通そうとする両親や親族たち。誰もがいつかは向き合う日が来るかもしれない、大切なひととの別れという繊細なテーマを描いた、涙あふれる珠玉の作品です。
本作は中国系アメリカ人として活躍するルル・ワン監督自身が、余命宣告を受けた祖母に実際についた“嘘”から生まれた実話を元にした物語。余命を伝えず、嘘を突き通しながらおばあちゃんと接する中で、さまざまな葛藤を抱える主人公を演じるオークワフィナの繊細な表情が素晴らしく、愛するひとの死を前にしてぶつかり合う家族の姿は非常にリアル。観終わった後、大切なひとや、愛する家族に直接想いを伝えたくなる、素晴らしい作品です。
ラブストーリーから家族ドラマまで、心満たされる素敵な作品をご紹介しました。
近くにいるからこそ、普段はなかなか伝えられない想いも、この作品たちを観終わったときには、勇気を出して伝えてみたくなるはず。当たり前になると見失いがちな大切な気持ちを思い出させてくれる、そんな物語に触れることで、さらに幸せで豊かな2023年を迎えてくれたら嬉しいです。
DIZのプロフィール
映画アクティビスト。ひとりでも多くの人に映画の素晴らしさを伝えるために、フリーランスで活動している。体験型の映画イベントを主催したり、配信サービスのSNS企画・編集やコピーライティング、さまざまな作品の評論を寄稿したりと、枠にとらわれずに活動している。
Twitter:@DIZfilms Instagram:@diz2049
Text:DIZ