単独チケットが10分で完売するなど、お笑い界からも演劇界からも熱い視線を集める8人組ユニット「ダウ90000」。そのメンバーひとりずつに単独インタビューを行うスペシャル企画。連続インタビューのラストを飾るのは、上原佑太さん(24)。強烈なインパクトではないけど、演劇やコントの中で、印象的な役どころを演じることが多い上原さんに、演技の道に進んだきっかけやこれからの展望について、じっくりインタビューしてみました。
昔はサッカー少年だった?アニメにはハマった青春時代
ー今回は、上原さんの生い立ちから迫ってみようと思います。まずは子どものころのお話から聞かせてください。
「とにかくマイペースな子どもでした。団体行動からワンテンポ遅れているのに、とにかくこだわりが強くて。例えば、次の授業があるのに習字セットを片付け終わらないから、先生が片付けようとすると『やだっ!』って意地でも自分のペースで片付けをしていたり……」
ー習いごととか、やっていましたか?
「サッカーをやっていました。チームに入っていたんですけど、マイペースなうえに勝負事に対して強気になれなくて……。とにかく怪我したくないっていうことしか考えていなくて、いちばん下手でしたね。でも、サッカーを辞めるまで、一度も怪我をしなかったのは自慢です(笑)」
ーサッカーを辞めてから夢中になったものは?
「中学のころ、アニメにハマったんです。それで、声優になりたいっていう夢ができて。ちょうどライトノベルが広がり始めた時期で、クラスメイトが読んでいた『涼宮ハルヒの憂鬱』がきっかけで、アニメを見るようになって。『銀魂』とか『鋼の錬金術師(鋼錬)』とかが青春ですね」
ーだんだん演劇に近づいてきましたね。
「人前で何かするのは、昔から好きだったんですよ。お笑いも好きで、レッドカーペットとか見てました。で、高校に入って、声優になるのにプラスになるかなと思って、放送部に入ったんです。そこで発声練習とかをやっていました」
ーそういうことも視野に入れて、高校を選んだんですか?
「いや、全然そんなことなくて。受験のとき、とにかく『鋼錬』にハマっていて。鋼錬を読みたかったから、早く受験を終わらせたかったんです。それで、受験初日に第二志望の学校を受けて、すぐ結果が出て、合格したんです。第一志望校も残っていたけど、家から遠いし、鋼錬を読みたいからいいやってなって、受験をやめたんです(笑)。それが日大の付属校で」
ーそこから日芸へと道がつながるんですね。
「放送部だからそのまま放送学科に行こうかと考えたんですけど、でもアナウンサー志望の人が多いって聞いていたから、自分はそうじゃないな、と。それで、声優になるのには、演技の勉強も必要かなと思って、映画学科の演技コースを選びました」
とりあえずクラスメートについていっただけ。それが演劇との出会いだった
ーそうやって入った日芸で、ダウ90000の前身である『はりねずみのパジャマ』に出会ったんですね。どんな出会いだったんですか?
「僕、高校3年生のときに友達がひとりもいなくて、学校に居場所がなくて。みんなサッカー部とか野球部のスポーツマンだらけで。だから、大学では絶対に浮きたくなくて……。映画学科の演技コースは少人数だから、とにかくみんなについていこうと思って、そのときの中心っぽい人が見に行こうっていって、ついていったのが『はりねずみのパジャマ』で」
ーめちゃくちゃ受動的じゃないですか。
「そのまま新歓に行って、そこで中心メンバーが『オレ、入るわ』って言い出して、みんなが続けて名前を書き始めたから、もう入るしかないなって。だから、加入したのはぶっちゃけ本意じゃなくて(笑)」
ー気持ちいいくらい流されていますね。
「それからすぐの5月に公演があって、『舞台出る?』って言ってもらったとき、やめておこうかなって思ったです。そのときに、たまたまトイレで一緒になった飯原(僚也)くんに、『出ないの?』って言われて。なんとなく流れで舞台に出ることになったんですけど、そのときの台本が本当に面白くて。
蓮見さんの脚本の面白さに引き込まれて、演技やりたい!って気持ちが、声優への気持ちをあっという間に超えちゃいました(笑)。だから、『はりねずみのパジャマ』という団体がある限りは、何としてもついていこうって決めていました。
っていうとかっこよく聞こえるかもですけど、なれるかわからない声優になる苦労よりも、目先の楽しそうなことを選んだ感じです(笑)」
ー『ダウ90000』を結成するタイミングで、メンバーとして声をかけられたときの気持ちは?
「そもそも就職するつもりはあんまりなくて。この先もお芝居をやっていきたいという思いはあったし、それに就活の面接で詰められるのが怖くて……(笑)。だから、メンバー固定で『ダウ90000』をやるっていう話を聞いたときはすごく嬉しかったし、その中に自分がいられることは、奇跡みたいだなって」
初めてのドラマ出演は、自信をもつ大きなきっかけに
ーここ最近、活躍のフィールドも増えて、グッと知名度が上がったと思いますが、変わったことはありますか?
「声をかけられるようになりました。渋谷とか下北沢とか、ライブがあるときとかに。声をかけられると嬉しいですけど、うまいこと対応できたかなって心配になります。堂々としていたいなとは思うんですけど(笑)」
ーお休みの日は何をして過ごしますか?
「疲れているときは1日寝ちゃうこともあるけど……。あ、でもサッカーを観ていますね。YouTubeで見ています。試合にはあんまり行けていないけど。でも最近、自分の好きなことをアピールすることで自分をもっと出していきたいなと思っているので、観に行ってみようと思っています」
ー自分の出し方についても考えているんですね。
「最近、ダウ90000の知名度が上がってきて、蓮見さん以外のメンバーも注目してもらえるタイミングなのかなって。でも、僕は自分の出し方がよくわからなくて。自分がどういう人間なのか、いまだによくわかっていないんですよね。23歳にもなって……。
だから、せめて自分の好きなものについてくらい、しっかり発信していこうと思っていて。僕が好きなのは、『嵐』と『ラブライブ!』と『浦和レッズ』です! 好きなものを堂々とアピールしていきたいので、まずはサッカーを観に行くところからですね(笑)」
ー2022年後半はドラマなどのお仕事にも取り組まれましたが、いかがでしたか?
「フジテレビのドラマ(『ダウ90000 深夜1時の内風呂で』)では、けっこう中心に置かせてもらったんですけど、自分にできるか、とにかく不安で……。ドラマと演劇で、求められるものが違うのかなと思って。
でも、共演の勝村政信さんとリハーサルをしたとき、不安がスッと消えて、とにかく楽しかったんですよ。うまく言葉にできないんですけど、『あ、僕は演技を楽しいって思っていいんだ』って思えました」
ードラマを経験して何か変わったことは?
「自信が出てきたってまわりから言われます。ドラマの中で、温泉で裸になるシーンがあって。やる前は『人前で裸になるなんて……めっちゃ恥ずかしい』って思っていたけど、その恥ずかしさがどうでもよくなって、大丈夫になったんですよ」
ーこれから頑張りたいことはありますか?
「いまはダウ90000の中で自分の存在感を固めていくこと。どうなれるかっていうことのほうが大事ですかね。グループ内では、特にこれをやりたいっていうのはなくて、あまり良くないかもしれないけど、『ダウ90000に居続けたい』っていう気持ちが先行しちゃってるんです。
僕って、公演やコントでの自分の立ち位置を、ひと言で言い表せられるようなものがなくて。言ってしまえば『無個性』なんですよね。それはウィークポイントではあるけど、長めのコントになると、何でもない立場の僕が長くその場に居座らないと、成り立たなくなってくるんです。
大きな見せ場があるわけじゃないけど、『なんかずっといる』みたいな。そのポジションはダウ90000の世界には必要だと思うし、自分自身でうまく操れるようになったらいいなって思います」
上原祐太プロフィール
1998年10月6日生まれ。神奈川県出身。日本大学芸術部映画学科卒。
「劇場版ダウ90000ドキュメンタリー 耳をかして」
他のみんなが何を話してるのか僕が自分で何喋ってるのか僕も大注目のドキュメンタリーです!
是非会場で!!来場チケットhttps://t.co/0tMH8QXyct
配信チケットhttps://t.co/8Sq7oF95yx
<ライブ出演者>
蓮見翔 かが屋#ダウドキュ pic.twitter.com/GBP2pjigzG— 上原 佑太 (@pawapawapokepo1) November 11, 2022
★note
ダウ90000出演情報
Huluショートドラマ「今日、ドイツ村は光らない」
Huluにて独占配信中。
出演:小関裕太、ダウ90000(道上珠妃、吉原怜那、中島百依子、忽那文香、上原佑太、園田祥太、飯原僚也、蓮見翔)
エルピス スピンオフドラマ『8人はテレビを見ない』
長澤まさみが主演を務める連続ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜よる10時)のスピンオフドラマ。本編に出てくる情報バラエティー番組「フライデー★ボンボン」を見ていない8人が、ちょっとしたきっかけで、次第に視聴し始める。また、ドラマの重要ワードやシーンとシンクロし、本編とスピンオフを何度も見返したくなる展開に。
TVer視聴サイトURL:https://tver.jp/episodes/epph2mik5j
劇場版ダウ90000ドキュメンタリー『耳をかして』
主宰・蓮見翔さん以外に密着したドキュメンタリー映像をライブで上映。「個人のパーソナリティが覚えられていない」というメンバーからの依頼によって制作れたに密着映像。アーカイブ映像は12月7日(水)23:59まで視聴可能です。
前回のインタビューはこちら!
https://steenz.jp/n/n16514d2c93d6
Photo:Masaharu Arisaka(STHU)
Text:Tomoka Uendo