単独チケットが10分で完売するなど、お笑い界からも演劇界からも熱い視線を集める8人組ユニット「ダウ90000」。そのメンバーひとりずつに単独インタビューを行うスペシャル企画。インタビューシリーズもいよいよ佳境! 第6回に迎えたのは、中島百依子さん(23)。『ダウ90000』への加入のきっかけや、いまの環境についてどう感じているかなどを伺ってみました。
インタビューもトークも実は苦手。人見知り少女が女優を目指した理由
ー今回はよろしくお願いします! こういうインタビューは得意ですか?
「1対1のインタビューは慣れてきましたけど、得意ではないですね。そもそも人見知りなんです。8人で集まって、インタビュアーさんが遠くにいて、それぞれが自由に答えるっていうシチュエーションが特に苦手で……。自分から発言していかなきゃいけないので」
ー自分の話をするのは、そんなに得意じゃない?
「そうなんです。なので、自己紹介してくださいとか、自己アピールみたいなことがちゃんとできなくて。コントの舞台だと、その後にトークがあることが多いんですけど、そこで自分のことを話すのもかなり苦手。コントでは別の誰かになりきっているから、終わったあとに、普通に話し始める自分を想像できなくて……」
ーお笑いの舞台だとそうですよね。
「ダウ90000で舞台に上がらせてもらうまでは、お笑いとかそんなに見てこなかったので。だから、この“平場文化”をまったく知らなかったんです。なので、最初はかなり戸惑いました」
ー昔から人見知りだったんですか?
「いまも人見知りですけど、かなりマシになりました。小中学生のころは、特に人見知りが激しくて、家族とか心を開いた仲良い子の前とかでは活発だけど、何かとまわりの目が気になるタイプでした。いまでも自分のことを話すのはそんなに得意じゃなくて……」
ーでも演じるときは平気なんですね。
「そうなんです。昔から、演技をしていると、不思議と大丈夫だったんです。自分じゃない誰かになりきっているので。だから、保育園くらいのときから、ずっと女優さんになるのが夢で。とはいっても、この性格なので、なかなか『女優さんになりたい』って恥ずかしくてまわりに打ち明けられないし、行動にも移せなくて……」
ー思いを秘めていたんですね。
「ちゃんと人に言えるようになったのは、高校生のときに、カナダに留学をしてからですね。やっぱり海外の人って、自分の夢をすごいハッキリ言っていて。そんな雰囲気に刺激を受けて、ちゃんと女優を目指すことを決意して、大学も演技の授業があるところを探して、日芸を受験しました」
ダウ90000との出会い。そして、演技の道で生きていく決断
ー女優を目指して日芸に進んで。そこで出会ったのが『ダウ90000』の前身だった『はりねずみのパジャマ』だったんですね。
「そうです。でも初めて公演を見たときは、どんなお芝居をしているのか、全然知らなくて。っていうのも、同じクラスの忽那(文香)と仲良くなりたくて、忽那が入っているサークルだからっていうことで、見に行っただけだったんです。見にいけば仲良くなれるかなって(笑)」
ー意外なきっかけ!
「私も、女優を目指して演技の学校に入ったけど、具体的にはどうしたらいいかわからなくて、焦っていた時期で。そんなときに見た『はりねずみのパジャマ』のお芝居が本当に面白くて、忽那にお願いして入れてもらいました」
ー実は即断即決タイプなんですね。
「そうかもしれません。あんまり人にも相談したりしない性格で」
ー大学を卒業するときも、続けるか、辞めるか、迷いませんでしたか?
「まわりが就職していくタイミングもあったんですけど、女優になりたいっていう確固たる夢があったので、そこで諦めて就職するっていう選択肢は浮かばなかったです。それに、蓮見さんが書くものが面白いっていう確信は、ずっと強くあったので」
ーある意味、ダウ90000に夢を託したんですね。
「もちろん、この先、女優としてお仕事がもらえるようになるかなんて、なんの確証もなかったけど、それでも、ちゃんと活動ができる状態にいられることが、すごくありがたかったんですよ。何も道が見えないまま、ただ大学を卒業しちゃう可能性もあったので。ダウ90000っていう、自分が本当に面白いと思える場所があった私は、恵まれていたと思います」
ー素敵な考え方……!
「そんな立派なことをいいつつ、半分は路頭に迷うんじゃないかって思っていたので(笑)。いまもこうやって居場所があり続けて、それがうまくいって、こうやってお仕事がいただけているのは、夢みたいです。でも、それが怖くもあるんですけど……」
ー怖いというと?
「いまはダウ90000っていう名前で注目をしてもらえたり、お仕事をもらえたりしているんですけど、それで興味を持って中身をのぞいてもらったときに、しっかりしてないとバレちゃうから。見ていただける機会が増えたぶん、ひとつひとつのお仕事が怖いし、慎重にいかなきゃって思っています」」
ー今年は地上波ドラマなどにも出演して、知名度が上がってきてると思うのですが、自分でもそう感じることはありますか?
「あります。実感しやすいことだと、声をかけていただく機会が増えました。この前、朝ごはんを食べる時間がなくて、白い粉がたくさんついたパンを駅のホームでパクついていたら、その後、電車乗ってすぐ声をかけていただいたことがあって……。嬉しいんですけど、口のまわりに粉をつけてパンを頬張っているのを見られていたかと思うと、すごく恥ずかしいし、電車だから逃げきれないし……」
ーどこで見られているかわからないですよね。
「こういうところをそろそろどうにかしないとって思いつつ、声をかけていただくのは嬉しいですね、やっぱり。でも人見知りなので、ニコニコはしているんですけど、というかニヤニヤしちゃっているんですけど、気の利いた返しができないので、できるようになりたいですね」
ー人見知りにとっては試練ですね。
「あとは、すっごく久しぶりの人から、LINEが来たりも。これも返すのが難しくて……。元々、あんまりいろんな人とLINEしたりしていなかったから、連絡をいただいても、どう話を進めればいいんだろうって考えているうちに返信できなくなってしまって。で、結局時間が経ってしまって、気まずくて返せなくなるんです」
ーそういうことってありますよね。
「私の返信ひとつで、ダウ90000の評判がかかっているかと思うと、ますます下手な行動が取れなくて……。『あー!』ってなっちゃいます。特に先輩から敬語でLINEが来るときとか、すっごく難しいです」
中学生のときの私に、いまの自分を伝えたい
ーお仕事の面では、どんなところに変化を感じましたか?
「この前、初めてドラマのお仕事をいただいて、それがめっちゃ嬉しかったんです。今までは舞台が中心だったんですけど、ダヴ90000の作品としても、映像で見せたいという思いがあったし、私自身、映像での演技をやりたくてこの世界に飛び込んだので、『ついに来た!』って感じました」
ードラマの撮影はどうでしたか?
「とにかく楽しかったです。もちろん、多くの人が関わっているからこそ、ミスはできないぞっていう緊張感はずっとありました。だけど、その緊張感すら楽しいというか、『お仕事してるぞー!』って思えるのが、すごく嬉しくて。
中学校のころとか、同い年くらいの子がテレビに出ているのを観ると、自分の現実との差がつらくて。女優になりたいのに、それをまわりにも言えず、何も動けてなくってテレビ見てるのやばくないか?ってよく落ち込んでいました。なので、こうやって映像のお仕事をいただいて、撮影の現場にいるっていう事実が、純粋に嬉しかったんです」
ードラマ出演を経て、心境の変化はありましたか?
「もっともっと動けるようになれたらいいなぁって、自分の中でモチベーションが上がりまくりました。演技のプロの方がいる中で、台本になかった動きをしてみたときに、それ使ってみようって言ってもらえたり、一挙一動を汲み取ってくれたりっていうのが嬉しかったですし、やりがいを感じました。それに、プロの現場で自分が変化しているかも、と感じることができたので、これからもそんな瞬間を大事にしたいです」
ー最後に、今後の展望を聞かせて下さい。
「私自身のことでいうと、息が⻑い役者になりたいです。名前で覚えられると言うよりも、あの役やっていた人だよねって感じで覚えてもらいたいんです。野間口徹さんに憧れて、この言い方をするようになりました。役者名を知る前に、演じている役名から入ってもらって、検索して演技者の名前が分かるっていうのが理想なんです」
ーダウ90000としてはどうですか?
「個人として、しっかりと強くなっていくことで、その上にあるダウ90000 が守られていくっていうのが最高だなって思っています。どれだけ個人で活動しても、ダウ90000っていう地盤は、絶対に崩したくない。だから、個々でお仕事をもらって活躍して、個々の活動だけにならないっていうのが理想です」
中島百依子プロフィール
1999年8月21日生まれ。福岡県出身。日本大学芸術学部映画学科卒。
休演日明けありがとうございました!
ニ公演頑張る時には毎回お昼に少し贅沢をします!
後半戦も全力でいきます🫡🔥🔥🔥 pic.twitter.com/1kQdHKbfcA— 中島 百依子 (@soramoeko) October 12, 2022
ダウ90000出演情報
Huluショートドラマ「今日、ドイツ村は光らない」
Huluにて独占配信中。
出演:小関裕太、ダウ90000(道上珠妃、吉原怜那、中島百依子、忽那文香、上原佑太、園田祥太、飯原僚也、蓮見翔)
エルピス スピンオフドラマ『8人はテレビを見ない』
長澤まさみが主演を務める連続ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜よる10時)のスピンオフドラマ。本編に出てくる情報バラエティー番組「フライデー★ボンボン」を見ていない8人が、ちょっとしたきっかけで、次第に視聴し始める。また、ドラマの重要ワードやシーンとシンクロし、本編とスピンオフを何度も見返したくなる展開に。
TVer視聴サイトURL:https://tver.jp/episodes/epph2mik5j
劇場版ダウ90000ドキュメンタリー『耳をかして』
主宰・蓮見翔さん以外に密着したドキュメンタリー映像をライブで上映。「個人のパーソナリティが覚えられていない」というメンバーからの依頼によって制作れたに密着映像。アーカイブ映像は12月7日(水)23:59まで視聴可能です。
前回のインタビューはこちら!
Photo:Masaharu Arisaka(STHU)
Text:Mai Sugawara