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大手メーカーが化粧品を無料配布。女性の貧困を救う「コスメバンクプロジェクト」【Steenz Breaking News】

大手メーカーが化粧品を無料配布。女性の貧困を救う「コスメバンクプロジェクト」【Steenz Breaking News】

世の中に溢れる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今回は、女性の貧困問題と環境問題の解決につながる活動である「コスメバンク」について、ご紹介します。

深刻化する「女性の貧困」を解決するために

現在、大きな社会的問題となっている、女性の貧困問題。厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、日本では一般労働者の男女間の賃金格差が75.2%にもなり、雇用形態も、非正規雇用で働く女性が7割以上といわれています。

つまり女性というのは、男性に比べても、貧困に陥る危険性が高いと言えるのです。さらに最近では、新型コロナウイルスの影響もあり、雇用状況も悪化。女性の貧困問題は、深刻さを増しています。このような経済的な理由や事情から、生活費を稼ぐことで精一杯となり、化粧品を購入する余裕がないという人も少なくありません

化粧品を無料配布は、環境問題の解決にもつながる

そういった経済的に厳しい状況にある女性のために、化粧品を無料配布する活動があります。それが、一般社団法人バンクフォースマイルズが2021年に立ち上げた「コスメバンクプロジェクト」です。

コスメバンクプロジェクトは、経済的に厳しい生活をおくる女性に、化粧品を無料で届けるプロジェクト。しかし、配布するだけが目的ではありません。

配布される化粧品は、活動の趣旨に共感した企業から提供された「売れずに返品されたもの」や「デザインの変更によって返品された旧仕様品」など。未開封で品質に問題はないが、販売できないため、廃棄処分されるしかない化粧品なのです。

以前から化粧品業界では、「毎年大量の化粧品が廃棄処分され、自然環境の悪化につながる」として問題視されてきました。コスメバンクプロジェクトは、そういった化粧品業界の抱える問題の解決にも貢献できると期待されています。実際にこのプロジェクトには、有名化粧品メーカーが数多く参加しています。

女性は化粧品を無償で得ることができ、企業は廃棄問題の解決と環境保護につながる。お互いにとってメリットのある画期的な取り組みですね。

2022年のコスメバンクプロジェクトでは、約33,000世帯に配布

コスメバンクプロジェクトは、2021年に行ったテスト運用を経て、2022年から本格的に活動を開始。年に2回活動しており、1回目は今年の5月、「母の日ギフト」として約33,000世帯に、女性支援施設を通して届けられました。2回目は「クリスマスギフト」として、12月初旬に届けられる予定です。

さらに今後は、地方自治体とも協力し、「晴れの日のメイク応援プロジェクト」や「就業/就学応援プロジェクト」なども検討しているとのこと。

経済的に厳しい状況では、化粧品を買うことは、後回しにせざるをえません。しかし化粧品は、自信を与え、笑顔にする存在でもあります。自信を持ち行動的になれば、社会と積極的に関わろうとするでしょう。その行動が、QOL(生活の質)の向上にもつながるのです。化粧品は、そういった可能性も秘めています。

これからを生きる10代にとって貧困問題や環境問題は、自分ごととして考えなければならない重要事項。この「コスメバンクプロジェクト」のように、女性・企業・環境にプラスなことが起き、誰もが生きやすい世の中になる取り組みが増えるといいですね。

Reference:
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査
【コスメバンクプロジェクトを本格始動】|一般社団法人バンクフォースマイルズ
シングルマザーなど困難下で頑張る女性たちに化粧品を届ける「コスメバンクプロジェクト」が母の日に向けて「春夏ギフト」の配送を開始|一般社団法人バンクフォースマイルズ

Image:PR TIMES
Text:Yuki Tsuruta

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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