「気になる10代名鑑」の239人目は、山岡寛泳さん(19)。小学生のときに鯉のぼりに魅せられたのをきっかけに、16歳で鯉のぼりブランド『泳泳』を立ち上げ。以降、デザイナー・経営者として活動しています。消えゆく日本の文化を海外に発信していきたいと語る山岡さんの、ものづくりやクリエイティブへの向き合い方、これからの目標など詳しく伺いました。
山岡寛泳を知るための5つの質問
Q1. どんな活動をしていますか?
「鯉のぼりのブランド『泳泳』を運営しています。『泳泳』は、伝統文化と現代的なデザインを融合させた、鯉のぼりの企画・デザイン・製造・販売・ブランディングなどを手がけているブランドなんです。いままでにない鯉のぼりのデザインを生み出すために、京都の職人さんたちの技と力を活かして、ものづくりをしています。
また、たくさんの人に鯉のぼりを届けたいという思いから、小さくて家の中でもインテリアとして活かせるようなサイズやデザインにこだわっています」
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Q2. 活動を始めたきっかけを教えてください。
「鯉のぼりを好きになったのは、小学4年生のとき。出かけた先のサービスエリアで、江戸時代から続く、伝統的な白い木綿素材の鯉のぼりを見かけたんです。そのデザインが強く印象に残って、鯉のぼりのことが好きになりました。それから、ホームセンターでそろえた素材を使って、夏休みの自由研究などで鯉のぼりをつくるようになりました。
ブランドを立ち上げるきっかけになったのは、16歳のときに『異才発掘プロジェクトROCKET』に参加したこと。5歳上の兄がすすめてくれて、応募しました。そこで本気でなにかを成し遂げようとしている同世代の姿を見て、それまでの趣味から、本格的に作って販売してみようと決意し、ブランドを立ち上げました」
Q3. どんな作品や人に影響を受けましたか?
「村上隆さんやMarimekko、ポール・スミスから強く影響を受けていると思います。
村上隆さんといえば、アイコニックなキャラクターがハイブランドなど、さまざまなコラボレーションしているのを見かけます。『泳泳』も、ハイブランドの方から『コラボしたい』と思ってもらえるようなブランドになりたいので、とても参考にしています。
Marimekkoも、一回見ただけで忘れられないデザインが象徴的ですよね。北欧は日照時間が短いと言われていますが、そんな北欧の生活をデザインによって明るくする、エネルギッシュなデザインや色づかいに勇気づけられます。
ポール・スミスは生き様、考え方に影響を受けていて。偉大なデザイナーでありながら、好奇心と遊び心をいつまでも忘れていない姿勢はとても尊敬しています」
Q4. これまでの活動の中で、印象的な出会いはありましたか?
「夏にパリへ行ったとき、日本へ帰国する便を寝坊して翌日の便で帰ることになってしまって……(笑)。そのとき、延泊先のホテルのフロントにいた女性が、僕のスーツケースに貼っていた鯉のぼりのシールを指差して『かっこいいね』と言ってくれたんです。
そのとき、たとえ鯉のぼりというバックグラウンドを知らなくても、純粋にデザインとしてかっこいいと思ってくれるんだとわかって、それがとても嬉しくて。この出会いを機に、海外進出、特にパリで鯉のぼりブランドをやっていきたいという想いが強くなりました」
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Q5. 創作活動を通して社会へ伝えたいビジョンがあれば、教えてください。
「ものづくりやクリエイティブには、人にエネルギーを与えたり、勇気を与えたりできるような、言葉を超えた見えない力があると思います。
私自身、優秀なクリエイターの作品からその力を感じてきて。これまでは与えられる側でしたが、今度は自分が形にして、誰かに力を与える側の人間になりたいです。
そのひとつとして、海外に鯉のぼりをアートとして届けていきたいと考えています。鯉のぼりもだんだん飾られる機会が減っているのですが、放っておくと消えてしまうかもしれない日本の素晴らしい文化は、海外からみたらとってもユニークで素敵なものだったりする。
これから、どんどんグローバリズムが加速していくなかで、日本のカルチャーは海外に強く発信していけるものだと信じているし、日本で生まれたからには、そのアイデンティティを活かしていきたいなと思っています」
山岡寛泳のプロフィール
年齢:19歳出身地:岐阜県可児市所属:文化服装学院、泳泳趣味:香水集め、英語、旅すること、絵を描くこと、ドライブ大切にしている言葉:「あまり人生を重く見ず、捨て身になって何事も一心になすべし」(福沢諭吉)
山岡寛泳のSNS
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Photo:Eri MiuraText:Ayuka Moriya